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Korean Music 22 ベストソング  【K-POPアイドル編 50-1位】


K-POPと聞いて何を思い浮かべるだろうか。
あらゆる芸術分野において肥大化はジャンル概念の宿命である。
韓国の音楽は朝鮮戦争休戦以降アメリカの音楽を借用・現地化のプロセスを経て、90年代以降はK-POPとして自覚的に、ドメスティックにもグローバルにも発展を試みてきた。その成果のひとつとしてBTSは『Dynamite』『Butter』で成功を収めた。
しかし一方でジャンルとしてのK-POPは明確な定義がなされることないまま肥大化の一途を辿っている(当然J-POPもこれに当てはまる)。そしてコンセプトとしてのK-POPは、近年はガールクラッシュをコンセプトとしたものが主流になっている一方で、それらは飽和状態になりつつもある。
そんなK-POPは2022年において、第4世代を中心としてK-POPの新たな形を模索しているように私の目には映る。流石にAlter K-POPとジャンルとして呼ぶのは気が引けるが、K-POPのローカルな志向とグローバルな志向の間でaespaやNewJeans、LE SSERAFIMを筆頭に新世代のアイドル達は、K-POPにオルタナティブな可能性を見出している。
そこで今回はK-POPの新たな可能性を示したオルタナティブな楽曲を可能な限り評価することを目的として2022年のK-POPから50曲を選出した。


【選出にあたっての条件】
選出にあたって下記の2つの条件を設定した。

1)一般的にアイドルとして活動している
(現在アイドルグループで活動状態にありながらソロ活動をしているアーティストも含む)

2)apple musicのジャンルにてK-POPという表記があること
(apple musicのジャンル分けがどれほど適切か不明ですが、条件を設定しないと書けないので)


※一般的にK-POPは視覚情報も重要とされるのでMVやパフォーマンス動画のリンクを添付しているので是非参照までに。



【50-41位】

50. Red Velvet 『Feel My Rhythm』

SM Entertainment 所属のRed Velvet(通称:レドベル)が2022年3月にリリースした7thミニアルバムのリード曲。バッハ『G線上のアリア』の巧みなサンプリングと広がりのあるボーカルが印象的な一方で、基本のトラックはDOPEという奇妙な組み合わせなのに違和感のない仕上がりとなっている。今年はこの楽曲がリリースされて以降、同じようにクラシックをサンプリングした楽曲が目立ったが、結局FMRのクラシック引用の仕方が一番秀逸。


49. CSR 『Pop? Pop!』

MV:https://youtu.be/6vbwpEc0EeA

2022年7月にデビューした全員が2005年生まれで構成されたグループ、グループ名CSRは日本語で初恋を意味し、正にその名前通り甘い雰囲気が溢れる楽曲となっている。キラキラし過ぎて視界がボヤける。
GFRIENDやLovelyzといった所謂清純系アイドルの系譜に連なるグループと位置付けることが出来る。メンバー自身がGFRIENDを好きすぎるのかよく分からないが実際に1theKのyoutubeチャンネルではダンスカバーを披露している(https://youtu.be/VcM5z0dyhzA)。
しかし清純系アイドル系譜とは言え、2022年にこのサウンドのアプローチでも成立するんだと、そのアナクロ感に新鮮な驚きがある。


48. LE SSERAFIM 『Good Parts (when the quality is bad but I am)』

2022年5月にHYBE傘下SOURCE MUSICよりデビューしたLE SSERAFIMが、10月に発売した2ndミニアルバムに収録されるベッドルームポップ。Salem Ileseが作家として招かれ、メンバーの宮脇咲良とホ・ユンジンも作詞に参加している。ベッドルームポップに「あなたの良い所も悪い所も愛してあげて、あなたはあなたらしく良い所見つけな(超訳)」みたいなエンパワメント歌詞を載っけるのちょっとズルいですね。
それにしても、Mnetのcomeback showにて公開されたハイスクール・ドラマをモチーフに極限まで美化したようなMVがめちゃくちゃ可愛い。脳が溶けるとはこのこと(https://youtu.be/jJxMlmf58SM)。


