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食べる#21「普段の晩御飯に猪肉を」を実現させるために

今期も猟期が終わり、有害鳥獣捕獲の期間に入りました(わが町では3〜10月)

「猪を引き取ってくれないか?」

捕獲員をされている猟師さんからの電話が入り始める時期。
まさに、我々にとってのシーズン突入!

去年、わたしたちが食肉処理した有害期のイノシシは約50頭。
わが町で有害鳥獣として捕獲されたイノシシは約1000頭。
市場に食肉として流通できたのは、わずか5%でした(ほぼわたしたちしかやってないので…)

しかし、1000頭全てを食肉処理することがベストかと言われると、
かかる労力やコスト・品質の問題から、簡単にYESと言えません。

その一番の理由は、
「猟期以外のイノシシには価値がない」
という認識から、労力をかけてまで食肉処理する人がいないということ。
(そもそもの目的は「鳥獣被害対策」であり、「ジビエ利用」はあくまでその先の話)

つまり
「求められてない(お金にならない)ことはやらない」
…そりゃそうだ。

現場に入り、捕獲するところまでの時間と労力を知っているからこそ、捕獲者にそこまでは求められません。
だからこそ、そういう方から引き受けてるのだけど…

一方で、ここ数年で有害期のイノシシを100頭以上捌いてきて強く確信したのは、

「こんな有能な食材が食べられないのは不本意!」

ということ。
赤身肉の旨味と、家畜肉にない栄養価の高さ。
そして地域内で捕獲・処理されるので輸送コストは省力化できる。
世の中が食糧難や食品ロスを課題視する中、目の前の状況に矛盾を感じるのです。

猪肉を求めている人に価値を知っていただき、使ってもらいやすくするにはどうしたらよいだろうか?

そこで初めに思いついたのが猪ミンチとキーマスパイスのセットでした。

この中で特に大切にしたことはこの3つです。

1、どうやって使ったら良いかを提示
2、作る楽しさと知る喜びを提供
3、扱いやすさを意識

1.どうやって使ったら良いかを提示
「ジビエ」と聞くと敷居が高くて、どうやって食べたら良いか?と扱いに困る方も多いです。
そこで、まずは猪ミンチ+スパイスという組み合わせで、普通にスパイスカレーを作る工程を踏んでもらいました。
そしたら理解してもらえるのです。
「普通のミンチと同じように使えるじゃん!」と。
スパイスセットを購入された方が「今度は猪ミンチだけ買ってみたい」と問い合わせをくださるようになりました。

2.作る楽しさと知る喜びを提供
分かりやすいレシピと動画で、誰でも簡単に作れるようなプロセスに設計しました。
また、スパイスの種類やその特徴、猪肉の栄養素について「へぇ〜!」と知って今後にも活きる情報も同封。

3.扱いやすさを意識
あくまで「普段の晩御飯に猪肉を」がモットーなので、手の込んだことは排除したい!
わたしが食べてもらいたいのは、鉄分・タンパク質が不足しがちの30、40代女性です。

仕事に子育てに介護に…
自分自身の健康は後回し…という方も多いはず。
そんな方が負担にならないように

・メイン食材4個程度
・所要時間20分以内
・できるだけ家にある調味料で

というテーマで!
何より、ズボラなわたしが嫌にならないものがいい。笑

前述した条件をイメージして、ここ2ヶ月で研究したレシピです。

before
after

一部はcookpadに載せてます。


皆さんの食卓の選択肢に猪肉を加えてもらえるように、ちょっとずつわたしのレパートリーを増やしていけたらと思ってます。

テーマ決めて食べ方考えるの、案外楽しい。
一緒に美味しい食べ方考えてくれる人、募集中!!

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