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ヘルプ商店街 (バレエショートショート)

街の広場でキトリ役の藍はバジルと踊る。良い気分だった。内輪での発表会とはいえ、この役をもらうためどれほど努力したか。

背景の絵はマーケットになっている。大道具だが経費節減のために大きな布に手書きで描かれている。子供クラスの親たちが奮闘して描いたもので、稚拙だが原色で元気がでる。キトリの踊りがすすむにつれて踊り子たちの輪が広がっていく。

ところがマーケットの布が天井の吊り下げ部から落ちてきた。群舞の後ろの数人が大きな布から頭からかぶさって出ることができない。助けを求めて、もがいているようにみえているが、音楽がなぜか続く。藍は動ぜず踊りながら布をひっぺがしていく。相方のバジルも藍を助ける。群舞たちも布を両手で持ち、ステップを踏みながらはがしていく。半分ほど布がはがれると、皆でジャンプした。布の奥から数人の顔がのぞいてくると抱き合ってまた踊る。観客から自然と拍手がわいた。

先生からは盛大にほめられたことは言うまでもない。


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たらはかにさまの企画に毎週参加中です。

キトリはバレエ「ドン・キホーテ」に出てくる主人公の女の子の名前です。
題名になっているドン・キホーテは最初の方しか出てこないことが多いです。夢を見ているところなどにも少しだけでるけれども、ちょい役という感じかな。
全幕見たい人はこちら。(2時間あります)
パリオペラ座、ヌレエフ振り付けのもので、ドン・キホーテ役もがっつり出てきます。



1幕の背景ですが、バレエ団によっては全然ちがうものを出します。普通の街並み、もしくは海が見える港町、もしくは普通の市場など。花売りの娘が出てくる場合はマーケット(市場)仕様が多いと思います。

以下は背景特集、元はスペインのラマンチャ地方の話。
原作のセルバンテスは税金を横領したとかで投獄されていました。はっきりいって犯罪者ですね。生活に困窮し、ドン・キホーテの版権もすぐに手放したので当時のベストセラーになっても全然儲からなかったといいます。

茶色っぽい建物。

東京バレエ団の港街、子役いますね
牧阿佐美バレエ団、階段を設置するバレエ団は多い
マリンスキーは港仕様

トップ画にある、主役二人を見下ろす橋状態のものは、立体感がある超豪華版です。たくさんのダンサーを載せても耐えうるしっかりした橋にしようと思ったら費用がかかります。
マーケットでなく、物売りや花売り少女たち、にわとりを持つ行商人で雰囲気をだすところもあります。背景1つでも、皆違っていて楽しいです。

ありがとうございます。