47. NAYEON 『NO PROBLEM (feat. Felix of Stay Kids)

TWICEからは1人目のソロ歌手として活動ということで、今年の6月にアルバム『IM NAYEON』をリリース。リード曲『POP!』はtiktokとかで毎日のようにカバー動画が流れてきたんだけど、それ以上に本アルバムに収録されていた『NO PROBLEM』がまぁ素晴らしい。Ariana Grande好きな人は全員好きでしょこれ。あと客演のStray Kids フェリックスは髪型いつも格好良くて好きです。


46. YENA 『SMARTPHONE』

2022年1月にソロ歌手としてデビューしたIZ*ONE出身のイェナによるの2作目のリード曲。彼女の作品の特徴は、幼少期に病を患い、練習生になり、IZ*ONEとしてデビュー、そしてソロ歌手として歩みだしたという彼女の確かなバックグラウンドを踏まえて、持ち前のポジティブバイブスで人々をエンパワメントするという点である。「I'm feeling you 私と遊ぶ?」そうやって人々に寄り添おうとするイェナの姿は、彼女自身と同じような境遇にある/あった者にとって心強い。


45. LE SSERAFIM 『ANTIFRAGILE』

和気藹々とユーモアの溢れる姿を度々見せるLE SSERAFIMは「オモロフィム」とファンに親しみを持って呼ばれている。そんな彼女たちのユーモアは当然音楽性にも現れている。aespaがhyperpopにK-POPのマキシマリズムを見出し、『Savage』をやったのだとすれば、LE SSERAFIMはレゲトンにそれを見出したのではないか。2022年5月にデビューした彼女たちは10月に2ndミニアルバム『ANTIFRAGILE』をリリースした。カムバックするまでの約5ヶ月間で様々な経験を経て、そしてLE SSERAFIMとしてデビューするまでの過去をも糧にして超えていくという非常にマッチョな内容の曲になっている。サウンド自体は2022年の世界的なトレンドへの応答として、ROSALÍAをリファレンスにしていると見られる。こうしたレスポンスの速さはK-POP、いやHYBEの特徴の1つとも言えるのではないか。実際に本アルバムは米Billboard200にK-POPガールズグループ史上最速でランクインした。またRolling StoneのThe 100 Best Songs of 2022では75位、NMEのThe Asian Album of 2022で2位、 the Best K-POP Songs of 2022で5位と今後も華々しい活躍が期待できる。
因みにMVはROSALÍA × 漫☆画太郎なので見てね。
(あと今年のK-POPのレゲエ/レゲトンと言えばMAMAMOOも非常に良かった)


44. Stray Kids 『MANIAC』

MV:https://youtu.be/OvioeS1ZZ7o

TWICEの弟分でもある自作自演アイドル・Stray Kidsが2022年3月にリリースしたミニアルバム『ODDINARY』のリード曲。BLCKPINKもやりがちなオリエンタルなイントロから、フェリックスのどっから出してるのか分からない太い声、挙句の果てには「フゥィーン フゥィーン」とかいうよく分からん擬音、とにかくフックが多い楽曲である。
この人たち10月にもミニアルバム『MAXIDENT』をリリースしてるんですけど、両アルバムともに米ビルボードで1位とってるんですよね…恐ろしい…
K-POPアーティストで1位になったのって過去にBTSとSuper Mしかいないらしく、そりゃRolling Stoneの年間ベストにも掲載される訳です。


43. LE SSERAFIM 『Sour Grapes』

『FEARLESS』『ANTIFRAGILE』とタイトル曲のインパクトが強いLE SSERAFIMだが、彼女たちの旨みが本当に出ているのはR&Bなのではないか、ライブこそが彼女たちの本質に近いのではないか、そう気付かされた楽曲である。
NewJeansやIVEも共に出演した韓国・延世大学の学祭ライブの際に披露したSour Grapesは伝説なので必見(https://youtu.be/WwOFknASJAg)。


