最近の記事

『カフェの魅力。理由はボーダーレスにある? :』

カフェ。ヨーロッパ発祥の偉大な文化。もともとは珈琲を意味することばが転じ、「珈琲などを提供する飲食店」を意味するようになった。そのカフェが最近、それだけにとどまっていない。そう、今まさしく、カフェのボーダーレス化が起こっている。 ちなみに私はカフェ好きを『ひっそり』公言しているが、激動の最新カフェ事情ににめちゃめちゃに詳しいとか、毎週決まった時間に行きつけて、決まったメニューをオーダーするこだわりの店があるとか、あのマスターとは昔からの顔馴染みとか、いわゆるカフェっぽくて目

    • 死体から始まる「彼女」の物語(仮)冒頭下書き

      それは、始まりを予感させる死体だった。 死体は、一面のシロツメクサ、白と深緑色の柔らかな絨毯の上で、仰向けになっている。真白のワンピースの袖から伸びた両手は丁度、みぞおち辺りで組まれていた。染めたてのような真白の髪は、その肩甲骨あたりまで及ぶだろうか、今は頭部を中心に、地面の上に均等に広がっている。微笑みを湛えたようにも見える口元には、ほんのりと赤みが差し、なんといっても、細かい皺がたくさん入った瞼の奥にある、つやつやと輝いた真っ黒のビー玉のような目は、(もちろんこれは想像だ

      • ひとところはこんなところ。

        ひといき つく ところ。 ひと が あつまる ところ。 ひとり でもこれる ところ。 ひと と こころ が つながる ところ。

        • トロント百景【三、そこに特別に溶け込んでいるナイトバス】

          ナイトバス、深く沈んだ夜の間だけ走る、特別なバスだ。夏の間中、トロントの夜には溶けない魔法(というとやや気恥ずかしい響きがある。)がかかっていて、それはもう、全く、夜にならない夜だ。帳の下りない夜だ。街中の人は、いつまでも眠らないことを許されている。覚醒と夢想の混じる頃、下りた帳は街に灯りを連れてくる。ぼんやりと滲んだ、少し憂いをたたえた灯りだ。それは丁度、賑やかなサーカスを、もうすっかり終えてしまったテントから抜け出して、微かに潤んだ瞳で見上げた灯りに似ている。 その灯り

        『カフェの魅力。理由はボーダーレスにある? :』

          トロント百景 【二、 ミスター・ティムホートン 】

          スターバックス・コーヒーは、日本はもちろん、今や世界中のどこを探してもある、と言っても過言ではなく、それはトロントも例外ではない。むしろ日本よりも多い。どこを歩いても人魚。どっちを向いても人魚。そんな街で、人魚に勝るとも劣らないのが、赤い看板のミスター・ティムホートンなのである。(正式にはティムホートン。通称ティム) その佇まいと、圧倒的な店舗数から、うっかりコーヒー・チェーンと見まがうティムホートン、実はドーナツ屋さんである。そして、その種類の豊富なこと。ショーケースに並

          トロント百景 【二、 ミスター・ティムホートン 】

          トロント百景 【一、ビルの間から覗くCNタワーの風景】

          顔を上げた瞬間、自分がここに立っているという現実と、日常から遠く離れ夢にまで見た『ここ』に自分が立っている現実というかつての空想の、狭間に幾度も垣間見た巨大な電波塔。

          トロント百景 【一、ビルの間から覗くCNタワーの風景】