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短歌

泣く子らの 悲しみ知れど 世の“条理“ 知る故撫でぬ 夕暮れの刻
争わず 住む人がいる それ故に 世と言う小川 流れおるなり
波襲う 浜辺で泳ぐ 可愛き仔 楽しげな姿 されど恐ろし
南には 色とりどり 鳥や虫 蛙がいるというけれど わが国に鳴く 憂いの歌なし
路地裏の 裏の錆びれた 下宿屋の 涙の歌と アコギの伴奏
愛されど 愛されぬ人 また今日も 誰かの造る 何かを壊す
夏空に 香るは 古道具を売りし 店に並びし 黴臭き品
赤い眼は 擦りすぎだと 幼子の 両に結びし 
大通り レンガ造りの そのビルに バレェを習ふ 板張りの床
夢喰いし 獏の 胃の腑に 溜まるるは 昨日見た 我の哀しき悪夢
山彦が 返すは 我の心の根 その奥にある 病みたる叫び
プリズムの 輝くシール 眺めるは 苔と土匂う 涼しき公園
いたずらで 飲む酒に酔う 親戚の 騒ぐ酒宴の その片隅で
国ことば 弄して 騒ぐ 一族が 集まる酒宴の 眺めうる我 
樹も草も 花も咲かない 荒地にも 極彩色の 蜥蜴が 駆けり
苔むして 樹々鬱蒼と したる 森 極彩色の蜥蜴 うつくし
よその国 見知らぬ森の 鬱蒼と したる森に棲む 名も知れぬ命 
荒地にて 殻に 鎧われし 異形なる 者が食いたる 小さき鼠
怪獣に 似たる小さき 蜥蜴の子 親の真似して 蹲りたり

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