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視野が狭くなるとか、広がるとかのこと

緑内障という病と付き合ってく中で
最悪は失明ということになるんですけど、
ワタシの片方の右目は失明していて、
もうこの文字面の通りで「明かり」を「失う」ってやつなんです。
「見えない」だけじゃなくて、
ワタシの右目の前にちょー強い光線をペンライトで当てられても、
なんともないというか、わからない。
それは、おでこにペンライトを。
ってことと同じで、光がわかりません。

左目の方は視力もあるし視野もあります。
でも、視力も弱まってたり、
視野も狭くなっちゃっててで、
いわゆる失明の範囲が広がっていて、
明かりが「わかる」範囲が狭くなってる。
ってことですから、
「見えない」という感覚より「わからない」という感覚だったりします。
そのわからないのが、
前は「わかった」はずのすぐ隣にいる人が「わからない」んですよね。
だから、駅とか電車とかちょっと人の多いところで、
みんなが予想つかない動きをしてる中で、
ワタシがちょっと気を許してしまって、
以前のように「わかる」感覚で右に曲がると、
そこに人がいたりしてぶつかっちゃったりするんです。
「ごめんなさい!」
って謝って済まなかったことはありません。
今後も全てそれで済むかはわかりませんけど、
だいたい済むはずだと思ってるし、
ワタシも注意しないといけないし、
って思ってる。
って感じなんですけど、

「ごめんなさい!」
って言えない事故も起こしちゃうのが厄介なところでして、
昨日コンビニでですね、
チューハイを買おうかと数ある種類を眺めて、
(どれにすっかなぁ)
なんて呑気な感じで選んでました。
すると、いわゆるオナラってやつが
(出たい!)
って主張を直腸から脳を介して、
(出せ!)
って指示を送ってくるわけです。
(いやいやいや、脳さん。ここはコンビニですから)
って今までに培った道徳観でもって
(外に出てから、出しなさい)
って抵抗をするんですけど、
直腸の主張が激しいらしく、
(今なんだよ。今。誰もいなけりゃそこでスカせ!)
という、これもこれで今までの経験に基づいた脳からの具体的な指示というか命令がやってくる。
(はい。確かに。誰もいない。そうだな。誰もいなけりゃ良い良い)
って簡単に受け入れて、
スカす手筈を脳に送り、脳は外肛門括約筋に素早く伝達して、
50年の歳月で磨いてきたスカし技を駆使して、
直腸に溜まったガスを決して音を立てずに、
ゆっくりと肛門を境にして体内から外界へと送り出すはずが、
50年の歳月は老化という現象も伴って、
外肛門括約筋へのコントロールが完全には効かず、
野球で言えば7回まではノーヒットノーランだったのに、
8回に崩れて、9回にめった撃ちにあう。
という感じで、
ガスの排出の後半に入って
ちょいと音を奏でてしまい、
(あ!音でちった!)
と思うと同時に、
(ま、誰もいないんだから良いじゃん)
として緊張感を失い、
奏でるというより、鳴らす。
という勢いのある音に変えて全てを排出しました。

直腸のストレスを全て解消してあげた満足感とともにやって来たのが、

(や、お前の視野って狭くなってんの覚えてる?)
(大丈夫か?)
(本当にいないんだろうなぁ?)
って自分の中の自分に確認を求められて、
ふと、人混みで曲がるときにぶつかっちゃう角度のほうに
首を向けると、

缶チューハイのコーナーの前で何を買うんだか
悩んで動かないワタシである邪魔なオッサンを面倒くさそうに、
でも、そのオッサンを尊重しつつ、
ワタシの後ろでもなく前でもなく、
真横の立ち位置から手を伸ばして缶チューハイを取ろうとする、
お兄さん、その横に奥さんと思われるお姉さん。


(ムォーーーー!!)

(そ、そこに、そこに、、いたの???)

(ご、ごめんなさい)

とは言えず、

立ち尽くしました。

ワタシなりに
音が出てしまったという事実、
いや、最後は積極的に出したという事実。
そして、それは必ずやお兄さんの耳にお届けしてしまった事実。
いや、もしやお姉さんのお耳にも?
いやいや、お兄さんのお鼻にも??
という不確定な不安。

声も出ず、お兄さんの目を見ることも出来ず、
この不祥事の責任の取り方を考え、
今ここに漂うガスの元の所有者であるワタシは、
こいつらが拡散してガスとしての存在感を失うまでその場を離れてはならない。
もし聞かれてなければ、この臭いはオレのではない、
知りません。
という歴とした態度を取ったかもしれない。

しかし、
聞かれた以上はオレのものだと責任の所在は明確にしたものの、
口と鼻を使って全部を吸い尽くすことは出来ない。
雑誌でパタパタするのもおかしい。
もう出たものはどうすることも出来ないけど、
ここには立ち入らないでくれ、
という立て看板の役割くらいはするべきだ。
という結論で3分くらい立ち尽くしました。

よくよく考えれば、
他にもあるんです。
鼻をほじる。
トイレ行きたくて股間にぎる。
まさか人に見られてるときに露骨にはやらないんですけど、
見られてないと思ったら、
露骨に大胆にほじったり、にぎったりしちゃうんです。
で、見られてた。ってことが、
あるのに、
そんな経験は何度もあるのに、
今日は音まで。
臭いまでお届けを。。


まー、残念ながらですね、
視覚ってやつでは視野の狭い男になっちまったんですけどね、
ぶつかったらぶつかったで、
音は音で、
臭いは臭いで、
ほじりほじられ?
にぎりにぎられ
ってまったく意味が分からなくなりましたが(^^)

足らないものをちゃんと受け止めることを通して、
きっとこれから、
視野が狭くなったおかげで、
視野が開ける体験とか、
視野が広がる生き方とか、
そんな可能性があるんだよな。
ってことで勝手に前向きに捉えつつ、

今後は外肛門括約筋の老化を踏まえ、
現在のスカし技を改良していくことをお約束させていただくことを以て、
「ごめんなさい」と口に出せなかったお兄さんとお姉さんへの
お詫びに変えさせていただきます。





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