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日本の未来を託す1  Picture of the future(2030年のある日)


起床

午前6時、眩しい朝日に照らされ目が覚める。目覚めとともに心地よい音楽が流れる。ベッドを離れトイレを済ませシャワーに向かう。シャワーを浴びて寝ぼけた頭をすっきりさせて、挽きたてのコーヒーを飲みながらニュースを見るのがモーニングルーティンだ。

この一連の流れは、この10年で激しく進化したIoTデバイスや、DXの恩恵を受けている

光量センサで朝日を感知すると自動的に開くカーテン

その日の気象や温度などにあわせて選曲された楽曲を奏でるスマートスピーカー

体温、心拍、血圧、尿検査、便潜血などを測定するメディカル便座

頭の先からつま先までを自動で洗ってくれるシャワーブース

カーテンが開くとともに、豆を挽き、コーヒーを入れてくれるコーヒーメーカー

興味や嗜好に応じたニュースをチョイスしモニターに映し出してくれるキュレーションメディア

今や、どの家にでもある普通の装備だ。これらのスマートデバイスを駆使したDXは、私たちの生活を一変した。特に、メディカルデバイスが日常的になったことで、健康診断に行かなくとも、病気の予兆がわかるようになったため医療費がかなり少なくて済むようになった。

出社

テレワークが常態化している今、原則的には、会社への出社は必要ないのだが、第一月曜日は、チームの顔合わせをするため、出社することになっている。月に一度くらい実際に会ってコミュニケーションをとらないと人間関係が希薄になるという社長の考えだが、これは悪くないと思っている。もちろん、仕事以外で同じ趣味を持っているメンバーとはしょっちゅう会っているという場合もあるが、そうでない人とは、この機会がないと会うことが極めて少ない。

午前7時半、自宅を出る。自動車出勤なので自家用車に乗り込む、会社までは約30分の道のりだ。今日は、事故でもあったのか道が渋滞している。それでもいつもより少しだけ時間がかかった程度で会社に着いた。

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今売っている車の7割以上が電気自動車だ。レベル4の自動運転車も少なくない。

レベル4の自動運転の場合、ドライバーはいらない。ひとたび車に乗り込めば、勝手に目的地まで車が運んでくれる

途中渋滞があったとしても、この街を管理している交通システムが、最適なルートを指示してくれるため、渋滞に巻き込まれるということは少なくなった

全固体電池のバッテリーは、同じ航続距離を走るなら、以前のリチウムイオンに比べ三分の一程度の大きさだし、バッテリーパックによっては航続距離1000キロ超にもなるので、もはや通常のドライブなら充電という作業も必要ない

会社にて

午前8時 車がオフィスのゲートを通過した。車のコンピュータに駐車位置が送られ自動で駐車する。駐車場からオフィス棟のセキュリティゲートを抜けエレベータで直行する。

オフィスにはチームのメンバー10名程度が来ている。コンピュータ内臓のデスクが20席くらいあり、どこに座ってもかまわない。調光、温度、湿度は自動的に個人向けに調整されているので快適に仕事ができる

必要な書類やデータはほぼオフィスのサーバーに蓄積されているため、書類を持ち運ぶことはない。

9時からは、月に一度のFace to Faceのミーティングが行われ、今月の方針や実施事項の確認が行われる

無人の自動車のゲートは、画像認識装置によるナンバープレートの認証とetcカードのDSRCシステムにより、あらかじめ登録された車が通過した場合はゲートを開け、決められた駐車スペースに車を誘導する

オフィスのセキュリティゲートは、社員証から発信される微弱な電波を読み取り、顔認証システムと連動させ、本人であることを確認すると開錠されオフィスに入ることができる。

オフィスには一定間隔でセキュリティシステムが配置されており、社員がどこにいるかは顔認証システムおよび社員証からの情報で概ねわかるようになっている。社員データには本人の好みの温度設定などが登録されており、その人がいる近辺は設定温度になるような空調システムになっている。ちなみに、この空調システムは2020年のCovid-19以降、ウイルスを防ぐとともに、オフィス内は強制的に換気されるようになっているため、オフィスにいる限り感染リスクは少ない

