インタビューシリーズ第3回〜世界自然遺産登録に向けた動き〜

うがみんしょうらん~🌺
今週は、インタビューシリーズ第3回〜世界自然遺産登録に向けた動き〜をお送りします。まだ第1・2回を読んでないよという方がいましたら、まずはこちらをどうぞ!


九州で自然遺産といえば鹿児島県の屋久島を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?屋久島は白神山地と共に、1993年に日本で一番最初に自然遺産に登録されました。この2箇所の登録を追いかける形で2003年に琉球諸島・知床・小笠原の3箇所が国内候補地に名乗りをあげ、奄美大島を含む琉球諸島は、国内候補地に登録された後、2013年に世界自然保護協会(IUCN)の暫定リスト(登録候補地)に記載されました。その後、奄美大島は国定公園から国立公園に昇格したことで、より自然保護が出来る環境を整えました。しかし、同年に行われた現地調査で、飛び地となっている保護区があることや、外来種の扱いが十分ではないことなどが指摘され、日本政府は琉球諸島の推薦を取り下げるとを決めました。

ここから、世界自然遺産登録を目指すために、奄美大島では様々な活動がスタートしました。

マングース対策
まず、奄美大島の外来種といえば、これを思い浮かべる方も多いのではという程、言わずと知れた奄美大島のマングース。元々ハブを退治してもらうために、奄美大島に1971年に持ち込まれましたが、マングースはハブを退治することはできず、代わりにクロウサギやヤマシギなどの貴重な生き物を狩ってしまい、貴重な生き物が減る一方で、マングースは増加するという状況になってしまったそうです。
推定1万頭いるとされた、奄美大島のマングースは2000年に環境庁が主体となって駆除がスタートしました。当初は、住民に罠を貸し出し、捕獲したものを現金と引き換えるという手法がとられましたが、効率化を進めるため、2005年からマングース駆除の専門組織であるマングースバスターズを発足させました。20人程度でスタートしたマングースバスターズですが、現在は40人程度が活動されているそうです。最近では、人間だけではなく、訓練された犬も所属しているそうで、2022年完全排除を目標に現在も活動を行っているそうです。

野猫問題                                 マングースが減少してきたことで、次に問題となっているのが野猫です。野猫とは、野生化してしまったネコのことで、山などでクロウサギを咥えた姿が目撃され、問題となっていました。
都市に住んでいると、野良猫を見かけることはあっても、野猫なんてなかなか耳にすることすらないですよね?どうして、奄美大島で野猫が問題となるほど増加しているのか、その理由には奄美大島の暮らしが大きく関わっていました。
奄美大島には昔から外猫を飼うという習慣が根付いており、これが野猫が減らない原因にもなっています。家の周りにネコがいると、ネコはネズミを捕まえてくれるので、ネズミが少なくなります。ネズミが少ないとネズミを餌とするハブが寄り付かなくなり、人間がハブに噛まれる危険がなくなるので、奄美大島の方は外猫を飼う習慣があるそうです。奄美大島ならではの習慣ですよね!

この状況を打開しようと、2011年にネコ条例というものが作られました。この条例では、一般家庭で飼っているネコを犬などと同様に登録すること・可能な限り不妊・去勢手術を受けるさせること・屋内で飼育を行うことなどが明記されています。だんだんと奄美大島で認知されてきたこの条例は、2018年に努力目標から義務に改定されました。この条例によって、家で飼育されていたネコが野良猫となって、その結果野猫となることは防ごうという動きが強まっています。
また、すでに山の中で野猫となってしまったネコに関しては、罠を仕掛けて捕獲をして、保護を行い、人間と生活できそうなネコに関しては、譲渡会などを通して飼い主さんと過ごせるような仕組みをつくっている段階だそうです。

エコツアー
続いての取り組みは、エコツアーの推進です。
少し前までは、島の経済を発展させるためには、海を埋め立てて、山を削って道路を通し、ハコモノを作って人を呼ぶという論調が主流だったそうです。しかし、今は自然そのものがお金になるということが浸透し、その結果エコツアーが盛んになっています。
観光客に島の自然を案内して、楽しんでもらいながらお金も落としてもらう、それを担うガイドを養成することを目的にエコツーガイド連絡協議会が設立されました。そこでは、それぞれの情報共有だけではなく、マナーやルールの統一・ガイドのスキルアップや救急救命法などを学べる場としての役割を担っています。また、奄美大島だけでなくその周辺の島々にも、同じような仕組みを導入できるようエコツーリズム推進協議会が設立されています。

そして、ガイドにも新たな制度が導入されました。
ガイドとして、お金をもらってお客さんを案内するためには、まず研修を受けて登録ガイドになります。その中でも、特に質の高いスペシャリストは、認定ガイドとして活動できるそうです。
昨年の2019年からは認定ガイド同伴でないと立ち入れない場所ができました。今現在は、金作原原生林だけですが、ゆくゆくは対象地域を増やしていく予定だそうです。下の写真2枚は、金作原原生林です。

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質の高いガイドを養成し、対外的に発信していき、質の高いガイドが生業としてお金をきちんと稼げるようにして、ゆくゆくは島の若者が憧れる職業になればという思いで、國宗さん達は活動されているそうです。奄美大島を観光で訪れる際は、ぜひガイドさんと一緒に奄美大島の自然を楽しんで下さいね!

本来ならば今頃、奄美大島は自然遺産に登録が決まっていたかもということだったそうで、コロナウイルスの影響がこんな所にもでているんですね。
自然遺産と言えば、美しい自然や動植物を想像ばかりしてしまいますが、実際は、それを支える地域の人や団体・行政など様々な人の努力で成り立っているものなのだなと改めてお話を伺いながら考えさせられました。
次週は、インタビューシリーズ①最終回となります!テーマは、奄美大島の抱える問題です。
最後までお読み頂きありがとうございました!


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