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【ネタバレあり】映画『クリード/炎の宿敵』感想【ロッキーを知らない私でも楽しめた】

こんばんは。これです。

いきなりですが、今回のnoteも映画の感想です。今回観た映画は『クリード/炎の宿敵』。『ロッキー』シリーズの最新作で、1月第2週公開の映画の中では本命と呼べる映画ですね。『ロッキー』シリーズをあまり知らない私でも評判通り面白かったです。

では、感想を始めたいと思います。なお私は『ロッキー』シリーズは『1』以外未見、『クリード/チャンプを継ぐ男』をその日の午前中に見たぐらいの人間ですので、それを踏まえてお読みいただけると幸いです。拙い文章ですがよろしくお願いいたします。




―目次― ・ボクシングシーンが面白かった ・クリードの再起の過程が面白かった ・ドラゴとヴィッキーの親子関係が面白かった ・ロッキーの最後の行動が面白かった



―あらすじ― 『ロッキー4/炎の友情』で最大のライバルにして親友のアポロは、ロシアの王者イワン・ドラゴと対戦。壮絶なファイトを繰り広げた末に倒され、そのまま帰らぬ人となった。あれから歳月が流れ、ついにその息子同士がリングに上がる。シリーズに新風を巻き込んだ傑作と全世界から大絶賛を受けた『クリード/チャンプを継ぐ男』でロッキーのサポートを受け、一人前のボクサーへと成長した泣きアポロの息子、アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)。対する相手はドラゴの息子、ヴィクター。ウクライナの過酷な環境から勝ち上がってきた最強の挑戦者だ。アドニスにとっては、父を殺した男の血を引く宿敵となる。アポロVS.ドラゴから、アドニスVS.ヴィクターへ。時代を超えて魂のバトンが手渡される因縁の対決。絶対に見逃すわけにはいかない。世紀のタイトルマッチのゴングが、いま鳴り響く! ロッキーとクリード。宿敵を前に、いま二人の絆が試される。 (映画「クリード/炎の宿敵」公式サイトより引用)



※ここからの内容は映画のネタバレを含みます。ご注意ください。





・ボクシングシーンが面白かった


さて、まず最初に質問です。皆さんは『ロッキー』シリーズの一番の魅力はどこにあるとお考えでしょうか。ロッキーの不屈の闘志、魅力的な敵キャラクター、エイドリアンとのドラマ、様々あるでしょう。ここで『ロッキー』シリーズを1しか見たことがない「ロッキーにわか」である私は『ロッキー』シリーズの一番の魅力は「ボクシングシーン」であると考えています。ロッキーとライバルが殴り合う男同士の熱い戦いに私は胸を打たれるのです。


そして、今回の『クリード/炎の宿敵』のボクシングシーンもとても白熱したものになっています。クリードは確かにムキムキなんですけど、今回のライバルであるヴィッキーがそれ以上にムキムキなんです。鍛え上げられた大胸筋と上腕二頭筋は恐怖を感じるほどですし、「クリード勝てないんちゃうか」といった絶望感もばっちり与えてくれています。ゴングが鳴った後も容赦なく打撃を繰り出してくる姿や、ウクライナの厳しい環境で鍛えているとだけあって殺人マシーンのような趣すら感じさせます。強大な敵に立ち向かっていくクリードの様は王道的な熱さを纏っていました。


さらにそこにさらなる熱さを加える演出も、この映画を語る上では外せません。時おり挟まれるスローはパンチの威力を雄弁に物語っていますし、カメラワークも寄ったり引いたり自由自在で、飽きさせずしかもわかりやすいものにしてくれています。そして極めつけは音楽。『クリード/チャンプを継ぐ男』でもそうでしたが、『炎の宿敵』でも試合の終盤にあの有名なロッキーのテーマが流れるんです。


「ロッキー」シリーズを観たことがない人でも一度は耳にしたことがあるであろうこの有名なテーマ。試合終盤ともなると両者死力を尽くしていてフラフラです。そこで流れるこの音楽はもう反則です。手に汗握り目から涙が自然とこぼれてきます。もうこの音楽を聴くためにこの映画を観にいったといっても過言ではない。しっかりとツボを外さず盛り上げてくれました。