42. BLACKPINK 『Pink Venom』

BLACKPINKが約2年ぶりにリリース。この楽曲はRihanna『Pon de Replay』、The Notorious B.I.G.『Kick in the Door』のサンプリングで話題になりましたね。いつも通りのBLACKPINKと言えばそれまでなんですけど、LISAとJENNIEのバースはブチ上がらない方が無理がある。2年経て更に鋭角な風格になっている印象、惚れ惚れとする。
因みに所属事務所のYGが今ゴタゴタしてるみたいですが、BLACKPINKの妹分・BABYMONSTERが2023年にデビュー予定ということで期待が高まる。


41. NAYEON 『LOVE COUNTDOWN (feat. Wonstein)』

韓国のラッパーによるサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』への出演経験、LeeHi『H.S.K.T.』やNCTのTAEYONG『Love Theory』にも参加したWonsteinを客演に招いたナンバー。正直TWICEのメンバーのソロ曲とかまで把握してなかったので、ナヨンこんな包み込むような歌い方出来るのかという発見があった。何よりWonsteinのフックになりつつも、ヒーリング効果ありそうな声質のラップが素晴らしい。恐らくだがWonsteinは石若駿なみにどこにでもいる、それぐらい彼の声に魅了されてるアーティストが多いということであろう。そしてこの楽曲が収録されるアルバム『IM NAYEON』はプレイリスト向けの良R&Bが詰まってるので必聴です。


【40-31位】

40. KEY 『Gasoline』

えっとね、どっから触れたら良いか分からないんですけど、これは完全にやってます。もろ大ネタLil Nas X『INDUSTRY BABY (feat. Jack Harlow)』で、かましている。本当に清々しいくらいに。ここまでの開き直り方されると、もう笑うしかない。所謂「パクり」とか「参照」のレベルじゃないんですよ(オマージュです)。ほぼサンプリングの域です(オマージュです)。ポップカルチャーって、そういうもんですよね、はい負けました。最高。


39. Stray Kids 『VENOM』

MV:https://youtu.be/pM-jOfy_1jM

「頭の悪い」音がしている。K-POPの歌謡臭さをベースに、K-POPのマキシマリズムな部分を肥大化させるとこんな感じになるんだ…といった印象。まあとにかく自分のデータベースにはない音がしている、強いて言うなればFlumeあたりで聴いたことがなくもない。Stray Kidsはやはりこういったフックが強めな所が特徴的であり、特に今年のメイン2曲『MANIAC』『CASE 143』は良くも悪くもTikTok的で非常に興味深い。
あとこの人たち、めちゃくちゃ来日頻度が高い。


38. IVE 『ROYAL』

これぞQUEEN。2022年K-POPの王座についた彼女たちの高らかなる宣言を前にして、人々のあらゆる思惑は意味をなさない。なぜなら彼女たちはQUEENであり、我々は「その他大勢」なのだから。JUST STAN IVE!!


37. WJSN 『Done』

今年大ヒットを飛ばしたIVEの先輩に当たり、サバイバル番組・Queendom2にも出演し話題となったWJSNが、1年3ヶ月ぶり2022年7月にシングルをリリース。同楽曲はRina Sawayamaが9月にリリースしたアルバム『Hold The Girl』のダイナミズムと重なる部分がある。まあ良いファンクなんですよ。そして同シングルのタイトル曲『Last Sequence』はIZ*ONE『Sequence』(作曲家が同じ)やKep1er『MVSK』が好きな人は好きだと思います。


