「ママは腕まくり」(1960)

前年から大ヒットを続けていた「ベン・ハー」を除くと、MGMの1960年の新作ではエリザベス・テイラーの「バターフィールド8」に次ぐヒットを記録した「ママは腕まくり」。

ロック・ハドソンやジェームズ・ガーナーなど純アメリカ的な共演者が多いドリス・デイですが、ここでは珍しく英国紳士のデビッド・ニーブンが亭主。辛口すぎる有力紙の演劇批評家ニーブンが、自ら学生時代に書いた駄作の戯曲を掘り起こされ、いくらか柔らかくなる話。

このころのロック・ハドソン共演作よりもドタバタ度が少なく、ドリスは「知りすぎていた男」の良妻賢母に近い。二人の間には四人の男の子と大きなムク犬がいるし、ニーブンに酷評される女優ジャニス・ペイジも印象的だけど、さほど出しゃばらない良い味つけ。夫婦間の微妙な関係に重点が置かれていて、安心して楽しめるホームコメディ。

2017年2月26日

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