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歌集「遠ざかる情景」

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目に見える情景の中には、時に胸を締め付け、そして、時に凍り付いた心を溶かしてくれる不思議な温かみを感じる何かがある。しかし、それは、これ見よがしに情味を見せたり、人情や温かみを押…
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#短歌

「遠ざかる情景」#7(解説)

清き水、飲めば裂かれし我が口を、また洗う朝で今日が始まる 寒い朝、顔を洗うのにも痛みを感…

roi
2年前
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歌集「遠ざかる情景」#7

頑張ろう、でも頑張れない。周りは、すぐに自分から遠ざかっていく。 そんなもどかしさを詠ん…

roi
2年前
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歌集 『遠ざかる情景』#6 解説

多少文章が、ガタガタです。すいません(笑) 我が子の爪、あの子の肌を裂く夕刻、謝ることか…

roi
2年前
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歌集 『遠ざかる情景』#6

やはり、テーマは日常である。しかし、そこにも、”何か”が、潜む。それは、暗く、黒い。 我…

roi
2年前
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歌集「遠ざかる情景」#5 解説

今回のテーマは日常だ。 日常と言っても、そんな日常を愛したり、愛おしく思い思わず微笑むと…

roi
2年前
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遠ざかる情景#5「人生の筋書き、安泰であってほしい」

日常、それはありがたく、もし愛おしき誰かがいるなら、彼らにそれを与えたい。 でも、結局、…

roi
2年前
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歌集「遠ざかる情景」#4 解説(前編)

朝の市 仔を孕みたる 鮫の母 血を流したる コンクリの床 仔を孕み 膨れたる腹の 母鮫血流し 横たわる床 仔をなせど 網にかかりて 母ざめが コンクリの床 血みどろの市    網かかり 血みどろの鮫 仔を孕み 朝の市場の ただの日常 血みどろで 横たわる鮫 膨れし腹 朝の市場の 雑踏の中 加藤楸邨の「鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる」。と言う、歌から着想した歌。冷たいコンクリートの下で、血みどろになって死んでいる。それも、おなかに子供を孕んで……。人間で会ったら、悲しい場面のは

歌集「遠ざかる情景」#3 解説(前編)

女(ひと)を裂き 血肉飛び散る 白き貌 一人泣き濡れる 容疑者の男(ひと) 血肉裂け 泣…

roi
3年前
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歌集「遠ざかる情景」#3

闇とは何か、誰もが有し、誰もが隣り合うそれ。しかし、どこかで、その秩序が壊れるとき……、…

roi
3年前
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歌集「遠ざかる情景」#2 解説(後編)

山河鳴く 碧空を飛ぶ 雲の陣 駆け行く風は ただ優しけり  山河鳴き 流れる雲の大軍勢 …

roi
3年前
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歌集「遠ざかる情景」#2 解説(前編)

1碧深い 遠い海には 靄なびく 朽ち壊れたる 日々と似た色 我が日々は 朽ち壊れたり そ…

roi
3年前
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歌集「遠ざかる情景」#2

 思い出……。もう、失ってしまった“それ“は、今も心の中に存在し、今の私の荒んだ心に冷た…

roi
3年前
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「遠ざかる情景」#1 解説(後編)

夕凪や 陽が差す河原 ただ一人 止まった刻は 私と似たり 夕凪や 私と似たる夕の風 ただ…

roi
3年前
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「遠ざかる情景」#1 解説(前編)

自分の詠んだ歌をあえて解説してみる。ある作家は、自分の楽屋裏を晒すのは好きじゃないと言っていたが、私は敢えてやってみる。歌を詠み、推敲する作業は、疲れる反面、案外楽しく、見方を変えたり、詠み直してみるほどに、作品が深まっていく心地よさを味わえた。第一週は、悲しみや、孤独、残酷さなど、負のテーマが多いと自分では思う。厳しいことを言ってくださって構わないが、もしよろしければ、論評していただければ嬉しい。 もしかしら、推敲したものよりも、最初に詠んだ句の方が優れているかもしれない