36. NewJeans 『Hurt』

この楽曲はプロデューサー・250(イオゴン)の溺れるようなシンセのヤバさに尽きる。朧気というか淡い感じというか、そういう音色のお手本ですよね。そしてもっとヤバいのが250本人によるHurt Remixである。さすが傑作『PPONG』を生み出した勢いに乗ってるアーティストなだけある。
そして以前NewJeansが来日した際に、名古屋で撮影された郷愁を誘うようなMVには、日本でこんなのを普通に撮れるんだ…と殴られたような感じで敗北感を味わわされる(https://youtu.be/uONSk48LW1A)。


35. ICHILLIN' 『Draw』

MV:https://youtu.be/t6hTxNCwRQ8

2021年にデビューしたICHILLIN'はNewJeansのミニマルさにに追随する形で、11月に3rdシングル『Draw』をリリース。ミニマルなトラック、決めの部分のキャッチーさが絶妙な絶妙なバランスで配置されており、簡素で耳馴染みの良いものになっている印象を受ける。


34. (G)I-IDLE 『TOMBOY』

Olivia RodrigoやMåneskinが評価され、Avril Lavigneが再評価される時代にあって、世界的な規模で考えたときに(G)-IDLEがロックの選択肢のひとつとして同列に語られないなんてことがあってよいのだろうか。
2023年のサマソニきてくれ!!


33. LE SSERAFIM 『Impurities』

MV:https://youtu.be/Ccz123Jlflc

2ndミニアルバム『ANTIFRAGILE』に収録される、ドリームポップの雰囲気を漂わせる上質なネオソウル。1作目『FEARLESS』に収録されていたSour Grapesから、R&Bに活路を見出したのか2作目にして正解を叩き出してしまった。
どこまでも行く彼女たちの欲望に付き合うのも悪くない選択だろう。


32. NewJeans 『Cookie』

NewJeans「New Jeans」で唯一250(イオゴン)が作曲で関わっておらず、XXXのJinsu Parkがその楽曲を手掛けている。K-POP然としておらず、歌い上げることもなく、リズムだけで推進して行き、ただ踊れる。そうかこのミニマルさで良いんだよね思わされる。
あとやっぱ単純にMVとスタイリングとコレオがバチバチに決まっている、僕もこれになりたいです…!!


31. NewJeans 『Attention』

ほぼ全員が「殴られた」に違いない。2022年彼女たちがデビューするまで、メインストリームでは所謂「ガールクラッシュ」というコンセプトのもとサウンド自体も過剰なものが流行しほぼ飽和状態にあったように思える。そうした中で颯爽と登場した彼女たちはY2Kを思わせるようなスタイリング、ミニマルで洗練されたサウンドでK-POP、いや世界における90's~00'sのリバイバルの先頭集団となった。


【30-21位】

30. Kep1er 『MVSK』

パフォーマンス:https://youtu.be/3koOE2MN1gw

日中韓の練習生たちが参加したサバイバル・オーディション番組『Girls Planet 999 : 少女祭典』より、2022年1月にデビューしたアイドルグループ・Kep1er。『MVSK』はそんな彼女たちの1stミニアルバム『FIRST IMPACT』に収録されている。本当はこういった音数の少なめな楽曲をリード曲としてやってほしいという個人的な願望もありつつ……。WJSN『Last Sequence』やIZ*ONE『Sequence』などに並んで、こんなんなんぼあっても良いですから。活動期間が2年6ヶ月と限定されているため、今後のカムバックでどんな新しい一面を見せてくれるか期待が高まる。

追記
新シリーズとして『BOYS PLANET』というオーディション番組を2月からやるらしいので、興味があればAbemaで見てみてください。


29. tripleS 『Rolex』

tripleSから最初にデビューしたユニットAcid Angel from Asiaが11月にリリースした1st EP『ACCESS』に収録される切ないストリングスが印象的な極上のR&B。「It's gold or white?」「It's mine or not?」「It's new or classic?」と問う彼女たちのパフォーマンスには切実さが宿る(https://youtu.be/aFf9zpH5ahc)。
そんな彼女たちtripleSを2023年も見逃すわけにはいかない。


