インタビューシリーズ 第2回~奄美大島の動植物~

うがみんしょうらん~!前回に引き続き今回も、奄美大島でエコツアーガイドをされている國宗さんのお話をお届けします!まだ1回目を読んでいないという方は、こちらから読んでみてください!

第2回目の今回のテーマは「奄美大島の動植物」です。
第1回目でお伝えしたように、海で隔たれた奄美大島には独自の進化を遂げていった生き物や植物が生息しています。

早速ですが、まずは哺乳類からご紹介します!
奄美大島には肉食哺乳類が生息していないという特徴があります。
奄美大島に生息している一番大きなサイズの哺乳類はリュウキュウイノシシで、本土の猪よりはかなり小さい猪になります。二番目は奄美大島と言えばお馴染みのアマミノクロウサギです。これら以外に、奄美大島で生息が確認されている哺乳類は、ネズミが3~4種類(どうして3~4っていう書き方になるかというと、1種類は過去に3個体しか確認されておらず、近年は目撃されていないから)で、コウモリが4~5種類(こちらは新種として登録される可能性のある種がいるため)と、元々生息している哺乳類はこれだけとなります。
哺乳類自体は本土に比べてとても少ないのですが、数少ない哺乳類と共生関係を築きながら生存している生き物がいます。例えば、アマミノクロウサギの糞に特化して生息する糞虫”アマミヒメケブカマグソコガネ”がいます。クロウサギの糞をエサとして生きている糞虫なので、クロウサギが絶滅してしまえば、アマミヒメケブカマグソコガネも必然的に絶滅してしまうことなります。とっても面白い関係だとおもいませんか?下の写真は、アマミノクロウサギの模型です。本物の写真じゃなくて、ごめんなさい💦

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次に鳥類を見ていきましょう!
代表的なものをあげるとルリカケスアマミヤマシギアカヒゲなどが生息しています。奄美大島では、天然記念物や環境省の特殊鳥類などに指定されている貴重な鳥たちを見ることができます。
絶滅危惧種にも指定されているルリカケスなのですが、実はとても頭がいい鳥だそうで人間社会に順応して最近では、個体数が増えつつある特殊な鳥なんだそうです。普段はどんぐりなどの木の実をエサとするのですが、天候不順などで食べ物が上手く見つけられないと、畑などに下りてきてサツマイモの蔓などの農作物を食べているようです。個体数が増えているのは喜ばしい事ですが、畑などを荒らされてしまうとなると、少し困ってしまいますよね。

続いて爬虫類です
まずは蛇類からいきましょう。奄美大島で蛇といえば、言わずと知れたハブですよね。先ほどの哺乳類を紹介した際に、奄美大島には肉食獣がいないと書きました。食物連鎖の頂点に立つ肉食獣は、生態系のなかで個体数の調節役という重要な役割を担っています。では、その肉食獣が生息しない奄美大島では、生き物たちは増え続けることができるのかというと、そういうわけではありません。ハブには温かいものには何でも噛みつくというなんとも恐ろしい性質があります。ハブを捕食する動物はいませんから、ハブは陸地にいる動物の個体数を調節する役割の一端を担っていると言えます。だとすれば肉食獣がいない奄美大島の生態系ピラミッドの頂点はハブなのかもしれませんね。
ハブ以外には、綺麗な模様をもつコブラ科のヒャンリュウキュウアオヘビなどが生息しています。ヒャン(リュウキュウベニヘビ)は3つの亜種に分類されるのですが、奄美大島のお隣、徳之島では、模様が少し違うハイと呼ばれる別の亜種が生息しています。すぐ隣の島なのに分布が違うなんで、とっても面白いですよね!

次にカエルを紹介します。
カエルは今まで紹介した生き物とは少し違って、海を超えて生息しにくい生き物だといわれています。なので、海に囲まれた奄美大島には特有のカエルを見ることができます。今回は奄美大島固有のアマミハナサキガエル・アマミイシカワガエル・オットンガエルの3種を紹介します。実は、アマミハナサキガエル・アマミイシカワガエルの2種は沖縄との共通種だと近年まで思われていました。しかしDNA分析をしたところ、まったくの別種であることが分かったのです。そのため、両種は名前の頭に「アマミ」とついている亜種になります。オットンガエルに関しては、沖縄によく似たホルストガエルと呼ばれる種類のカエルが生息してはいますが、別種だとされています。下の写真はアマミイシカワガエルです。

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動物はこのぐらいにして、植物を見ていきましょう。植物も動物と同じように、奄美大島固有のものがたくさんあります。

まずはこちら。カンアオイと呼ばれる植物なのですが、すごく変わっている植物なんです!何が変わっているかというと、カンアオイは奄美大島の山々に生息しているのですが、山ごとに違う種類が分布しているんです。すっごく不思議ですよね! 続いてウケユリをご紹介します。ウケユリは請島から加計呂麻島の西側というすごく狭いエリアにのみに分布している大型のユリです。カサブランカの原種の1つとも言われています。白い大きな花からは、とてもいい香りがする事でも有名だそうです。園芸のために乱獲されたことなどで絶滅寸前となっており、レッドリストにも登録されています。
アマミテンナンショウはマムシグサの仲間で、翼をひろげた羽のような葉っぱの植物です。こちらも、開発や盗掘などで激減し、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に登録されています。
アマミイナモリは湿り気のある森の奥などに生える10~15cmほどの、すごく小さな多年草です。こちらは、沖縄のあたりまで分布が確認されているそうです。

植物は、写真が手に入らなかったので写真付きで紹介できなくてごめんなさい。奄美大島の自然を保護している奄美野生生物保護センターのHPには、植物以外にも、たくさんの奄美大島の生き物が紹介されています!今回の記事を読んで、奄美大島の自然や生き物に興味がある・もっと知りたい!と思った方はぜひ、HPをのぞいてみてください!ここでは、紹介しきれなった奄美大島のことを知ることが出来ます!

ここまで、奄美大島の動植物を色々と紹介してきましたが、どうでしょうか?
周りを海に囲まれて陸地に接していない分、ホントに豊かな生態系が広がっています。本土では見ることのできない動植物や奄美大島で独自の進化を遂げたものなど、実際に自分の目で見てみたいですよね!しかしながら、物珍しさから乱獲された種や、外来種によって淘汰されつつある種などが残念ながら多いのも事実です。そういった状況を少しでも改善しようと、奄美大島では様々な取り組みが行われています。そこで次回は、世界自然遺産登録に向けた奄美大島の取り組みについてご紹介します!お楽しみに!

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