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ジェンダー平等は最もリターンの高い投資、もっと投資しよう

本日3月8日は国際女性デーです。ここ最近、SNS上でもこのテーマについて様々な関心が寄せられ、社会の意識が上がっていることは素晴らしいことだと思います。

SDGsの17の目標の一つとして挙げられているいますが、それはジェンダー平等が実現できない実態がそれだけ多くの女性に影響を与えていることの裏返しでもあります。

今日はジェンダー平等の重要性やリターンの大きさについて書いてみたいと思います。


ジェンダー平等はSDGs 17の目標の1つ

ユニセフのサイトでは目標が6つ示されています。

最初の3つは、そもそも人として平等に扱われていない実態を解消することが目標に挙げられています。すごく残念ではありますが、これが今の社会の実態でもあるわけです。

ユニセフHPより引用:https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/5-gender/

次の3つは、社会での役割、性に関する権利について書かれています。

ユニセフHPより引用:https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/5-gender/

これらの目標を見ると、ものすごく基本的なことで、個人の人間関係、地域・社会、職場など様々な範囲で平等が実現できておらず、まずジェンダー平等を実現することの意義や、そのために全てのレイヤーやコミュニティに所属する方々の「意識変容」「行動変容」がまず持って重要であることも疑いがありません。

今日、私から強調したいのは、「意識変容」「行動変容」という個々人のボトムアップの変革と両輪を成すであろう、トップダウンの行動の重要性です。

先ほどの6つの目標とは別に、3つの方法も示されています。

ユニセフHPより引用:https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/5-gender/

方法で述べられているポイントはいくつかあります。2軸に分けると、

種類:権利に関するもの、能力向上に関するもの
アプローチ:法律や仕組みを作る、技術を活用する

というものです。

ジェンダー平等は超巨大組織の組織マネジメント

地球には80億人の人類が暮らしています。これを一つの会社組織をみなせば、世界一の大企業ということになります。

企業経営、組織マネジメント、ガバナンスに関わる立場からすると、人は多様で、その一人一人が、気持ちよく仕事をし、最大のパフォーマンスを発揮し、連携により一人以上の力を組織として発揮し、かつその人材が成長していく状態を作ることは何よりも難しいことだと実感します。逆に言えば、それが実現できている会社は強いし、強い会社には何らかこの要素がうまく機能しています。昨今、人的資本経営や人的資本開示が注目されているのもこの基本的な理解が背景にあります。

企業経営における組織マネジメントは、数が10名、100名、1,000名と拡大するにつけ、その難しさや課題の複雑さが、どんどん高まっていきます。だからこそ、組織が拡大しきれず、成長力を失い、大きな社会インパクトを実現することが叶わず、中小企業にとどまってしまうことが多いわけです。逆に言えば、中小企業でよければ、この組織マネジメントはほぼ不要でもあります。

そこで80億人の組織マネジメントを考えればどうなるでしょうか。気が遠くなるほど難易度が高いものだと気付かされます。今、我々が取り組もうとしているジェンダー平等はそれほど難易度が高いことでもあるわけです。

小さな組織であれば、リーダーが目を光らせて健全な状態を維持することは一定可能です。そうやって、健全な人間関係やコミュニティも世界を探せば存在しうるのだと思います。ただ、規模が大きくなるとそれが難しくなります。

だからこそ、企業経営では、大きく3つのことを重視します。

1)ミッションとビジョン
2)カルチャー
3)仕組み

明確なミッションは、なぜ頑張るのか、ちゃんとやるのかという動悸を明確にし、目標に向かう推進力を整え、最大化する効果があります。

カルチャーは、「意識変容」「行動変容」を促すために、より効率的にその状態が浸透し、維持されるための素地作りです。良いカルチャーを実現することで、「変容」「維持」のコストが激減します。

上記の2つだけでは、限界があります。だからこそ、組織マネジメントのための、仕組みを整えていき、それを実現するための投資を行っていきます。人事制度、評価制度などなど、あげればキリがありませんが、そのために会社は多大な投資をし、その投資の重要性が昨今人的資本投資で叫ばれているわけです。

80億人という規模に加えて、もう一つ難易度が高い問題があります。企業は100年単位で強い組織が作れれば、それは素晴らしいことだと思います。ただ、人類全体で目指す良い状態は、100年ではなく1,000年、1万年とより持続的に続いていくもので、良い状態をそれだけ長い間、維持改善していくことが求められるわけで、それだけ難易度も高く、それに必要な仕組みと投資が重要になってくるのだと思います。

人的資本投資は最もリターンの高い投資

企業経営において、人的資本投資は最もリターンの高い投資だと私は考えています。それだけ良い人材を獲得すること、人材のパフォーマンスが企業競争力、企業価値に直結することが明らかであり、かつその組織状態を作り上げることが簡単ではないからです。

ジェンダー平等は全ての人類にとって、明確にメリットをもたらすものだと思います。今は局所的に不平等という搾取のメリットを享受している、個人、地域、コミュニティ、会社、国家が存在しているわけですが、一部の搾取の裏返しで全体の不利益が生じている状況です。一部の搾取を改善することで、全体により大きなリターンをもたらすことができるわけです。

企業組織を考えてみましょう。特定の人が、何らかの権利や利益等を搾取している組織があったとして、組織力は最大化されているでしょうか。今、ジェンダー平等が実現された社会に我々は暮らしていないわけですが、平等でない組織で働くデメリットは簡単にイメージできるのではないでしょうか。そして、組織がうまく機能していない企業が持続的に成長していく姿もイメージできないのではないでしょうか。

ジェンダー平等にもっと投資(寄付)しよう

今はテクノロジー時代です。法律や仕組みを整えていくことも大事で、そのための投資もどんどんしていくのが大事だと思います。加えて、テクノロジーを活用していくことも大事になってくるように思います。

仕事の価値、評価、能力の向上、ジェンダー平等を実現するために必要な方法のほぼ全てにテクノロジーが寄与しうると思います。そこにしっかり投資していけば、個人の意識の変化をもっと明確にすることができますし、曖昧な人、無関心な人、反対している人に対しても、抑止力になり、目指したい方向に向かっていくことがより現実的になっていくと思います。

可視化、評価、支援、これらはデータを活用したり、個別化することで、かなり状態があ白でき、組織や個人の目標やインセンティブを明確にすることができると思います。

それだけ仕組みやテクノロジーに投資することに意義が明確なのに、それが思ったほどのスピードで実現できていないのはなぜでしょうか。これは会社レベルでの人的資本投資の話と同じで、リターンの大きさを実感し切れていない、テクノロジーの活用の仕方がわからない、しかるにどれだけ投資すれば良いかわからない、更にはそのための予算がないためどこからお金を拠出すれば良いかわからないというものです。

闇雲に予算枠をとってしまうことが最善ではありませんが、金余りの資金を、ジェンダー平等という最もリターンの高い投資領域に意識的に振り向けていくこと、その資金を認知拡大(マーケティング)だけではなく、仕組み作り、もっと言えばそれを実装するためのテクノロジーにどれだけ多く拠出できるかが鍵だと思います。

せっかくの国際女性デーですので、テクノロジー活用の可能性、そしてジェンダー平等というテーマの投資効率の高さを書いてみました。

「もっともっとジェンダー平等に投資しよう!!」

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