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オートバイとスポーツカー愛好家に向けたアパレルブランドをやっています。 1plus1.…

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オートバイとスポーツカー愛好家に向けたアパレルブランドをやっています。 1plus1.co.jp、国立スタジオ+、代表:森田剛(モリタタケシ)。 ケルアック「路上」に代表される、ストリート文学、JLG、カサベテス、ニコラスレイ、ラング、イーストウッド映画を嗜好(志向)します。

最近の記事

午後の白い光 〜 伴走小説 #3

↑ 第2話

有料
300〜
割引あり
    • 稀少な技術で作られた、オーダーメイドニット〜カシミアのインターシャ

      ニットの中でも別格とされる、カシミアのニット そのクオリティは、砕けた言葉でいえば、ピンからキリまで、英国スコットランド産の糸によるものが有名ですが、ニットの最高峰はおそらく、イタリアのバランタイン社による通称バランタイン・カシミアで、自分も1つ持っていますが、質感、着心地、耐久性ともに、他に類を見ません。 ニットは編地の表現方法に於いても、ある意味無限にイメージを拡げられると、アパレルの企画をしていた頃先輩から教えられました。 特注でオリジナルの布を造らない限り、既に

      • MOTOな服について〜刺繍で飾る

        「MOTO」、バイクを指してそう呼んだりする。 ジャズのミュージシャンの合言葉、COOLとかDIGみたいに、それを使うとしたら。 「MOTOな気分」〜スピード感があり、昂揚する、構造に原型的な部分を残し、ゆえに荒削りなヴィークルを、乗りこなす感覚〜スポーツカーのドライビングにも通じるかもしれない。 では「MOTOな服」として思い浮かぶのはどんなものか、取り上げてみたい。 ベッテルのスタイル 4輪のF1レースで頂点を極めた男、セバスチャン・べッテルが、ヴィンテージのバイクに

        • The Stone Rosesの革命

          1989年に或るバンドが出現した時、価値観というか、既成概念というか、そんなものが丸ごとひっくり返ってしまうような経験をした。 彼らの何が凄かったのか、その後多くの評論で語られているので、ここでは避けるとして、驚いたのは、彼らの音が世界に轟いた最初期のアルバムのアートワークそのままに、当時勝手に楽曲をリリースしたレコード会社に乗り込んでいき、ペンキをぶちまけた事(上写真)。 もちろんメンバーは逮捕されたが、結果的にそれがパブリシティとなって、バンドが世界唯一の、目が離せな

        午後の白い光 〜 伴走小説 #3

          The Nicest People On A HONDA~バイクのイメージを変えた広告キャンペーン

          1960年代に生産されたホンダのバイクを、普段メインで使用している者として、この時代のバイクカルチャーに関心がある。 今でも高速巡航をこなし、一般道では常に「エンジンを回せ」と急き立てられるようなレスポンシブな走りに、60年近く前に造られた機械である事を忘れる。下道であれば、現代の交通状況を、リードして走るのも難しくない。 そう言えば、売ってくれたバイク屋さんにも「この年代のホンダは、レーシーだからね、まったりトコトコなツインのつもりで走ったら、カブるから気を付けて」、と言

          The Nicest People On A HONDA~バイクのイメージを変えた広告キャンペーン

          「縄文ぽさ」が気になる。

          「デザインからパワーを貰う」、そんな体験を日常的な感覚として、僕たちは知っていると思う。 たとえば、バイクの形は、長い間に不要な部分はカットし、必要な部分を足して行き着いた、機能としてのデザインでもあるのだろうけれど、それだけとは思えない。 時に見るものを昂揚させ、恍惚とさせるほどのサムシング、速さに特徴づけられるパワーを、そこに感じる。 スポーツカーにまで話題を広げれば、その傾向は顕著に現れる。 機能として、ある条件下の速さやパワーを究極的に追求するなら、デザインはF1

          「縄文ぽさ」が気になる。

          『PERFECT DAYS』 ~ 現代の『東京物語』

          この映画を観た時、ヴィム・ヴェンダース監督が長い間、最も撮りたかった作品はコレだったのでは、と思った。 大学生の頃に『ベルリン・天使の詩』をリアルタイムで観た。公開の日を待ち望み、日比谷の映画館の帰り路、仲間と何時間も語り合った。 もちろん、誰もが大絶賛で、意見を戦わせるのではなく、どこに着目し何に興奮したのかを挙げ連ねた。当時そんな人々が世界には無数にいただろう。ベルリンの壁は壊され、ヴェンダース監督は世界に待たれる映画監督となった。 次回作、『夢の涯てまでも』で監督は

          『PERFECT DAYS』 ~ 現代の『東京物語』

          冬とバイクとコーチジャケット

          今年もそろそろ終わりを迎えようか、というこの頃ですが、年を通して、寒くなってきても結局コーチジャケットをヘビロテ着用しているな、と実感します。 オフィスではそれこそユニフォームのように着ていますし、自分のような、レスポンスのいい小ぶりのバイクで街乗り中心の者にとっては、ダウンやフリースなどでインナーを厚くすれば、冬場もいけます。 春や秋はもちろん、雨の心配のある時には夏にも、活躍するアイテム。気にしないで、手に取れるのがイイんですよね。 男の服の、ちょっと難しいところが、

