丹後ばら寿司と縁の下の力持ちの話
近頃のちらし寿司は刺身が主役、それに文句はありゃしません。
ただちょっと寂しいんです、
加熱したり酢締めした具を乗せるちらし寿司がひっそりと萎んでいくのが。
俺はね、刺身を乗せて華やかでド派手なチラシ寿司も好きです。
実際、祝い事の時なんかによく作るしさ。
けどね地味(と言われガチ)な具材がメインのちらし寿司も大好きなんです。
椎茸やかんぴょうや高野豆腐の炊いたの、ガリや酢レンコンや酢取りミョウガ、オボロやかまぼこ、酢締めの魚や火を入れた魚介…
そういう”普段なら縁の下の力持ち”が主役を張ってるの素敵じゃありやせん?
バイプレイヤーズ的な感じに近いのかな。どうだろ。
なにはともあれ時代と共にゆっくり萎みつつある、そんなちらし寿司を今日は語らせておくんなんし。
・丹後ばら寿司とは
京の都の北側、丹後の地域の郷土寿司それが丹後ばら寿司。
特徴はサバのおぼろをたっぷり使う事。
日本全国には様々な寿司があってね、稲荷寿司、押し寿司、棒寿司、箱寿司、ちらし寿司、フナ寿司、はたはた寿司、手こね寿司、蒸し寿司、生寿司、酒寿司、もち米寿司、シャリだけなんてのもある。
寿司=握り寿司って考えが多いのは分かるけど、そうじゃ無くてあくまで握り寿司は1パーツなだけ。
握りは覇権を制したかも知れんけど、他の寿司にも根強いファンはいる、はず。
早く寿司の絵文字に握り以外のも欲しいわね~
丹後ばら寿司もそのひとつ。
ジャンルで言うと押し寿司の仲間。
昨今はギュウギュウ押さない風潮があるが、いにしえのはシャリとサバおぼろを数層重ねて押して作る物だ。
と、言うのも
寿司を押す理由は”空気を抜いて保存性を高める事”がメインで
冷蔵庫の無い時代の知恵なのだ。
けれど、冷蔵技術が発展し、毎日というか毎食違う物を食べる日本でちらし寿司の保存性はほとんど求められてないのは仕方が無いのかも知れない。
まぁ好きな方は押してもOK
この組み合わせは時代関係なく残って欲しいので書きます。
押さないタイプのチラシ寿司に姿を変えても残って欲しいのが丹後ばら寿司。
だって美味いもん。
・まずはサバおぼろ
丹後ばら寿司といえばサバおぼろ。
色んなレシピがあれどこれだけは外せない。
必須アイテム。
作り方は色々あるけど昨今はサバ缶を使うことが多いみたい。
みじん切りした生姜を混ぜて、サバ缶の水分ごと煮詰める。
最初は砂糖と酒を少し。
丹後ではそこいらでデカいサバ缶が売ってるらしい。日常的なばら寿司。
んで、ヘラでほぐしつつ煮詰める。
時間ない人はサバ缶の水分を切ってからやるといいけど、あの水分の旨味が好きだから入れるのオススメ。
んで醤油を少々。
これくらい煮詰まったら味を見て、みりんと醤油で好みの濃さにしていく。
メシに合いそうだ!と思うくらいの濃さがいいけど、シャリの量や他の具材、好みに合わせてね。
・他の様々な具材達
よく入れる具材は、かまぼこ、錦糸卵、炊いた椎茸、かんぴょう、高野豆腐、絹さや、グリンピース、紅ショウガ、ミョウガの酢漬け、がり、酢レンコン、タケノコ、きのこ、などなど。
まぁサバオボロがありゃOKだからあとは好きな物を好きなバランスで。
かまぼこ、錦糸卵、紅ショウガ、はよくいれるイメージ。
酢取りミョウガ
まずはミョウガを酢漬けにする。
ミョウガは縦に半分に切って、サッと茹でて熱いうちに酢に漬ける。
今回はシャリに使った寿司酢で漬けちゃった。
どうせ混ざるからいいべさ。
一時間もすると綺麗な紅色になる。
漬けすぎると不自然なくらい真っ赤になるので注意。
今回はコレをさらに縦に3,4個に切って使った。
サイズや形は好みで。
高野豆腐
高野豆腐は甘さ控えめ、出汁と薄口醤油と少しの砂糖とみりんであっさり。
今回はサバと椎茸を甘めにしたので、高野豆腐まで甘いとくどそうでね。
水分を吸いきってから更に煮詰めて、ちらしに乗せても水分が出ないようにする。
煮汁搾るのもったいないから、煮詰める設定で味付けましょね。
もし煮汁が余ったらサバおぼろや椎茸炊く時に入れてもOK
錦糸卵
錦糸卵は薄すぎず、厚すぎず。
今回はM玉2個で、25㎝くらいのを三枚。
味付けはほんのり砂糖と出汁と薄口。
ほんとうに少しだけつけておくと存在感がある気がする。
弱火でジーーっと焼いてひっくり返してサッと焼く。
ま、おうち寿司だから多少の焼きすぎはOKでしょ!