28. SEVENTEEN 『'bout you』

所謂第4世代の躍進により女性アイドルの年とも言われた2022年においても、素晴らしい作品を遺してくれた男性アイドルグループがSEVENTEENである。そんな彼らのアルバム『SECTOR 17』に収録されるK-POP×ゴスペルの多幸感溢れるナンバー『'bout you』は、苦境にあれど、この先もただ君について歌い続けることを高らかに宣言する。


27. aespa 『Illusion』

2021年に『Savage』や『Next Level』で日本でも大きな注目を集めたギャル達が、ブラックマンバをも喰らう貪欲なトラップミュージック『鬼火(Illusion)』をリリース。この曲、ガールクラッシュの潮流の中では結構渋い曲だと思うんですよね。それでもこの順位に食い込んでいるのは、獰猛な動物の唸り声のような楽曲の重心の低さと、彼女たちがK-POPにおいてアウトローであることを示す楽曲であるから。
皆さんもアイドルに夢中になって喰われないように気を付けてください!


26. IVE 『After LIKE』

IVEは恐らく2022年デビューしたK-POPアイドルの中で一番アイドルである。そんな彼女たちは8月リリースの『Afte Like』にて80'sや90'sがトレンドとされる中で、まさかのGloria Gaynor『I Will Survive』をサンプリングするという衝撃。楽曲に留まらずMV見てもらっても分かると思うのですが、なんか本当にもう気前がいいというか、景気が良いというか。まあ実際に『LOVE DIVE』で爆発的なヒットを飛ばしたからこそ、真面目に遊んじゃえという思い切りの良さがある。
とにかく「ただそこに居るだけでIVE」を体現している楽曲な上に、それで全然通用してしまう。そうそれがIVEなんです。


25. (G)I-IDLE 『Nxde』

筆者はこの楽曲について語る言葉を持たない。
しかし1つ言えるのであるとすれば、我々はもう少し、アイドルを主体的な存在として信頼を置いても良いのではないだろうか。
我々が思っている以上に、遙にアイドルは主体的な存在であろう。


24. BTS 『Yet To Come』

事実上の活動休止となったBTSが2022年にリリースした『Proof』に収録された楽曲。『Dynamite』『Butter』で世界的なヒットをした彼らは現状に満足せず、まだ始まったばかりであると野心を絶やさないようである。「We gonna touch the sky, before the day we die」とKanye West『Touch The Sky (feat. Lupe Fiasco)』をオマージュしたRMのバースはアジアを代表するポップアイコンとしての自覚と覚悟が窺える。


23. YooA 『Lay Low』

MV:https://youtu.be/UFf9ifk0lB4

結局こういうキャッチーさ溢れるポップスが好きなんですよね。フックの雰囲気から、サビのキャッチーさが印象的なOH MY GIRLの延長線上にあるソロプロジェクトであることがよく分かります。


22. ONEW 『DICE』

SHINeeのONEWが4月に『DICE』でカムバック。彼の手に掛かれば、彼の甘い声を聴いた人の耳を溶かすのは容易いに違いない。例え虚無のダンスフロアであっても、彼は我々の手を取り、ダンスフロアと私の心を幸せで満たしてくれるであろう。


21. KEY 『Ain't Gonna Dance』

SHINeeのKEYもONEWに続き8月に『Gasoline』でカムバック。アートワーク通り今作では色々な一面を見せてくれますね。こういう808の太いベースでミドルテンポの曲やられるともう堪らないんですよね。


【20-11位】

20. KEY 『Delight』

끝없이 차오른 delight (果てしなく込み上げるdelight)
석양 아래 Tequila (夕陽の下のTequila)
달콤히 취하게 빛나 (甘く酔って輝く)
내게 유일한 delight (私にとって唯一のdelight)

