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ふっと手を差し出すような
20代でそこそこ遊んだ自分は、30歳を前にして「ちゃんと」付き合いたいと思い出す。「ちゃんと」ってなんだ。当時、周りには結婚して子供が生まれる友人が増えてきた。自分にはそれと同じことはできないけれど、似たようなことはできる。家族みたいなものが欲しかったんだと思う。
その「ちゃんと」を追いかけて恋愛をする。当時はmixiというSNSが全盛期で、日記を見に行ったり、足跡を残したりしていた。そこからひ
からむ手/からませる手
高校時代、先輩に恋をしていた自分は叶わないことがわかっていた。
だからそれを恋だと思わないようにしていたんだろう。
熱く重い恋でしかなかったのに。
大学に入ってローンを組んで買ったパソコンがゲイの道を大きく切り開いてくれたといっても過言ではない。とはいえ意気地のない自分は、ネット上でやり取りはするものの実際に会うのに躊躇していた。当時の自分に言ってやりたい。何ビビってんだ。その真面目な仮面をかぶ