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人生のBGMを、変えるの。
夫と離婚したその日、高校時代からの友人に久しぶりに連絡をした。
元気?私別れたー。
本当?私も別れたわー。
私の展開は予想通りで、彼女の展開は予想だにしなかったもんだから。
すぐさまホテルをとって、軽自動車に一泊分の荷物を詰め込んで。
助手席に彼女、運転手は私。弾丸で旅に出たのでありました。
出発の日は台風が来ると言われた週末で、山間部にいくことを彼女の家族は心配し、私の母はいつもの娘の様子に若干呆れた様子を垣間見せつつ、双方見送られて。
彼女は「36にもなるのにさ」と不服そうで、私は高校時代と変わらないそんな彼女の素直さが少しおかしくて、マスクの下の口元は、少し笑ってた。
明るく話す彼女も大分泣いた後のようで。
私はすったもんだの最中に随分泣いたもんで。
長瀞の清流沿い、坂道に軽のエンジンが苦しそうに音を上げながら。
風が強く、雲が早い。
美しい緑の中を、驚くほどに日中の天気に恵まれて、走った。
「人生のBGMを変えな、って言われたの」
彼女が誰に言われたのかは知らないけれど、いい言葉だなぁと思いながら。
「そしたら、PUFFYくらい流していこう」
二人でケラケラ笑って、どこにも渚はないけれど、大声で歌いながら青い車を走らせた。
どんな時にも、流れるBGMを決めるのは自分自身。
悲しい曲をどっぷり流した後は、軽いリズムを口ずさんでいたい。
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