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シアター・ホームステイinアトリエ銘苅べ―ス②

滞在二日目。

昨日の夜に当山さんと安和さんから伺った、地元のスーパー、ユニオンへ買い出しに出かけました。

ユニオンの入り口。

「♪おきなわ、みんなでおっきなわ」というテーマソングの中、うわさに聞いていたお惣菜コーナーの充実ぶりを横目に見ながら飲料水や食料を買い込み、外へ出たついでにすこし海の方へ向かってみました。

ユニオンのテーマソング、「沖縄、みんなで沖縄……?」と怪訝に思っていたところ、「沖縄、みんなで大っきな輪!」という形で韻を踏んでおられるとのことでした。)

那覇空港近くのビーチ。

空港からほど近い浜辺でこの碧さ!そこらじゅうでたくさんの人が日焼けにいそしんでおられました。

4月のこの時期でもう結構な暑さだったのですが、本当の夏になると沖縄の皆さんはビーチパーティーといって海を見ながら飲むのだそうです(本土みたいに花見ができないから)。

さすがにその時期になると昼間に裸で海に入るのはほとんど自殺行為に等しく、沖縄の人はぜったいに裸で海水浴はしない、ということも聞きました。

午後には首里城へ。

銘苅ベースから歩いて10分、モノレールの古島駅から首里駅まで移動し、城壁沿いに歩いて本殿の方へ向かいました。

モノレール古島駅にて。

駅から歩いて行った方向的に、守礼門を裏からちらっと見る形になり、順路を追ってスルーしかけそうになったところ、守衛さんが「あなたがいま裏からちらっと見ておられたあの門が守礼門といって、二千円札のモデルにもなった沖縄の象徴のような場所です。どうか表から見ていってください」と声を掛けてくださいました。

首里城の守礼門。

首里城、展望台からの眺め。

首里城の展望台から。

夜には銘苅ベース、当山さんの劇団である劇艶おとな団の団員の方々とお話しすることができました。

夜でも上空をバンバン飛び交うヘリコプターの音に、当山さんに「時計をみてください」と言われてスマホを確認してみるともう夜10時すぎでした。

「あれがオスプレイです。夜だろうがなんだろうがお構いなしで、たとえば北朝鮮や近隣の国で不穏なことが起こると、如実に軍用機の飛行回数が増えます。」とのこと。

その飛行音もかなり近く、オスプレイが通るたびにその爆音で会話が途切れがちになったり、「冗談抜きでパイロットの顔が見えることもあります」といったお話を聞いたりして、米軍基地がすぐそばにあることの意味を体で感じました。

島らっきょうを「ちくる」(繕う)。

そして皆さんとそれはもういろんなお話をさせていただいた中で、特に印象に残っているのは劇艶おとな団という劇団と、アトリエ銘苅ベースを建てた皆さんの心意気についてでした。

劇艶おとな団はみなさん本業を持っていらっしゃる社会人の劇団で、当山さんが演出を務め、劇作は安和学治さんが、そして学治さんのお兄さんである安和朝彦さんが団長を務める分業体制が整っているとのことでした。

しかも劇作に関しては折に触れて学治さん以外の人が手伝ったり執筆したりすることもあり(『9人の迷える沖縄人』でも作家は安和学治さんと、国吉誠一郎さんのお二方がクレジットされています。)、江戸時代の芝居小屋の戯作者のギルドを思わせる充実ぶりを感じました。

演出と劇作がお互いに信頼してそれぞれの領分で思い切り仕事をし、時に現場に筆を委ねたりしながら創作を進められているとのことで、主宰が作・演出を一人で兼ねることが多い東京の小劇場とはまた少し違う、創作のイニシアティブを分け合う成熟した大人の創作の佇まいを感じたりしました。

すくがらすが乗った島豆腐!

また、アトリエ銘苅ベースを建てるのにあたってたくさん力をお借りしたという、野村政之さん、杉山至さん(”空間の魔術師”)のお話もたくさん伺いました。

たとえば当時候補地としていろいろな物件を探してみたものの、今の銘苅ベースの空間を見た時に「ここを劇場にできるんじゃない?」という杉山さんの言葉が場所選びの決め手になった、というようなお話を伺ったりしました。

銘苅ベースを建てるのにあたって全国の民間の小劇場を見て周り、いろんな方々に話を聞いて勉強する中で皆さんは「普通に考えたら劇場という施設は絶対にペイしない。儲かるわけがない。」という結論にいたったそうです。

それでもなお、「劇場を建てる機会なんか一生でそうそうあるものではない。そんなチャンスが目の前にあるのなら、ぜひ建てよう!!」と決めて銘苅ベースを建てられたそうです。

劇場を建てたいと思って、建ててしまった人たちが目の前にいる。そして自分もまた、自分の劇場を建てることをゴリゴリに夢見ている。

「なんだこれ、すごく楽しいな!!!!!」と思いながら、二日目の夜は更けていくのでした。

ちむどんどんも、要チェックであります。

すくがらす。奥に見えるのが学治さん。




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