献立作りのための「あれこれ」

日々の食生活を進める上での献立について、主に学校給食の栄養士としての経験をもとに「献立を構成しているものの分解」を私なりにしてきました。『作る人のための献立学』の最終回は、私が実際献立を考えるときにヒントにしているものやポイントについて、なるべく具体的にご紹介します。

(1)料理の本の選びかた
レシピのサイトなどで「料理のメニュー」は本当に手軽に見ることができる時代です。しかし献立となると、ありそうでないように思います。野菜や海藻・芋類などを使った副菜に、私もアタマを悩ませることがよくあります。
仕事で妊婦さんの栄養相談に携わっているのですが、朝・昼・晩の献立例が掲載されているものは「妊娠していない人の食事」としても参考になります。妊娠中の食事はカロリーのとりすぎに配慮しつつ、鉄分やカルシウムをはじめとする栄養素が不足しないようなポイントがカバーされているからです。また、夕食が遅い人のための食事についての本も役立ちます。野菜やたんぱく質を含む食材を使って「おかずと主食が一皿で完結」といった食事パターンなどは、忙しい日の献立にも大いに役立ちます。学校給食の経験からか“たくさん食材を使っていれば栄養バランスも取れているはず…”と安心しているので、ひとつの食材や少ない食材で作る料理が私は苦手かもしれません。「自分の弱点をカバーする」という視点で書籍を選ぶと、くり返し実際作ることになりやすい気がします。(私はお弁当や魚料理、汁物以外の野菜の料理に苦手の自覚ありです。)素材から探せる料理の本も使い勝手がいいと思います。丸ごと買っても使いきるアイディアが献立作りにも役立つからです。

玉子丼の献立。おからの煮物は市販品。野菜不足だったので野菜ジュースをプラスしました。

(2)市販品や加工品を使ったレシピ
私は冷凍食品も市販惣菜などもわりと取り入れているほうだと思います。私の食事作りが“やれるとき・やりたいときは作る”というのが基本だからです。
心がけているのは「市販品に不足する栄養素を補うものを作ること」主に汁物で野菜を食べるようにしています。(汁物は家族三人分よりも少し多めに作り翌朝も食べています。)市販の「豚の角煮」に大根とこんにゃくを加えて「豚バラ大根」を作ったり、量り売りのサラダに刻んだキュウリやレタスを混ぜたりもします。おかずに手がかからない分、急ぎで使いたい野菜や大豆製品などでちょっとした副菜や作り置き出来るおかずを作ったり、家族のお弁当の準備(野菜とたんぱく質のおかず2種類ずつ)2日分を1日おきに作ります。
学校給食に携わった習慣からか“生もの、触らずに済ませたい”とか、どうしても何種類か野菜を使わないと落ち着かず“野菜(の処理)は手がかかるなぁ…”と思うので、自分の優先したいことを食事作りでも大切にしています。
市販品を活用したレシピは、自炊初心者や高齢者向けの料理の本を覗くといろいろ紹介されています。また、食品メーカーのサイトでも「アイディアメニュー」として“商品にひと手間加えた食べ方”を紹介していたりもします。市販品利用レシピは時間短縮のアイディアとして、即戦力の資料といえます。

カツカレーは市販のカツにレトルトカレー。スープはインスタントのわかめスープにえのきのごま油炒めをプラス…サラダは作りました。

『作る人のための献立学』は、これで終わります。書きながら感じたのは、献立を考えることに苦手意識やわずらわしさを感じているかたも“きっと毎日どうにかして、いろいろな「献立の決め手」を駆使して食生活を進めていらっしゃるはず…”ということです。基本的に持病等がなく、食事に制限がなければ“食べたいものを作ればいい”と思います。そして、私が家族の食事を預かるようになっていちばん大切にしていることは「自分が無理なく続けられること」です。それを見つけると「作る」はもっと楽しくなります!

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