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『営業力』に悩む企業のリーダーに共通する2つの問題点

「うちは営業力が弱い」
「社員が本気で売ってこない」


――この様な『営業・販売』に関する悩みをよく耳にするのですが、色々な企業を内情をみさせて頂くと、販売・営業力に悩んでいる企業には、いくつか共通点があることに気付きます。


今回は、販売力・営業力の向上に悩む中小企業に知って欲しい「改善すべきリーダーシップの問題点」を2点お伝えしたいと思います。




そんなことで1.5倍売れた!?

これからお伝えする内容をイメージし易くするため、販売に関するあるストーリーをご紹介します。


アメリカの映画館チェーン最大手のAMCは以前、店舗ごと売り上げが余りに異なっていることを問題視していました。


「どうやら立地や客層の理由以外にも、差を生んでいる要因がありそうだぞ?」ということで、売り上げの高い店舗に勤める社員たちの『行動分析』を行ったそうです。


そこで分かったのは、チケット販売時に「ポップコーンもいかがですか?」と勧める、いわゆる“アップセールス”をしているかどうかという、ほんの小さな違いだけだったということ。


どんなタイミングで、どんな言葉で、どの様に手渡すのか?緻密に分析を行い、他店舗で徹底させたところ、全体の売り上げが前年比で30%~50%前年より伸びたそうです。



問題点1:成果に繋がる「行動」を抽出できない

日本企業はこと『販売・営業』という分野において、成果主義の旗のもと“個人間の競争”により営業力を高めてきた歴史があります。


インセンティブなどの評価も、“個人の成果”として算出される様に制度設計をされています。


ただ、超人手不足社会の現在、このやり方と制度では、デメリットの方が顕在化し易くなっているのです。


【過去の手法が上手くいかなくなっているワケ】
●労働人口の不足により、『個の競争』が機能しづらくなっている
●『成果に繋がる行動・ノウハウ』は秘匿され、抽出できない
●社員が部署やチームなどの『全体の成果』より、個の成果を優先してしまう


このデメリットを裏付ける残念な統計調査もあり、「チーム全体への献身的姿勢を示す社員ほど、相対的に評価が低く、昇進確率が低い」ということが分かっています。


要は、個人プレーに走って、自身の成果を優先した方が高評価と昇進機会を得やすい体質の企業が多いということ。


評価の在り方と上司の観察眼の低さが、今の日本企業の生産性の低さを招いているのです。



キーエンスはなぜ高い販売力と利益率を持つのか?

画像出典:Wikipedia「キーエンス」

高い営業力と利益率で有名なキーエンスという会社をご存じでしょうか?

粗利80%という驚異の利益率を持ち、社員の平均給与が1500万を超えるこの会社には、従業員への評価方法にある変わった特徴があります。


①給与は部署やチーム“全体の業績”から算出される

毎月会社全体の売り上げや粗利が全社員へ共有され、会社や部署“全体の利益”から、給与の額が計算される仕組みになっているそう。

これにより、社員の平均年収が1500万~2200万とかなり振れ幅が大きい一方で、実は「個人間の給与格差」は競合他社よりも少ないという特徴があるのです。


②「行動」と「結果」に正しい因果関係が認められない成果は”評価されない”

言い換えると、数値的な成果だけで評価を行わないということ。あらゆる角度から「どの様に部署やチームに貢献したのか?」「それがどう結果に影響したのか?」を加味した評価を行っているそうです。


【販売・営業力を高めるために必要なことをまとめると…】

  • 個ではなく『全体の利益』を最大化する制度と体質づくり

  • 成果に繋がる『行動の分析と抽出』を行えるリーダーの観察眼

  • 『成果に繋がる行動』を実行し易くするために、業務内容やフローそのものを最適化するマネジメント



問題点2:『命令』の限界

もう一つ、このストーリーから是非考えて頂きたいことがあります。


それは「なぜアップセールという“簡単なこと”を社員は今までしてこなかったのか?」ということ。リーダーや責任者が今まで指示してこなかったのでしょうか?


営業力に悩んでいる企業から相談を受けて、いつも不思議に思うのは、そういった会社のリーダーや上司ほど「自分は命令・指示をだしているのだから、リーダーとしての責務を果たしている」と考えていることが多い点です。


大前提ですが、人というのは「本人が必要だと感じていないこと」はサボる様にできています。仮に自分の命がかかっていたとしてもです。


これは、コルホーズ政策の失敗などの歴史が物語っています。部下の自主的な行動を促す上で重要なのは、


 ①『文化・体質』を意図的にメイキングすること

物語コーポレーションなどが実践している科学的な方法がちゃんとあります。


②部下の『伴走者』になること

業務を用意し、命令しさえすれば、社員が勝手に切磋琢磨する時代は終わっています。なぜなら、就職に対する競争倍率は下がり、誰もがある程度"仕事を選べる立場にある"からです。


その会社で努力し、全力を尽くすだけの理由と、魅力のある環境を作ることが、これまで以上にリーダーに求められている業務の一つです。


過去記事の『キャリアに関するコミュニケーションの重要性』でもお伝えしましたが、リーダーは社員にとって、キャリア形成の相談相手であり、よきサポーターになる必要があるのです。



まとめ

対面による販売や営業は『人』に依存する分、携わる社員の“能動性”で成果が大きく左右されます。


ひと昔前と異なり”売り手市場”の社会となっている今、多くの人がツライと感じる競争環境を作るよりも、チーム力で成果を高めていける企業に生まれ変わる必要があるのではないでしょうか。

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