COVID-2119⑤

連続ブログ小説
SFショートショート 「COVIDー2119」
最終話です。

#SF  #小説 #ショートショート #連載

2020年から続いた人類とウイルスの闘いにピリオドが打たれた。しかし100年という時間を費やし得た答えには続きがあった。
COVID-2119に隠された地図。それは300光年離れた惑星からのメッセージだった。


エピローグ

ようやく辿り着いたようだな。地球人の諸君。COVIDー19と君たちが呼ぶウイルスは、我々からの招待状だったのだよ。君たちが宇宙人として新たなステージに進化した時に初めて解くことができるように仕込んでおいた。
この宇宙にはまだまだ多くの課題が残っている。共に解決していかなくてはならない。
しかしながらこれまでの君たちの振る舞いでは到底、力を合わせることなどできなかった。我々はあくまでも平和的で、科学的な解決方法を選択している。それも高度なレベルでだ。

COVID−19を読み解く過程で君たちは、地球上の問題を解決し、宇宙への扉を開いた。そして私たちが接触する上で最も重要な課題となる免疫を獲得した。異星の生物が接触する上で克服しなくてはいけないのが、ウイルスや細菌による感染だ。
言葉や生物的特徴の違い、あるいは習慣や主義主張の違いなどは簡単に乗り越えることができる。そのようなことで命を奪い合ったり争ったりすることは下等生物のする愚かな行為だ。
どうだ、地球人はつい最近までそのレベルにあったのではないか。
いや、正直に話そう。かつて火星に暮らしていた我々もそうだったのだ。
そして失敗した。

我々にとっての母なる星、火星を死なせてしまったのだ。わずかに生き残った火星人は太陽系を脱出した。しかし、そのままでは太陽系に我々の歴史を残すことできない。そこで考えたのが火星と環境が近い地球にメッセージを残すことだった。いずれ生まれてくるであろう知的生命体が我々の失敗を繰り返すことなく、新たな宇宙人としての価値を生み出してくれることを願って。

手紙は何億年先でも届くようにウイルスの遺伝子に仕込んだ。それがCOVIDー19だ。問題解決能力と抗体を身につけることを目的とした手紙だ。まあラブレターと言ってもいいだろう。

さあ、新しい扉が開かれた。黒曜石にはまだたくさんのデータを仕込んである。目的地までの移動手段、通信方法などだ。そしてこのCOVIDー19の抗体を持てば、今宇宙で確認されている全てのウイルスの免疫ができるようになっている。つまりどの異星人ともコンタクトができるということだ。
地球人の諸君、ようこそ宇宙へ。



最後まで読んでいただきありがとうございます。
完全なフィクションでお届けしましたが、現実は人類とウイルスの闘い、いや、共存が続いていくのでしょう。
今日も最前線でコロナと闘う医療従事者をはじめ全ての人に感謝とエールをおくり、このお話を終わります。
感想コメントなどいただければ嬉しいです。
Stay Home 生活の中で妄想が膨らんだらまた次回作にチャレンジしてみます。


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