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サピエ図書館が助けてくれる前に教えてくれたこと。

小学生の頃のこと。
1学期の終業式だかその前日だかで、
読書感想文。
ってのが夏休みの宿題に含まれちゃってるのを聞くと、
もう憂鬱で。。
そんな小学生のワタシ、
なかなかイサギの良いバカでしたから、
一晩寝ちまえば読書のドの字も忘れちまえるバカ能力も持ち合わせてて、
友達と遊び呆けて、
野球で日焼け呆けて、
家でだらけ呆ける。
そうやって毎日呆け散らかして
いつしか8月のお盆を過ぎるころ、
宿題にはなんも手をつけていないつってことが
なんとなく肛門の周辺をザワザワさせたりするものの、
呆け続けられる力まであって
夏休みも残り1週間ってあたりで
多少の不安を和らげようと呆け仲間の友達に
「てかさ、読書感想文とかマジやべーよなぁ」
なんて、
そこそこ強くなってる肛門ザワザワを共有しようとフッてみると、
「え?終わってねーの?」
とかって返されて、
「あ?んー。ん?おー。あー!や?」
「読むのはさ、んー、読んだんだけどさー、マジうぜーよなぁ。」
って、
読んでもいなどころか読む本さえも決めてないのに
ノリで適当な嘘ついちゃった時には
肛門で始まってたザワザワは
夏の台風が勢力を増して北上してくるように
肛門から腹の中をえぐりながら
心臓に直撃してドクドクって動悸に変わる。

結局、イサギはまるで良くないバカな子だったワタシもですね。
仕事に就いてからなんですけど、
なにがどうさせたんだか良くわかりませんが、
読書。
ってことにハマりまして、
本のジャンルを問わず、
多い時には年間に100冊ほど読むってくらいで、
読書ってやつと付き合ってました。
ハマったのはきっと、
ネタが拾えたってことなんだろうと思います。
拾うために読んでた。
と言うとちょっと違う気もするくらいで
ビジネス本とかハウツー本なんかに限らず、
小説なんかなら、その物語に引き込まれつつ、
作り手側の想いとか思惑とか、
文体とかって言うと生意気な感じですけど、
作者のクセとか風体とかってのに触れて共感出来たりすると
どうも心地よかったりで、
その心地良さの中から、
知識ってことだけには絞られない何かを
拾ってた。
それは仕事でのネタになってた。
そんな気がします。

小学生の頃はいろんなもん拾ってましたからね。
本なんかから拾う必要なかった。
気がします(^^)

その読書ってのがですね、
ちょっとしんどくなっちゃったんです。
それは今のことではありません。
まだ専門学校に入学する前。
鍼灸あん摩マッサージ師になろうと決めて、
代表職についてた会社を辞めるという決断した、
あの時のこと。
あの時のワタシの目は、
それ以前のようには読書が出来ないという事実を自身で受け止めた時でもありました。
今なんかより全然良いんですよ。
でも、あの時でも片目は見えませんしね
残った目の視野の欠損が広がって、
本を読むスピードが半分くらいになってました。
それは、
どうも、
しんどい。
という感覚だった気がします。

気がします。
なんて書いたのは、
今日のワタシの視力と視野とは比べものにならないから。
iPhoneの黒地に浮き上がるような白の文字はかすかに読める今日の視力は
教科書やプリントなどの白地に黒が印刷された紙の文字は、
読めない。
文字を見つける。
という作業から始めるしかありません。
なので、
読めない。
という説明が最も正しい言い方になるわけで、

スラスラと読めてたものが、
スーラースーラーとで読む時間に伴う労力が倍になっちゃって
しんどい。
って感じてた気がする、
あの時の過去の自分と、

スかな?ん、スだな。
これはラか??
ス、ラ、ス、ラか。
って感じでしか読めない今の自分。

あの時が
しんどい。
って感覚だったとするなら、
じゃー、今は?
って考えると、

面白いんもんですけどね、
ま、面白くはないんですけど。
強がりみたいに聞こえるかもしれませんけど、
ま、強がってるってわけでもなかったりで。
ホントのところで、
今だけのちょっとしたホントかもしれませんけどね、
でも、ホントのホントで、

