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紙袋と本との親和性

西荻窪にある、FALLというお店をご存じだろうか。
おしゃれな内装、少し変わった品物が目を引く素敵なお店だ。

FALL(フォール)は東京の西荻窪にある、作家ものの道具、雑貨、近所の音楽家たちのCD、書籍やアンティークなどをあつかったお店です。なるべく幅広い界隈から少しずつ変わった物を集めています。また週がわりで自主企画の展示会をひらくギャラリーでもあります。

出典:http://fall-gallery.com/ 

かなり前に、このFALLで、小学館が発行している『This!』という雑誌を購入した。眼を引いたのは、表紙を飾るコムアイ、そして裏面を飾る今日マチ子のイラスト。いわゆる(今では死語なのかもしれないが)「ジャケ買い」というものをしたのだ。

画像:https://www.shogakukan.co.jp/books/09103771

FALLでの持ち帰り用の包装は、(まだ書籍しか購入したことはないが)持ち手もついていないシンプルな紙袋だ(写真参照)。私はこの紙袋を抱えてそのまま散歩をするのが大好きなのだが、それは置いておいて。

この雑誌の特徴はなんといっても「カラフル」「ガチャガチャ感」。ページをめくる度におもちゃ箱を開けるような感覚がする。「大学の友人同士で作った、「好き」を詰め込んだ同人誌」を読んでいるかのような。伝わるだろうか。
デザインで一目ぼれして買ったものの、なぜかしっかりと読まずに棚の奥にしまい込んでいて(私の悪いところだ)、久しぶりに取り出して読んでいたらとにかく面白い。何が面白いって、全てのページがおしゃれ。雑誌だからこそたまにあるような、「あ、ここは読まなくてもいいかな」みたいなものが一切無かった
気になった人はぜひ画像リンク先を参照してみてほしい。

バックナンバーも購入したいなと思ってネットで調べていたのだが、どうも他の刊を見つける事ができなかった。が、探しているうちに、この雑誌について書かれた一つの記事を見つけた。それがこちら。

雑誌のあの「あ、ここは読まなくてもいいかな」のページが出てくるのは、広告主の言いなりになってしまい、真面目過ぎる雑誌制作が行われた結果である、ということか。と自分なりに解釈したのだが、ちょっと待てよ、と考え直した。
真面目かどうかを判断するのも読者、そもそも読むか読まないかを判断するのも読者。私が「あ、ここは読まなくてもいいかな」と思ったページだって、他の人にとってはおもしろいページかもしれない。問題なのは、「誰にとっても面白いページ」を増やすということだ。

「出版不況」の現状は、そう簡単に変えられるものではないだろう。でも、ページをめくる時のわくわく感は、そう簡単に電子媒体で再現できるものではないと思うのだ。もちろん、ぺらっという音を出すこともできるだろうし、紙の質感をぎりぎりまで再現することは将来的に可能だろうと思う。
それでも、紙の雑誌を、紙の本を買って抱えて家まで帰るあの瞬間が好きな人はきっと私だけではないはずだ。

もちろん私も、電子書籍が嫌いなわけではない。とても便利だし、マンガアプリもいくつか利用している。
ここで、「紙の本だからこそ、手に置いておきたいもの」をいかに世に出していくか。人が自分の手元に置きたいような紙の本がこれから先どんどん出てくるなら、きっと出版業界の将来も明るい。

そんなに簡単なことではないことは重々承知なのだが、私も紙の雑誌が売れる世の中になればいいと願っている。
とりあえず、『This!』はとても私好みだったので、このような「ガチャガチャした」「真面目過ぎない」雑誌がもっと発行されればいいなと思う。思わず「ジャケ買い」してしまうようなデザインの。

あとは、素敵な雑誌との出会いをくれたFALLに感謝するばかり。ブックカフェしかり、ブックホテルしかり、「本との出会いの場」はどんどん増えていってほしいし、私もどんどん利用しようと思う。おもしろい場所があるならと、いろんな人の情報を参考にしたい。

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