          冬とバイクとコーチジャケット

          ブランド・イメージ〜鷹の羽の理由

          「どうしてアイテムに鳥の羽のアイコンを多用しているのですか?」 「何という鳥の羽ですか?」 「なぜ、鷹の羽なのですか?」 よく訊かれる質問に関して、少しここで書かせていただきます。 鷹の羽の柄は、古来、武士たちが好んで家紋に用いたと言われます。 信長、家康など、戦いに生きた名だたる武将たちがこよなく愛し、狩場に伴った猛禽は、勇躍と天を翔びながらも、地上に蠢くネズミほどの獲物を逃しません。 鷹匠と呼ばれ、現代にまで受け継がれた、鷹の飼育と訓練の技術を目にした時、もののふ

          ブランド・イメージ〜鷹の羽の理由

          サザンオールスターズ、茅ヶ崎ライブ(9/28)

          サザンを茅ヶ崎で観る。 チケットが取れたと知人から伝えられた時、あまりに稀少で実感が湧かなかった。 昭和から令和に至る日本の国民的バンド、ドームでも、チケットを取るのは難しいだろう。 そんな先入観もあって、機会は巡ってこなかった。ファンクラブに入っている知人があらゆる手を尽くして、今回自分のところまで回ってきた。 ラッキーが重なった。その人とは最近知り合い、仕事でよく顔を合わせる間柄になった。たまたまサザンの話題になった時、もしかしたらチケットが取れるかもしれないと言われた。

          サザンオールスターズ、茅ヶ崎ライブ(9/28)

          「トム・クルーズ〜ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」を観て

          いきなりですが、映画というジャンルの特徴と言えば、私は先ず、「動くこと」を挙げます。 絵画や写真と違って、暗い場所に大きく映された何かを、光として浴びる、その何かは、動いている。 美女であれば、その美しさに、見とれていればいい。なにかとんでもなく綺麗な女の人が、動いたり喋ったりしている、その意味を、いちいち探ったりしません。それより、感じて、映画という動くものに、出来るなら、身を任せていたいんです。 映画の中で、登場人物に、行為の説明なんてされたら、それこそ興ざめです。 庵

          「トム・クルーズ〜ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」を観て

          スピードと活劇〜地表から身体が解き放たれる時

          「2023年に、宮崎駿監督の新作を観る」、思ってもない出来事が現実となった。 自ら引退を表明した「風立ちぬ」の終わり方は、国民的作家のエンディングとして、「ああ、そうか」と頷ける形で破綻なく円環が閉じられていたし、新しい世代のアニメーション作家たちは今、豊富な時代を迎えている。 大御所が、あえてリスクを冒す必要もない。ご存知の通り、少しでも疑問符の付く作品であれば、容赦なく「晩節を汚した」とネット上の誰彼に言われまくる時代だから。 個人的になるが、トトロを別に措けば、宮崎映

          スピードと活劇〜地表から身体が解き放たれる時

          「銀河鉄道の父」、利他主義と宇宙

          役所広司氏、菅田将暉氏が、父とその子、宮澤賢治として向き合う。 賢治が終生慈しんだ妹を、森七菜さんが演じる。 そして「八日目の蝉」の成島出氏がメガホンを取る。 期待しない方が難しい作品だが、予想をはるかに上回っていた。 とにかく、物語の器が大きかった。 聖人としての宮澤賢治、(欲望に基づいた人間の経済活動という見地から言えば)だめんずの宮澤賢治、その間にある、私のような凡人には到底理解できない(また理解できなくても作品に感動する心からは何も引かれない)、宮澤賢治の、いわば

          「銀河鉄道の父」、利他主義と宇宙

          ブルーに燃え上がって〜映画「Blue Gient」

          ふらっと立ち寄ったロードショー、近くにある立川の映画館は、極音=音響がいい、という理由もあるけれど、そこで観たアニメの音楽映画に、胸を貫かれたように感じた。 以後、繰り返し本作を観た。劇場側の会員制度が整ってるのは、自分のような、どうしても映画館で観たい映画をもつ人間にはありがたかった。 観るたびに、二十歳前後の登場人物たちから、抜き差しならないものを突き付けられた。 音楽に限らず、何かにトライしている者は必ず経験する、外部の圧力によって凹(へこ)まされる時。 もちろん誰

          ブルーに燃え上がって〜映画「Blue Gient」

          午後の白い光 〜 伴走小説 #2

          ↑第1話 あの、森の中の不思議な野原に、以後立ち寄る事はなかった。どこにあったのか、離れてしまうと記憶が曖昧で、優樹もそれを再現できなかった。 あそこでスプリンクラーが回っていなかったら、間違いなく彼は、「将来についてどう考えているのか」、自らの展望を語ったと思う。話題を振った張本人は、彼なのだから。 やがて、僕たちは渦中に放り込まれた。

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          割引あり

          午後の白い光 〜 伴走小説 #2

          午後の白い光 〜 伴走小説 #1

          「それで、彼とはどんな風に知り合ったってわけ?」 硬めのスポーツシートに座りなおすようにして真美は言った。 「えっと、BM(W)繋がりって、やつかな」 「ふうん」 納得した、という風でもなく彼女は頷き、車体がかけ登ってゆく坂道の先を見た。 ステアリングの中央に位置するのと同じ白と青のエンブレムが、ボンネットの少し先に見える。と言っても、向こうはバイク、二十世紀に生産された、ヴィンテージ、と言ってもいいぐらいの代モノだ。 前世紀の大学生ならば、車やバイクは関心の的だ

          午後の白い光 〜 伴走小説 #1