人生は短し走れよデブ

 社会人になってから、マラソン大会に3回しか出てないけど、必ずやる事があります。それは、胸に手を当て、ある人の事を思い出して、今自分が怪我なくスタートラインに立てる事、これから走れる事に対して感謝することです。

 ある人は、大学の部活で一緒になり、通っている学部も一緒だから授業を一緒に受けたり、ご飯食べたりしました。自分もそいつもアパート暮らしだったから、ゲームやりに行ったり、練習終わりに自分のアパートに寄ってダラダラ過ごしたりと、一緒にいておもしろく楽しかったです。でも、そいつは部活になると雰囲気がガラッと変わります。ポイント練習は一番早い設定タイムのグループで走るし、記録会でいいタイムが出なければ悔しさを前面に出す。反骨心の塊だった。これだけ頑張ってる姿を神様は見てないはずがない。早く報われてほしい。そう思っていました。そして2年の春に、5000m14分台の自己ベストを出しました。その時、自分はアキレス腱を怪我していて、治療院にいました。終わってから、グリナード永山の中にあるお好み焼き屋で合流して食事したのが今でも思い出します。

 ところが、神様はそいつにご褒美どころかとてつもないいたずらをしてきました。心臓の病気になってしまい、走れない体になってしまいました。グループラインでそのことを知り、最初は理解できませんでした。なんで?どうして走れなくするの?その時自分は全くタイムが出なくて悩んでたけど、そんな自分の悩みなんてどうでもよくなりました。何か走れる方法はないのか。あいつとまだ走りたい。でも、本人の命が最優先だ。結果的に2年の夏にそいつは部活を辞めて、自分は秋に競技者からマネージャーになり、2人ともアスリートではなくなりました。部活で顔を合わすことはなくなったけど、ゼミは一緒になり、相変わらず明るく元気でした。卒業してからも年に1,2回は東京で飲み会やったりしている。

 彼と出会って、努力とはこういう事なのか、応援したくなる人ってこういう人なのかっていうのを知りました。だから、続けていって箱根駅伝走って欲しかったし、陸上雑誌の伸び率ランキングで1位になって、努力すれば出来ないことは無いことを、実績のない高校生に伝えてほしかったです。

 自分の足で不自由なく走れること。そのことに感謝しながら、出来る限り長く走り続け、彼に会うたびに「まだ走ってんの?その割に太ってんな~笑」ってやりとりが出来れば最高です。

 

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