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ブルーに燃え上がって〜映画「Blue Gient」

ふらっと立ち寄ったロードショー、近くにある立川の映画館は、極音=音響がいい、という理由もあるけれど、そこで観たアニメの音楽映画に、胸を貫かれたように感じた。

以後、繰り返し本作を観た。劇場側の会員制度が整ってるのは、自分のような、どうしても映画館で観たい映画をもつ人間にはありがたかった。
観るたびに、二十歳前後の登場人物たちから、抜き差しならないものを突き付けられた。

音楽に限らず、何かにトライしている者は必ず経験する、外部の圧力によって凹(へこ)まされる時。
もちろん誰よりも冷静に己を知らなければならないが、それでもなお、「凹むな、凸(でっぱ)れ」と背中を押され続ける。
時には内臓を引っくり返すほどの覚悟で、己をぶちかませ、と。

だから、登場人物たちは、誰かに容易に理解されるようなところへ、自分を置きにいかない。音を鳴らす限り、どんな時も、自分が自分であるところを、超えようとする。それが、今を生きる、今を鳴らす、事であるからだ。

所謂、根性ドラマ、青春ドラマと、この映画が別次元にあるのは、ジャズという残酷なまでに才能が露呈してしまう、力みなど一切不要の環境で、登場人物たちが青く燃え上がっているからだし、だからこそ、暑苦しいものが苦手な者たちにも、クールな熱として届く、と思う。


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