KEY『Delight』

こちらもKEY『Gasoline』に収録されるファンクナンバー。これは確実に酒を飲みながら詞を書いている。「여긴 라퓨타(ここはラピュタ)」とまであるが……これはDelightに酔えということなのか? 
ONEWにしてもだが、彼らSHINeeのメンバーは虚無のダンスフロアで虚無で踊ることを許してくれない。心満たして踊れと。


19. YENA 『SMILEY (feat. BIBI)』

IZ*ONE出身のイェナのソロ歌手としてのデビュー曲、88risingにも名を連ねるBIBIが参加している。Paramore、Avril Lavigneの再評価、Olivia Rodrigoのブレイクに呼応するようなポップパンクと所謂Y2Kスタイルで2022年のK-POPのスタートを宣言した。
「Im gonna make it smile smile smile away」と歌う彼女には、本当に世界を救ってしまいそうな気概を見出せる。そしてそこには無責任さをも感じさせない。


18. SEVENTEEN 『_WORLD』

R&Bのテイストを加えた今年一番良いファンク。
同楽曲が収録されるSEVEENTEEN『SECTOR 17』が名盤であることは何度でも言っていきたい。


17. NCT 127 『2 Baddies』

こんなにもSwagなアイドルグループは世界のどこを探しても存在しない。ガールズグループの年において、SEVENTEENに並び傑作『2 Baddies』をリリースしたNCT 127。そのアルバムのリード曲である『2 Baddies』のドープなサウンドは過去作を上回るほどに我々をサイバーパンクの世界へ引き摺り込む。


16. YooA 『Selfish』

OH MY GIRLのYooAが11月に2ndアルバム『SELFISH』で2年振りにカムバック。タイトル曲『Selfish』は本人のボーカルをサンプルにループさせたトラックが特徴的である。あまりのクオリティの高さに選出に支障をきたすほど「というかK-POPなのだろうかこれ…」と悩まされた。これもうBeyoncéの隠しトラックか何かなのでは。


15. FIFTY FIFTY 『Higher』

11月にEP『THE FIFTY』でATTRAKTとかいうほぼ無名?の事務所からデビューしたスーパールーキー。
グループ名の由来はNAVER VIBE(https://vibe.naver.com/album/8344305 )に記載されているものを要約すると「人生の岐路に立ったときに目の前には2つの未来の可能性が存在し、不安と期待を抱えながら進む」というもの。コンセプトの雰囲気はaespa的なマルチバースっぽい。そしてタイトル曲『Higher』にはTXT『MOA Diary(Dubaddu Wari Wari)』やKEY『Another Life』に携わったArcadesが参加しているとのこと。
とにかく情報がなさすぎるんだけど、曲が良いアイドルです。
間違いなく2023年の注目株の内のひとつ。

Arcades : https://www.discogs.com/artist/7239161-Arcades-3


14. formis_9 『Stay This Way』

5thミニアルバム『from our Memento Box』のタイトル曲である『Stay Thsi Way』は「この夏の一瞬をどうか留めておきたい」、そんな想いに駆られる楽曲だ。終盤にかけて強調される線の細い高音域のシンセは、夏が終わりに近づくような刹那的な印象を抱かせる。毎年花火が打ち上がれば夏の終わりを感じるように、この楽曲を聴けば来年も再来年も2022年の夏の終わりを思い出すであろう。


13. ONEW 『Yeowoobi』

やばい、サマソニのMARINE/OCEAN STAGEで聴きてぇ……!!
ランドスケープが思い描ける。エヴァーグリーン味溢れるインディロック気質なギターサウンド、これ堪らん。この曲聴いたら「どうでも良いや!」って、もう1日が全てダメになりそうである。
(余談ですけどちょっと中村倫也に見える瞬間がある、雰囲気?)