でもって、ラストのボクシングシーンがなんでこんなに熱く感じるかっていうと、ただ単なるボクシングの試合じゃないからなんですよね。クリードの、ヴィッキーのそれぞれの人生を乗っけた戦いだからなんですよね。失うものがあるクリードと失うもののないヴィッキーという対照的な両者が、人生を拳に乗せてガチンコ勝負を繰り広げるから面白いんです。






・クリードの再起の過程が面白かった


まず、クリードはこの映画の初めにヘビー級チャンピオンになります。そして、次になんといきなりビアンカにプロポーズ(甘い甘い局面でしたが、時おりヴィッキーの厳しい様子を挿入することで緊張感を保つのはさすがだなって思います)。ビアンカはこれを受け入れ二人は子どもを設けます。一方テレビではヴィッキーがクリードに挑戦を申し込んでいます。クリードはこれを受けることを決断し、ロッキーに話しますが、ロッキーは「もうお前一人の戦いじゃないだろ」「人生を考えろ」的なことを言って、ここで二人は仲違い。ロッキーはクリードのセコンドを降り、クリードは別のセコンドをつけてヴィッキーとの試合に挑みます。


しかし、ここでクリードは試合にこそヴィッキーの反則負けで勝ったものの、ヴィッキーに叩きのめされ病院送りにされてしまいます。水の中でのリハビリを続けるクリードの様子が映されますが、そこに乗っかったセリフはビアンカの「彼は変わってしまった」というもの。クリードはヴィッキーに心を折られてしまったのです。ヴィッキーの再戦の申し込みも受けずボクシングジムにも行かなくなってしまったクリード。挫折を味わいます。


ただ、そんなクリードに転機が訪れます。ある日母の家を訪ねたクリード。そこにはロッキーがいました。クリードはロッキーとの対話で戦う理由を見つめ直します。それは「アポロの息子」ではなく「アドニス・クリード」という自分を手に入れるため。『チャンプを継ぐ男』でも示されたこのテーマにクリードは再び立ち返ります。


そして、クリードとビアンカの娘「アマーラ」が誕生。ある日の夜中、クリードはアマーラの子守を任されます。泣き止まないアマーラに困惑するクリード。そしてクリードがアマーラを連れて行ったのはボクシングジム。ここでクリードはサンドバックを軽くたたいて徐々に本格的なシャドーボクシングを始めます。そしてアマーラの前で慟哭。この慟哭が胸に迫りました。「クリードにはボクシングしかない」「戦わなければクリードがクリードではなくなってしまう」とクリードも見ている私たちも再確認したシーンでした。


さらに、ここでクリードにはもう一つ戦う理由が生まれます。それは「家族に自分の生き様を見せるため」。父親として自分を誇ろうとするためにクリードは戦うのです。だってそうじゃなきゃアマーラの前で慟哭した意味がなくなってしまうじゃないですか。ロッキーとの対話で戦う理由を思い出し、さらにアマーラの前でもう一つの戦う理由を見出したクリード。折られた心は修復され、クリードは再起しました。この再起の過程が「炎の宿敵」では丁寧に描かれていて、それが面白かったです。


そして、クリードはヴィッキーとのラストマッチに臨みます。ロッキーに「なんのために戦うかもう分かっているはずだ」と送り出されるクリード。ここ熱かったですね。今まで描いてきたことがばっちりハマった感じで。しかし、クリードはヴィッキーにダウンさせられてしまいます。それでも立ち上がるクリード。レフェリーに「自分の名前は?」と尋ねられ「クリード!!」と力強く答えます。クリードが「アポロの息子」ではなく「クリード」になった瞬間でとても感動しました。でも、それ以上に感動したシーンが『炎の宿敵』にはあったんですよね。それはライバルであるドラゴとヴィッキーの親子関係です。






・ドラゴとヴィッキーの親子関係が面白かった


今回の敵役であるドラゴとヴィッキー。ドラゴはかつてアポロの命を結果的には奪っており、ロッキーに試合で負けたという過去を持っています。これは『ロッキー4』に描かれている(らしい)ことですが、私『ロッキー4』見てないんですよ。いや、借りて見ようとはしたんですよ。でも、ロッキー4の箱に入っていたのは『ロッキー1』で帰ってから気づいたという。チクショー。


