見出し画像

ベルセルクと触と

https://www.oricon.co.jp/news/2193995/full/

ベルセルクの作家三浦健太郎先生が、まさかお亡くなりになってしまいました。

休載本数は多かったですが、それを気にしない程のクオリティが高い画力とストーリー構成。

あまりにも長く現実社会にも適応されるストーリー構成なので、主人公ガッツと最大のライバルでありかけがえのない友達のグリフィスについて書きます。

【1】ベルセルクってなーに?


ぶっとい剣で人間に化けた化物を殺しながら、かつての仲間達を殺したかけがえのない友達を探して復讐するストーリー。

また、自分自身にとって本当に大切なものが何なのかを見つけ出す為にも、何度か失ったりしてからようやく気付いたりします。

【2】主人公ガッツ

幼少期は、傭兵団のボスに拾われて無理やり戦場に駆り出されるけど、次第に戦果を上げていきます。

傭兵団のボスは途中片足を失って立場が危うくなり、更に戦果を上げつつあるガッツに嫉妬するどころか、ペストで病死した妻の原因をガッツに無理やりなすりつけて、ホモに売り飛ばしたり直接殺そうとします。

ガッツは殺されるのは嫌だったので反射的に傭兵団のボスを正当防衛で殺しますが、他の団員に親殺しの烙印を押されて傭兵団から逃げ出します。

【3】戦場の死神、鷹の団入団

それから数年後、プロの傭兵として各戦場を渡り歩く主人公ガッツ。

その頃から身の丈以上の長い剣を持っていました。
更に、30人斬りのバズーソと異名を持つ兵士を前にしても一歩も引かない、まるで命そのものを拾い上げて戦果も上げるスタイル。

そんなバズーソを紙一重で殺した主人公ガッツに一目惚れした、別の傭兵団鷹の団団長グリフィスに一目惚れされます。

そんなガッツに一騎討ちで勝ち取ったグリフィス。

【3】グリフィス

主人公ガッツとは対極的存在である何でも余裕で出来るグリフィス。

敵軍に突っ込んで行ったり単体でも強敵で悪名高い敵大将にも突っ込んでいき、まるで命を拾い上げていくガッツに対し、グリフィスは自分の快楽を求める為に国を手に入れるという手段と目的が逆の生き方。

普通、貴族達の横暴が気に入らないから、平民である自分が手に入れて自分の思い通りの国にするというのが普通ですよね。

そんなグリフィスにとって、ガッツの生き方を見て自分の生き方そのものとまるで違うどころか心の底からワクワクする、そんな存在でした。

ただ、何故そんなにもガッツの事を一目惚れする程気に入ったのかと言われると、グリフィス本人の口からは上手く言語化出来ないですが。

【4】鷹の団を退団するガッツ

そんな中、ガッツは何の為に生きているのか迷いが出てきました。

『グリフィスと肩を並べる為にも鷹の団を抜ける』

当時の鷹の団は、数々の難所の戦場を常勝無敗で勝ち上がり、平民から貴族の仲間入りそして富と名誉が約束された環境が待っていました。

そんな約束された楽園とも言える環境を目の前にし、他の団員からも

『死に物狂いでここまで這い上がって来たのに、オメェはそれをボロ雑巾のように捨てちかうのかよ。そもそも、人を切る事しか能のねぇオメェの地位や名誉なんざグリフィスあってのモンだからよ。』

と、まぁ当然の反応ですよね。それに対してガッツは

『確かに俺には人を切る事しかできねぇよ。それに地位や名誉なんか興味ねぇ。欲しいのは自分で勝ち取る何かや俺自身に振り向いてくれる人誰か1人でもいいから居て欲しい。お前には、そういうのないのか?』