12. NCT 127 『Faster』

パフォーマンス:https://youtu.be/sNaPZevn4jQ

加速する。Kamui『YC2.5』と共鳴するかのように異様なまでにスピードに執着する男達。これまで以上にサイバーパンクな世界観を描き出したアルバム『2 Baddies』の1曲目としても非常に没入感に長けている。
一度抜かされたらもう誰も追いつけない、速すぎる。


11. aespa 『Girls』

こちらもNCT127に続きサイバーパンクな世界観を描き出した楽曲。
aespaはSMエンタ所属ということもあってか、K-POPのマキシマリズムな部分にかなり自覚的な態度が感じられる。それが如実に現れているのがこの楽曲。
目を合わせたら確実に殺られる。
GO FOR THE KILL!!


【10-4位】

10. NewJeans 『Ditto』

この曲には「正の感情」も「負の感情」も呼び起こし、優しく包み込む力がある。そのエネルギーに否応なく、登下校の時に吐いた息が白かったこととか、塾の帰りに空を見ると、とても星が綺麗だったこととか全て思い出される。それもこれも実像と虚像の間を行き来するアイドルによって喚起されるものだからであろう。


9. MARK 『Child』

2月にリリースされたNCTのMARKによるソロプロジェクト楽曲。
こうした表現は避けたいが、さしずめ「BROCKHAMPTON」meets「The Black Skirts」と言ったところか、或いはKanye West『ye』か。インディロックのサウンドとゴスペル風のコーラスが自暴自棄になる思春期の青年の脆い心と童心を描き出す。


8. XIUMIN 『Brand New』

EXOのXIUMINによるヤバ曲、インパクトあるイントロからアドレナリンがドバドバ。ベース!キック!ベース!キック!最高!
ダンスブレイク(ブリッジ)の部分でアグレッシブな自身のボーカルサンプルをループさせるのは狡いですって……。


7. (G)I-DLE 『MY BAG』

恐らくG-EAZY『No limit (feat. A$AP Rocky & Cardi B)』やSaweetie『Best Friend (feat. Doja Cat)』をリファレンスにしている?そもそもリーダー・ソヨンのラップのフロウはCardi Bを彷彿とされられるものである。自分達に何が似合うかを非常によく理解しているのは作曲家としてもアイドルとしても素晴らしい。そしてメンバーそれぞれの声質に合わせたバースの構成も非常に冴えたプロダクションですね。
ちなみに2022MAMAの時に披露したMY BAG (https://youtu.be/DBvpYum2zeg)のソヨンのボースティングはバチバチに決まってて白旗です。


6. FIFTY FIFTY 『Tell Me』

MV:https://youtu.be/F8rp_eSOtxA

15位にランクインした『Higher』と同様にEP『THE FIFTY』に収録されるレトロなシティポップ風の楽曲。リバーヴと相性の良いAranの透明感ある歌声とKeenaのフックとなるような癖のある歌声のアンマッチ感が、寧ろこの楽曲のコミカルさとポップスとしての強度を引き上げている。どうやら作曲にはSHINee『Lucifer』にコンポーザーとして参加したAdam Kapit、aespa『Savage』にコンポーザーとして参加したHautboi Richらが参加しているとのこと。
本当にこの人たち何者……?

Adam Kapit : https://www.discogs.com/ja/artist/2542243-Adam-Kapit
Hautboi Rich : https://www.discogs.com/artist/10920739-Hautboi-Rich


5. STAYC 『RUN2U』

全編泣きの音がする。ライブで聴いたら確実に泣く。
イントロの多幸感とピーキーさで完全にトリップする。
これまたライブver.が極上である。
イントロが長ければ長いほど脳が溶ける良い曲!!
STAYC GIRLS ITS GOING DOWN!!


