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20歳の独立日記〜95日目〜

8月14日(火曜日)

大阪に帰ろうと思っていた。

水戸→大阪 夜行バス…¥1万

うっ…きつい

そんなときに東京でたまたま出会った、キックボクシングインストラクターのとっきーに「ヒッチハイクで大阪帰らん?」と誘われた。

とっきーは、ローキックが得意な23歳。これは防犯もバッチリだし、就職する前にヒッチハイクは経験したいなと思った。「ハイ!一緒にヒッチハイクで帰りましょう!」

ヒッチハイクの出発点は東京の用賀。

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まず僕は用賀に向けて朝6:30に起き、7:00に出発した。僕の住むところはかなり田舎だから、バスは一時間に1本。これを逃しては話にならない。

僕は、それを見事に逃した。

とっきーごめんなさい、ジュースご馳走します。幸先悪い。でも、こういうときこそポジティブに!駅まで歩こう!ミニストップでなんか買おう!

ガリガリ君を食べながら僕は30分間歩いた。暑すぎる。一緒に買った和梨サイダーのシュワシュワがきつい。3歳の妹を全力で笑わせにいったのに、フル無視されたときくらいきつい…。

常磐線上野行きに乗り、

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2時間かけて、ヒッチハイクの聖地・用賀駅に到着した。

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用賀のインターチェンジ付近で2人でクルマを待つ。ひたすら待つ。

僕たちのほかにも待っている人が2人いた。皆、クルマを見つけては乗せて欲しいアピールをしている。僕も頑張ろう。

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かなり暑かったので、塩飴を買った。15分くらい経っても誰も見向きもしてくれない。僕は買った塩飴を、ほかのヒッチハイカー2人に配ることにした。

「あのー、これ、どうぞ!」
「あ、ありがとうございます」
「どこまで行かれるんですか?」

そんな会話をした。2人とも若くて、気さくな青年だった。

塩飴を舐め、「大阪」と書かれたスケッチブックを掲げて、男2人は車にアピールする。乗せて乗せて!怪しくないから!安全だから!

すると…

一台のクルマが止まった!

開始から1時間後の出来事だった。

「どこまで行くの?」
「大阪です!」
「香川まで行くけど、一緒に行く?」
「はい!!!泣泣泣」

こうして、僕たち2人は乗せてもらうことになった。

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そう。他の2人に、乗りますか?と聞くと奇跡的に方向が同じだったので一緒に乗ることになった。ほんと偶然。

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ほんとに、楽しかったんだよ。東京から大阪の10時間ずっとぶっ通しで笑って、喋って、考えて。すっごく楽しかった。

運命ってあると思った。

だって、もし僕がバスに遅れてなかったら、もし用賀で乗ってなかったら、もし塩飴を配ってなかったら、同じメンバーは揃わなかった。

僕たちを拾ってくれた男の人は、普段用賀インターチェンジは通らないらしい。おばあちゃんの49日の帰りで、たまたま通ったらしい。不思議だね、って皆で言い合った。

忘れられない風景って、人生にはあると思う。僕は今日見た、景色を忘れないと思う。

高速道路で皆で見た、花火大会。

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今まで見たどの花火よりも、すっごく綺麗だった。ほんとに綺麗だった。

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そして皆とお別れ。熱い握手だった。また会おうね。

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高槻に帰ってきた。大阪の匂いがした。大阪の音がする。

僕はここにいるよ!

叫びたくなった。

昔より短くなった髪。昔より悪くなった視力。僕の地元は変わってなかった。

また大事な大事な思い出と、大事な大事な仲間が増えた。一生話せる。

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