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初のブラックホール直接観測

ブラックホール(の輪郭に相当するもの)が初めて観測され、改めて思うこと。(画像はインターステラーより)

1つ目。

一般相対論の正しさを証明する観測的な事実が、また1つ追加された。
近年で言えば、
2015年の2つのブラックホールによる連星の合体による重力波の観測
2017年の2つの中性子星による連星の合体による重力波及び電磁波の観測
に加えてまたひとつアインシュタインの重力理論を補強する観測事実が得られたことになる。

ブラックホールの周囲には事象の地平線と呼ばれる境界面が存在する。
一度この境界よりも内側に入ってしまうと光さえも脱出することができなくなる、そんな境界面。
一般相対論ではそれが100も前に予測されていたが、そんな究極的に非日常的なものが確かにあったのだ。
人類の叡智と、この100年におけるテクノロジーの発展に思いを馳せずにはいられない。

一般相対論の生い立ちと、観測的な裏付けの歴史は一回文章にまとめたいなと思う。



2つ目。

改めて物理学における予測と実際の現象が一致することの不思議を痛感している。

普段は宇宙物理学を専攻し、理論的な側面から宇宙の構造形成とかダークマターとかを研究しているのだが、このような観測におけるビッグイベントのたびに、この世界が確かに(少なくとも僕らが観測できる範囲において)数式で書かれた物理法則に従って存在しているという事実を不思議に思う。

なんでこの世界は数式で記述されるような法則に従って存在しているんでしょうね?
おそらくこの問いに科学的に応えることはできないと思われる。非常に残念ながら。

今回の結果も、アインシュタインの一般相対論から予測される物理と観測誤差の範囲内で完全に一致しており、その理論の綻びは見つかっていない。
何故なのか?
もちろん、不満があるわけではなく、むしろこれは物理学(あるいは人類にとって)のマイルストーンになるようなイベントだから、大きな感動と喜びを感じている。
しかし、仮に子供の頃の自分がここにいたら絶対に
「なんでこの結果が前から予測できてたの?」
的な質問をするに違いないのである。
そして、その問いに今の自分は本質的な回答を与えることができない。

物理学上の説明しか与えられない自分は、
「どうして物理学に現れる数式で記述される法則たちは現実を予測できるのか?」
という問いに答える術を持っていない。

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