まあそんな『ロッキー4』ですが、ドラゴはロッキーに負けたことで奥さんを失っていたようです。失ったといっても死んだわけじゃなく捨てられたっていうことなんですが。でドラゴは、ヴィッキーに勝たせることで奥さんを取り戻そうとしていたんですね。そのためには手段は選んでいられないっていう感じの冷血さで、ヴィッキーにも「容赦するな」「叩き潰せ」「やらなきゃ意味ないよ」という指示を送っていました。この厳しい口調も奥さんを取り戻すためにそうせざるを得なかったということを考えると悲しいです。そして泣けるのが、ヴィッキーがこの指示に忠実に従っていたところ。ヴィッキーも母親を取り戻すために戦っていたのです。筋骨隆々の体でクリードを叩きのめそうとする様はシンプルに怖かったです。


さて、話は終盤に飛びます。ドラゴの奥さんは試合会場を訪れています。ヴィッキーはスタミナに問題があり、最初は優勢だったものの徐々にクリードに押し返されてしまっています。そしてクリードにダウンをさせられてしまいます。このとき、ドラゴの奥さんはもうヴィッキーは勝てないと思ったのか試合会場を立ち去ってしまいました。母親にまたも見捨てられておきながら、フラフラになりながらも戦おうとするヴィッキーの姿はもう見てられません。ここで強大で近寄りがたかったヴィッキーが、いつの間にか応援したくなるキャラクターになっているのが上手くて面白かったですね。


「ロッキー4」ではセコンドであるロッキーがタオルを投げ込まなかったためにアポロは死んでしまいました。クリードも肋骨を折られボロボロになりますが、ロッキーは止めません。しかし、最後の試合はタオルが投げ込まれることによって幕を閉じます。投げ込んだのはなんとドラゴ。もう自分の奥さんは取り戻せないと悟ったので戦う理由が無くなったのでしょう。フラフラになったヴィッキーをよくやったと称える姿は切ない。ここが個人的には一番やばかったですね。最後の方はもっぱらこの二人に感情移入してました。この二人悲しすぎる。









・ロッキーの最後の行動が面白かった


話は変わりますが、『チャンプを継ぐ男』では、ロッキーが息子であるロバートと疎遠になっていることが語られています。それは『炎の宿敵』でも変わっておらず、「電話をかけてはロバートが出る前に切る」といったセリフや、アマーラが生まれたときに息子に電話をかけようとして止めるシーンなど節々に現れていました。


でも、この映画のラストでロッキーはロバートの家を訪ねに行くんですよね。それはクリードがアポロの幻影を振り払ったのをロッキーが見ていたからで、ロッキーにも前向きな心情の変化があったことが推測されます。勝ったクリードを見るロッキーは後ろ姿のみで、表情は映されていませんでしたからね。観ている人に創造の余地を持たせる非常にいい演出でした。たぶん晴れやかな顔していたんじゃないかな。


思えば、『炎の宿敵』では「親子の関係」が大きなテーマになっていました。先に挙げたクリードとアマーラ、ドラゴとヴィッキーの他にも、ロッキーとクリードの疑似親子関係、アポロとクリードの親子関係、ロッキーとロバートとの親子関係といった様々な親子の関係が「炎の宿敵」では描かれていました。物語が進むにつれて全ての親子関係が快方に向かって(ドラゴとヴィッキーさえも)動いていくように作られていたのが「炎の宿敵」の大きな特徴です。それを考えるとロッキーがロバートを訪ねるというラストはこの映画のテーマにマッチした綺麗な終わり方だと思います。ロッキーとロバートが目に涙を溜める様子に最後のもらい泣きをしてしまいました。







以上で感想は終了となります。


観終わって思ったのは『クリード/炎の宿敵』は以前の『ロッキー』シリーズ、特に『1』『4』『チャンプを継ぐ男』あたりを見ておけばより楽しめる映画だなあということです。「4」は観てから行きたかったと今ちょっと後悔してます。でも、単体でも十分面白い映画なので興味のある方はぜひとも観てみてはいかがでしょうか。2019年の始まりはこの映画を観て熱くなりましょう!


お読みいただきありがとうございました。

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