しっかり冷ましたら重ねて丸めて切る。
力を入れすぎるとちぎれるから優しくふわっとね。
冷ましてからじゃないとくっつきやすいから注意。
卵を錦糸じゃなくて卵焼きにしてさいの目切りで乗せるのも好き。
今回は高野豆腐が四角の具材パートを担当してくれるので錦糸卵です。
四角、細切り、いちょう切り、縦長、みじん、、、均一にするのもいいけどわちゃわちゃしてるのこそちらし寿司って感じがする。
ミョウガ、スナップエンドウ、しめ鯖、かまぼこ、レンコン、エビ、みたいな特徴的な形の具がはいると素敵よね。
椎茸、カマボコ、絹さや、紅ショウガ
というわけで、この日のメンバー。
サバおぼろ、錦糸卵、かまぼこ、絹さや、椎茸、高野豆腐、酢漬けミョウガ、紅ショウガ。
どれも水分を残しすぎないのが大事。軽く絞ってあげて。
色合いや味のバランスがいい品揃え。
椎茸の炊いたのはまとめて炊いて刻んで冷凍しておいた奴。
こういう時に重宝するので、炊く時は大量にこさえる。
ちらし寿司やお稲荷さん、棒寿司を作るハードルが下がるのでオススメ。
・さあ一気に盛り付けるよ
シャリを合わせる。
シャリを炊く時は、混ぜる酢の量と同じ水分を少なめに炊く、目安は1合で30cc、好みによってはもっと少ない事もあるかな。
今回は2合なんで60ccくらい。
あれば飯台で、無ければ炊飯釜で、とにかく炊き立てホヤホヤに!!酢を合わせる。
炊き上がりすぐに合わせるとベタつきにくいからすぐよ!!覚えといてね!!
我が家では米酢4:赤酢1くらいであわせた物に、甘さ控えめ、塩気控えめで味をつけます。
今回は米酢300,赤酢80、砂糖80,塩40、で合わせた。
王道のシャリなら米酢300に砂糖120に塩40だろうけど、赤酢を混ぜると甘さ控えめの方が合うのと、甘さや塩気が淡い方が(酢が効いてる方が)好きなのです。
ま、市販の寿司酢でも好きなのを使って下さい。
市販だと千鳥酢の寿司酢が好き。
シャリを合わせたら酢を馴染ませつつ冷ましたら盛り付ける。
今回はサバおぼろ、椎茸、錦糸卵、高野豆腐の順。
なんだか地味な子達ね。けどこの子達が主役なのよ!!!!
ちなみに本来の丹後ばら寿司は、シャリおぼろシャリおぼろシャリってしてから盛ることが多いそうです。
押し寿司派の皆様ぜひ。
んで次は派手だけど上品な色の方々。
かまぼこ、絹さや、ミョウガ、紅ショウガの順でちらす。
盛るってよりちらす、だからちらし寿司。
紅ショウガとシャリの相性っていいのよ。
おばあちゃんが作ってくれるお稲荷さん(ばあちゃん曰くけんけんさん)には絶対はいってたなぁ…
食べてえな。
すでにそんな文章も書いてたわ。
きっとここまで読んでる物好きなアナタはきっとこの記事も好きだと思うから読んでね。
・丹後ばら寿司の日の食卓
この日はこんな感じ
かなりいいんじゃない?
サッパリな寿司に脂ののった手羽中、そして上品な澄まし。
あとは冷蔵庫と相談した野菜料理。いいじゃん。
なんつーか寿司系には味噌汁よりお澄ましが合う気がするのよね~
なんでだろ。
自分で言うのもなんだけど、いや自分で言うけど!
この日の献立は好き素敵。
ってか自分の作る料理は全般的に好き。
自画自賛、いいじゃない、でしょ!?
・心地よいランダムとバランス
シャリの酸味と甘味と旨味に合わせて
旨味と塩気の強いサバと椎茸
プリッとした食感と旨味のかまぼこ
甘めで淡泊な錦糸卵と高野豆腐
サクサク青臭い絹さや
シャキシャキ酸っぱくてほんのり苦いミョウガ
酸っぱ美味くて爽やかに辛い紅ショウガ
というメンツがいるんだけど、すっごい良いメンバーです。
バランスが絶妙。
そんでもって具は素朴なの多いのに派手よね。
鮮やかすぎない日本の美しさとでも言いましょうか、綺麗な彩り。
紅色や桃色が素敵。
味ですか?
もちろん美味いです!
シャリの酸味とサバと椎茸の旨味が最初にきて、噛んでいく内にミョウガや紅ショウガ、絹さやの主張が矢継ぎ早にきて、最後はカマボコや玉子や高野豆腐の素朴な美味しさがふわっと包み込む。
やっぱ合う。良い組み合わせだ。
普段は縁の下の力持ちと言われガチな彼ら彼女らが主役を張ってるの嬉しいね。
あたしゃあんたらの推しだよ!!
最近急に暑くなってきて、食欲減退しそうだけど
丹後ばら寿司にしたら普段は食べきらない米の量でもペロリだね。
サッパリが中心なのはもちろん、色んな味や歯応えがあるから食べてて楽しいんだなぁ~
お刺身を使ってないから二日目ってのも美味い。
食べきれなければ冷蔵庫いれて次の日ね!残しても捨てちゃあいかんよ!!
温めても美味しいけ、蒸したりレンチンもアリ。
良い料理。またこさえよう。
夏がくる。
夏になると聴きたくなる音楽のひとつ。なんでだろ。
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