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#0133【不合理の果てに(旧約聖書:イサクの献納)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
今週は、旧約聖書の物語シリーズをお送りします。

【0114:イサクの誕生予告】の続きからになります。

前回の「旧約聖書の物語」では、イサクを巡って神がアブラハムに対し難題を突き付けられるとの予告で終わりました。

<>内は旧約聖書からの引用を基に記述しています。

<神は約束どおり、年老いたアブラハムとサラとの間に男の子を授けました。
男の子はイサク(笑い)と名付けられ、育っていきました。

アブラハムには他にハガルとの間に生まれたイシュマエルという息子がいましたが、イシュマエルがイサクをからかっているのをみてサラは二人を追い出すようにアブラハムに願い出ます。

アブラハムは非常に悩みますが、神がやってきてサラの言う通りにしなさいと伝えます。
「アブラハムの子孫はイサクによって伝えられるが、イシュマエルもまた一つの国民の父とする。」

ハガルとイシュマエルは追い出されて泣き声をあげますが、神がやってきて安心するように伝えます。

その後、イシュマエルは成長し、荒れ野に住んで弓を射るものとなりました。

アブラハムは、独り息子イサクを大切に育てますが、神がやってきてアブラハムに呼びかけます。

「イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。わたしが命じる山の一つに登り、彼を焼き尽くす献げ物として捧げなさい。」

アブラハムは次の朝早くにイサクを連れて目的の場所へと向かいます。途中、薪を集めたところでイサクが父に問います。
「献げ物にする小羊はどこに」
「わたしの子よ、小羊はきっと神が備えてくださる。」
目的地につくとアブラハムは祭壇を築き、薪を並べ、イサクを縛り、息子を屠ろうしたその時に天使が待ったをかけます。
「アブラハムよ、神を畏れ敬う覚悟のほどはよくわかった。イサクに手を出す必要はない」
アブラハムが木の茂みに目をやると雄羊がいたので、イサクの代わりに捧げました。

再び神の御使いがメッセージを伝えます。

「自分の独り子である息子すら惜しまなかった。あなたを豊かに祝福し、地上の諸国民はあなたの子孫によって祝福を得る。」>

神はアブラハムを試しましたが、結果としてアブラハムは一切、神に待望の独り息子を差し出さなければならない理由を問わず、従おうとしたのです。

その姿に神は感激し、祝福を約束したのでした。

この寓意は、一見不合理、不条理と思えるようなことも、信じぬくことによって、合理的な結果(代わりの献げ物:雄羊)を得ることができるということと解することができると思っています。

これは個人的な見解です。

そして、もう一つ大切なことは、ここで神はアブラハム(人類)に対して借りができたのです。人類が神に対して貸しができた状態です。

一人息子すら差し出すアブラハムの姿勢・エピソードが、のちにイエス・キリストを神の子として、人類に差し向けられることになる壮大な伏線だという考えもあります。

イエス・キリストによって人類は救済されたとキリスト教徒は信じています。その伏線が、旧約聖書冒頭に記されているのです。

以上、本日の歴史小話でした!

(続き:No.134【神と救済条件を交渉するアブラハム(旧約聖書:ソドムのための執り成し)】)

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発行人:李東潤(りとんゆん)
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https://note.mu/1minute_history/m/m814f305c3ae2
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