しんどい。
って感覚はないんです。

特に昨日と今日はない。
それは、
すごいもんを拾ったから。
ってのが大きいんです。
世の中にそんなものがあったの??
こんなものがあったのかー!!
って驚いたものを。

江戸川の河川敷でエロ本見つけたのは驚いたし嬉しかったり(^^)
自動販売機の下から100円玉見つけて拾ったり、
捨てられる猫も拾ったし、
人の庭になってる柿を勝手にもぎって拾ったり、
そんな小学生の時は、読書なんかしなくてもいろいろを拾いました。
そして、50歳にして視覚障害者となって、
昨日、拾ったんです。

「サピエ図書館」

ってやつ。
エロ本から図書館に成長しました。
全然知らなかったやつ。
紹介されました。
全盲で治療院を経営されてる先輩に。
すぐに、登録しました。
そして、ダウンロードしました、
すると、読めるんです。
ワタシ、本が読めるんです。

https://www.sapie.or.jp/cgi-bin/CN1WWW

全国の図書館にある本。
これの約7万冊にも及ぶ本が、
音声データになってるんです。
なってる。なんて簡単な言い方しちゃいましたが、
ボランディアの方々が中心になられて
本を朗読してくれて、
それを録音したものがデータベース化されている。
そんな図書館なんです。
点字書籍は11万冊だったかな?
こちらもすごい数がある。
触ったり、
聴いたりで、
本が読める。
無料で。
それが、サピエ図書館。

(うわ!見つけた!)
(拾ったー!)
って感じな上に、

(あ、拾える。)

って。
思えた。
それは
教科書やプリントなりで
(捕まえる。)
ようにして未来のために覚えなきゃいけない知識とは
種類の違うもので、

本からのやつは、
覚えとく必要なんてないし、
未来のためなんかじゃなくても良いし、
その時々に自分のココロとカラダは違った状態で、
その状態だからこそ感じて受け取る言葉たちは
(拾う。)
って感覚の、
ネタ。
また、
ネタを拾える。
という感覚。

サピエ図書館では
点字でも音声でも本が読める。
1冊聴くには10時間から20時間は普通にかかります。
聴く方【きくほう】はそれくらいです。
読む方【よむかた】はそれだけで済むはずがない。
何万人、何十万人の方々の優しさが、
その人たちの時間と労力を捻出されて、
サピエ図書館ってところに
ぎっしりと詰まってる。

なんて素敵なところなんだろう。
って思うと同時に、
こんなにも素敵なところがあるそとを
ワタシは知らなかった。
視覚障害者に認定されて約1年。
知らなかった。
でも昨日
(拾った。)
って今。
この素敵すぎるネタは、
見えづらくても、
時間はかかっても、
手術前に書いとかなきゃな。
って。

ワタシは視る力に不自由がある。
ってやつですけど、
あったんです。
助けてくれる仕組みが。
仕組みを支えてる人の優しさがある。
(優しいよなぁ。)
って優しさを知って、
(ありがたいなぁ。)
って感動をもらいました。

あるんですよね。
優しいんですよね。
人って。
助けたり助けられたりしてるんですよね。
だけど、
知らなかったり、
わかんなかったりなことが多い。
でも、
実は
ある。
あるんですね。

それは、
ない。
ってものはないんだ。
とも言えちゃいますかね?

人それぞれには様々な不自由がある。
だけど、
人は優しい。
助けてくれる人がいる。
助けてもらっていい。
ないものはない。
実はある。

ワタシは知りました。
サピエ図書館が教えてくれた気がします。

人は優しい。
人は優しさに支えられてる。
世の中は優しさに包まれてる。
だから、
ワタシは強くなれる。
って。


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