「In Search of Lost Films」(2016)

「失われた映画を求めて」。ジャーナリストが書いた本で、おいしいエピソードだけつまみ食いしている感じで、読み物として面白い。

映画がなくなってしまうのは、消耗品でしかなかった初期の時代とか、戦火のためとかだけでなく、燃えやすいフィルムのせいで1993年でもイギリスの現像所で火災が発生し、インドの名作「大地のうた」三部作のオリジナル・ネガが焼失するということさえあるのです。

テレビが白黒だったころ、テレビ放映用にテクニカラー作品を白黒フィルムに変換し、カラーフィルムのほうを廃棄したという信じがたいエピソードなど。

日本映画では「和製キングコング」(1933)と「江戸に現れたキングコング」(1938)をとりあげていて、これらが「ゴジラ」(1954)の先駆的作品だったかもしれないというのはどうかと思う。というのも、前者はテキトーな便乗コメディを作る斎藤寅次郎監督の作品で、着ぐるみ程度の気がするし、後者で猿人をデザインした大橋史典がゴジラのデザインにも関わったと書いてあるのだけど、ウィキペディアによると、御本人だけがそう証言しているらしい。

2016年10月11日

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