見出し画像

京都府警あやかし課の事件簿

初めて京都に行ったのは、中学生の時の修学旅行だった。恋が叶うと人気の地主神社が記憶に残る。2回目は、ドイツの留学生が実家にショートステイした時。彼女らと金閣寺に行き、艶やかさに一緒に感動した。社会人になって、会社の仲間と納涼床で鱧に舌鼓を打ったのが3回目。翌年の夏に今の主人と大文字の送り火を見守った。

京都は不思議だ。

何度も行きたくなる魅力的な町だ。

そんな京都を舞台にした小説が【京都府警あやかし課の事件簿】である。あやかしを題材にした小説やマンガが大好きだ。ほとんどの主人公は、幼い頃からあやかしが見える力や霊力を備えている。そして、その力がバレないようにひっそりと暮らしているので、人と距離を作ってしまう。主人公が、あやかしと共存しつつ成長していく姿を応援せずにはいられない。

しかし、この小説の主人公は、ある日いきなりその力を神から授かるのである。しかも、その力であやかしを成敗するから驚きだ。作者は京都通なんだろうと想像し、著者紹介を確認した。京都出身、うん、納得。


あらすじ

いにしえが息づく町。京都では、今もあやかしがいるとかいないとか。長い髪を簪で束ねた主人公の大(まさる)は、京都府警のあやかし課に配属された新人隊員。あやかし課では、隊員が古きよき時代の栄華に取り残されたあやかしを取り締まる。あやかし課には、大の他にも同じような力を持った隊員がいる。町には、ひっそりと時には大胆にあやかしが紛れているという。大達は、あやかしが起こす事件を解決するために奮闘する。大も霊力を込めた刀を操り夢中で応戦するが・・・。


作者が京都出身の方だけあって、台詞はちゃんと京都弁になっている。関西弁ではない。例えば「フォークに替えたらええわ」が京都弁、同じ言い回しでも関西弁なら「フォークに替えたらいいやん」となる。こういうのがちょっと嬉しい。全部京都弁ではなく、読みやすく調整してるのが見受けられるので、誰でも京都の雰囲気を感じる作品となっている。

リアルな町並みや京の碁盤目の道を実際に歩いているかの様な感覚になるのは、作者が京都を知り尽くしているからだろう。そこも魅力だ。


さて、来月の冬休みには5回目の京都に訪れる予定だ。今回は子供も連れて家族4人旅行。この本の舞台になっている神社に訪れたいと密かに計画しつつも、子供達には金閣寺や龍安寺も見せたい、、と迷っている。

うーん、6回目もありそうだ。

#読書の秋2021

この記事が参加している募集

#推薦図書

42,493件