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Mommy or Daddy?

JAPAN INDIES FILM FESTVALが11月22日(月)から11月29日(月)迄オンラインで開催されています。今回こちらで日本の離婚後の親子断絶の問題を取り上げた「Mommy or Daddy?」と言うドキュメンタリーが公開されています。

こちらの作品はメールアドレスとパスワードを登録するだけで、直ぐに無料で見る事が出来ます。

お子さんが1歳の時に離婚をして、その後12年間お子さんに会えていないお母さんの視点で、親子の断絶の問題を撮影されています。

作品冒頭でこの問題について、このように触れています。

日本で両親の離婚後に片親と疎遠になった児童数はここ30年間で、推計約300万人と言われています。ずっと子ども達の声なき声に、救いの手が差し伸べられることはありませんでした

これは正にこの通りだと感じました。多くの親子が引き裂かれ、そして一番の被害者は子どもで、その子どもたちの声に日本の社会は応えてこなかった、手を差し伸べてこなかった。

また作品の中で海外の事例として以下のように触れています。

日本には推定7,000人ものアメリカ人の子どもが、そして約700人のイギリス人の子どもが両親の離婚以降、親と疎遠状態にあります。
アメリカ政府によると親が子どもを米国から日本へ連れ去るケースはおよそ400件に上るそうです。

今年の7月に千駄ヶ谷駅でVincent Fichotさんがハンガーストライキを行った際には多くの外国人の当事者の方々が現地に足を運んでくれました。沢山の方と話してみて、この問題は海外では人権の問題として想像以上に日本が非難を浴びていると言う事。日本人が感じている以上に、今の日本の法制度と裁判所の運用が子どもの権利を守る事が出来ていない事、これに対する怒りを感じました。

また多くの海外メディアも取材に訪れました。海外での、この問題の注目の高さを感じました。


作品の中で、12年間お子さんと会えていないお母さんが、面会交流支援団体のボランティアを手伝おうと活動を始めます。千葉県の面会交流支援団体のウィーズさんです。

ウィーズの代表 光本 歩さんはご両親が離婚をした子どもの立場の当事者となります。今法務省で行われている家族法制部会にも参考人として参加されている方です。ウィーズで面会交流支援をされている方は離婚を経験した子どもの立場の方が多いと言う事でした。ご両親の離婚を経験されている、ボランティアの方の以下のお話が印象的でした。

母親が再婚した時期に、実の父親と会えなかった時期が5年間あった。親が離婚をしても再婚をしても、私にとっては親は親なので、親との関係が切れてしまう事がないような社会になってほしい

定期的に交流が出来ていたケースでも、再婚を期に会えなくなってしまうケースや養育費が支払われなくなってしまうケースはよく耳にしますが、お子さんの立場から語られている事が凄く見ている側に気持ちが伝わりますね。

この後、実際の面会交流をサポートするシーンも撮影されていますが、凄く緊張しながら見ていました。自身が面会交流をする前日や直前の気持ちを知っているからでしょうか。この何とも言えない雰囲気が作品を通じて、見ている方々に伝わればと思います。

仲間の親子交流に立ち会った時のお子さんとの会話が凄く印象に残りました。気になる方は是非作品をご覧になってください。

お子さんと12年間会えていなかったお母さんは自身のご両親も離婚されていて、母親と引き裂かれていた立場の方でもありました。ご自身が抱えていたトラウマと向き合うシーンもあり、非情にこの問題の深さを考えさせられます。

作品の中で大正大学の青木聡教授が以下のように話をされています。

親が離婚をした後に親と会えなくなってしまったり、或いは社会的に不適応になってしまった子どもたちの相談を受けてます。面会交流とか養育費が不十分な場合、自己肯定感が低くなる。人間関係がもてなくなる。社会適応が難しくなる。その3つの悪影響があると言う事が研究で明らかになっています。どんな状況にあっても子どもはやっぱり別居親に会いたいんですね。それをちゃんと実現するのは親の責任、親の義務だと言う事ははっきりと断言できる。

作品の中の以下の言葉にもとても心を惹かれました。

私も同じ親子断絶を経験した者として、社会に伝えていかないといけない。子ども達の味方にならないといけないと思った
子どもにとってパパかママかではなく、パパもママもと言う社会にシフトをしないといけない。

この問題は長年に渡りメディアで取り上げられてこなかった歴史があります。しかし今回のような形であれば止める事は出来ないと言う事。今多くの当事者が活動をしてきている中で、局面が大きく変わりつつあると感じます。ドキュメンタリーや映画も今後多く取り上げていくでしょう。


この素晴らし作品に関わった全ての方々に感謝申し上げます、有難うございます。

サポートは別居や離婚を経験した子どもの支援に活用させていただきます。宜しくお願い致します。