4. LE SSERAFIM 『FEARLESS』

今年5月にHYBEのレーベル・Source musicよりデビューした5人組グループ。元IZ*ONEのメンバー宮脇咲良&キム・チェウォン、PRODUCE48にも出演していたホ・ユンジン、オランダへバレエ留学をしていたカズハ、そしてNewJeansの候補生でもあったホン・ウンチェという特徴的なメンバーで構成されている。
彼女達のデビュー曲『FEARLESS』は身体に響くベースのかっこよさが特徴的なイントロでぶち抜かれる。ガールクラッシュをコンセプトにK-POP然としたサウンドに飽和状態にあった2022年おいて、NewJeansとは別の形でK-POPのオルタナティブな方向に活路を見出したのではないか。


【3-1位】

3. tripleS AAA 『Generation』

欧米圏で人気の高いLOONAを手掛けたプロデューサーであるチョン・ビョンギ(Jaden Jeong)が新しく立ち上げたグループである。そんな新人アイドルグループtripleSは、NewJeans以後と言うのは正確ではないが、確実にNewJeansとベクトルが近しく共鳴しているのが印象的である。
学校という抑圧された環境、そこから飛び出して自由になる、Y2Kのスタイリングで流行りのNewJeansをオマージュしたようなダンスを踊る、TikTokに動画をアップロードする。
tripleSはTikTokの時代に生きるスマホネイティブ世代なのである。


2. NewJeans 『Hype Boy』

SMエンタにてRed VelvetやEXOなどを手掛けたミンヒジンが、HYBEにて新たに立ち上げたレーベルADORより8月にデビュー。90-00年代の雰囲気を漂わせるそのナチュラルさがK-POPに新しい風をもたらした。K-POPを前提として作ってないのを非常に感じるが、やはりミンヒジンが音楽好きというところに由来するのだろうか。しかし限りなくK-POPという歌謡曲としての体裁は保たれている。世界的に売れに売れるポップミュージックは、このギリギリポップだと感じるスポットを探し当てる嗅覚と、無関係のはずの文脈を自身の音楽性にローカライズさせる技術的な部分で非常に優れているように感じられる。
それはそれとして終始STAYC『RUN2U』にも通じるような泣きのサウンドで、何だか良い曲だよな……と骨の髄まで沁み渡る。
加えて、流石に1曲でMV4パターンは、その資本力に度肝を抜かれる。


1. KWON EUN BI 『Glitch』

間違いなく今年1番良いK-POP、そしてかなり良いUK Garage。
音数は少ないのに音色はハイプな雰囲気という、めちゃくちゃ良いバランス感覚に思わず拍手。偶然なのかトレンドに対する嗅覚が非常に鋭いのか分からぬが、hyperpopの流行や今年クラブ/ダンスミュージックがリバイバルしつつあることをを顧みても、ダンス×過剰なサウンドが特徴的なK-POPが世界的にも注目を浴びているのは良くできた話である。その点で「Glitch」は象徴的な楽曲とも言えるのではないかと個人的には感じている。
また視線の行くネイルアートが一層映える、ヴォーギングを取り入れたコレオ含めて圧巻である。クォン・ウンビがDIVAであることを証明する最高のクリエイティブである。




【番外編】 

選外ですが紹介しておきたい3曲を紹介します。

HUH YUNJIN of LE SSERAFIM 『Raise y_our glass』

LE SSERAFIMのホ・ユンジンがグループ結成100日の記念にメンバーへの想いを綴ったベッドルームポップ。
THE 1975『Guys』で泣く人なので当然泣いた。


NMIXX 『O.O』

ビートスイッチを用いた、上半身がトラップで下半身がポップロックのほぼケンタウロスという瞬時には全く意味の分からない曲。ビートスイッチ部分にはシームレスさの欠片もないが、その違和感は非常にユーモアに溢れている。本人達はこれをMIXX POPと称すると共に確立を目指しており、今後も我々を驚かすような楽曲を届けてくれるであろう。


ITZY 『SNEAKERS』

ガールクラッシュの印象が強かったITZYが、まるでアイコン化を拒否するかのようにスニーカーを履き等身大であることを望んだ。
そりゃヒールでは遠くまで走れないですから。



【Apple Music / Spotify Playlist】

※諸事情のため現在Apple Musicは非公開


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