ちなみに、このセリフは最新刊ぐらいまで続く程、重要なセリフです。

現実社会で言い換えると、受験勉強に励んで大企業の中の大企業へ就職してあとはまったり安泰しときゃええで、ってホワイトカラーの方々が多いですよね。

コロナ禍の中で、更にそれが浮き彫りに出てきましたが。

本当に好きだったりやりたい事だったり気になる事を持っている人は、そんな約束された地位や名誉なんか放り出して行くのかもしれません。

そういえば、大分製鉄所の女性社員も妊娠出産したら、自分の地位が脅かされるとかなりビビってました。

【5】再決闘するガッツとグリフィス

何が何でもガッツを手放したくなくガッツと再び決闘するグリフィスですが、数々の難所を超えてきたガッツの前に破れて、ガッツは去ります。

それも絶対に揺るがないと思われた精神力ごと。

何しろ、グリフィスの生き甲斐は、ガッツが鷹の団を抜ける事を決断したこの瞬間でした。

そのガッツが自分の側から離れる事は、自分を支える軸がボキッと折れたそのものです。

こうなると、人はなかなか立ち直れません。

そんな軸が折れたグリフィスが取った行動は、鷹の団が所属していた国の王女をレイプする事でした。

前にも書いておりますが、グリフィスが生きる目的は自分自身をワクワクさせるような何か。

それが例え、一国の王女をレイプする事でも。

ですが、それでもポッキリと折れた軸を直すには程遠い、虚しさしかありませんでした。

それ程までにグリフィスにとってガッツの存在はあまりにも大きすぎました。

当然ですが、衛兵に見つかって牢獄行きです。

【6】衝撃的な触だけど…?

鷹の団を去ったガッツは、武者修行を繰り返しながら、自分が出来る事はやっぱり剣で人を切る事しか無いと再認識。

そんな中、鷹の団やグリフィスが追放されたり牢獄されたりと聞いて、鷹の団に駆けつけてグリフィスを救出します。

途中、鷹の団の紅一点というかメインヒロインのキャスカと結ばれます。

救出したのは良かったですが、グリフィスは動く事もしゃべる事も出来ませんでした。

国境付近にまで逃げて鷹の団メンバーと合流したが、グリフィスはあまりの絶望にひれ伏してました。

1番の絶望は、かつて欲しいと思ってたガッツが自分に情けをかける事自体があまりにも自分自身を許せなくなる、そんなプライドがあったのかもしれません。

そして、触と呼ばれる異次元空間が突如現れ、4人の天使というか悪魔に鷹の団全員を人間にも化ける事が出来る化け物達の生贄に捧げる事で再起するグリフィス。

本当の生贄は、自分自身にとってかけがえのないものガッツそのものでした。

生贄として食べられる鷹の団のメンバー達は自分の生き方に後悔していました。

『なんで俺は自分の可能性を見出さなかったんだ?』
『こんな目に遭うのなら、さっさと早く好きな事を始めれば良かった』
『なんでこんな所に居るんだ?』

様々な理由やら言い訳を前に出して動かなかった後悔の念が渦となったのが、地獄と言われる何か。

もしかしたら、富や名誉を餌にされて、やりたくもない仕事をやる現代社会そのものを象徴しているかもしれません。

で、途中で謎の助っ人がガッツとヒロインのキャスカだけ救出して脱出します。

【7】黒い剣士〜本編へ〜

キャスカは幼児退行になってしまい、ガッツはケガを直しつつドラゴンころしと呼ばれる本作の代名詞鉄板に見える大剣を背に復帰します。

そして、鷹の団を食い殺した人間に化けた化物を殺しながら、グリフィスに復讐する旅に出かけます。

【8】多分、作者が伝えたい事


誰しも好きな事とか自信のある事とかあると思います。

ただ、何かリスクを犯してまでやろうとすると、躊躇してしまいます。

それが、家族とか富とか名誉を失うかもしれない事をふと考えると、足がすくみがちになるものです。

もしかしたら、そういうのにすがらないと生きていけないと思い込んでしまうかもしれません。

人間は思った以上に脆いものです。

それも見た目が完璧とかに見える人程、脆いものです。

ただ、一人だけでそれをやろうとすると無理がたたって出来ないのかもしれません。

人間誰しもお互い強みを持っている部分があるので、それらをカバーする事で無類の強さを出す時もあります。

・本編主人公であるガッツは剣を振るって化物と正面向かって戦う力
・非力な妖精パックは傷を癒やし他者を慈しむ力
・元貴族のファルネーゼは自分に出来るほんの小さな事を必死にやり抜きそして魔術という新しい事に挑戦する力
・ファルネーゼの影の親代わりのセルピコはそんな挑戦するファルネーゼを認めなかったが、次第に見守り認めていった
・魔術師のシールケは育ての親を化物に焼き殺されて心傷に浸っていましたが、ガッツと共に過ごす事で自分に出来る事を必死にやる力

この記事が参加している募集

私の作品紹介

人生を変えた一冊

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?