工場

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午後は、開発中の新製品の試作ができたというので工場に出向いた。工場はオフィスから数百メートルしか離れていないので、営業、開発、生産が一体で動けるようになっている

先週、我々営業がお客様から聞いてきたニーズを元に開発部門に製品化を依頼したが、その試作品が一週間で出来上がった。過去の技術情報、製造情報がデータ化されているため、そのデータを少し弄れば、自動的に工作機械にデータがインストールされ、簡単なモノであれば時間をかけずに出来上がる

量産ということになると、別の量産工場で作ることになるが、実際にはデータのやり取りだけで生産ができる場合も多いため、場所が変わるだけで生産移管が難しいということもない

それよりも、部材の発注、納品、出荷というロジスティクス体制を整えることの方が大変だが、それも、生産計画が入力されれば、仕入れ先から納品先までのバリューチェーンが自動的にスケジュール化されるため、以前のような大変さはなくなっている

納品されるときも、出荷するときも、物理的にモノが動くときは、従来同様の煩わしさがあるが、それでも運搬用のトラックはドライバー不足もあり自動運転が急速に進んだため、コンテナにモノを積み込めば後はほぼ自動的に仕向け地まで届けることができる

病気の相談

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夕方、帰宅途中、車から、予約してあった病院の医師とオンラインで最近の体調について相談をする。医師には常につけているウェアラブル端末のバイタルデータや毎朝の尿検査や便潜血のデータを送っている。

ウェアラブル端末は、スマートウォッチタイプのモノで血圧、心拍数、酸素飽和度などが測定できるし、家庭用の簡易血液検査機器やPCR検査機器なども普及しているため、血液検査やウイルス感染症検査なども自宅ででき、そのデータをかかりつけの医師に送れば、何か問題があれば、れrな句が来ることになっている

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かといって、医師もすべてのデータを見ているわけではない。患者から送られてきたそのデータは、まずはAIで診断し、病気の発症の可能性が高いと判断された場合のみ、連絡することになっている。

こうした健診の仕組みが普及したことで、病気の発見が早くなり、多くの人は大病を患うことが少なくなった。病気の前兆があればAIが教えてくれるからだ。

こどもの教育

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上の子が今年から大学生になった。ホーキング博士に憧れ量子宇宙論を学びたくてケンブリッジ大学に入学した。

とはいえ、上の子はいまだに同居している。今や地球上のどこにいても遠隔授業が受けられるので、物理的に大学に通う必要がなくなったからだ。

世界中の人が、世界中の大学を選ぶことができ、また、インターネットによる授業が中心となったことで、教育にかかる費用も従来の半分以下で学べるようになっている。

それに言葉の壁も、かつてに比べて驚くほど低くなった。AIによる翻訳機能は向上し、文字情報の翻訳精度はほぼ100%に近く、音声であってもほぼ同時通訳レベルになっているため、英語を話せなくても英語の授業を受けることにストレスがなくなっている。

このことにより、大学の競争は世界規模となり、教育の質は上がってきている。日本の大学も、かつてのレジャーランドと呼ばれた時代から様変わりし、きちんと勉強しないと卒業できない。この時代に学生でないことを安堵するばかりだ。

もちろん、教授や友人とのFace to Faceの付き合いは必要だし、子供の独立心を醸成することも教育としては大事だと思うので、年に数か月はケンブリッジに行かせるようにしようと考えている。こどもたちが幸せに暮らせる土台を作ってやれればと思っている

災害対策

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夜半から大雨が降ってきた。この近辺でも50mm/hという豪雨である。この10年、豪雨は頻繁になっていて、そこかしこの河川が氾濫したり土砂崩れが起こっている。地球温暖化の影響だとか言われているが、本当かどうかはわからないが、自然災害が増えているのは実感している

しかしながら、自然災害で人命が失われることは少なくなった。というのも、現状では、気象情報が正確になったこと、河川、土壌などあらゆるところにセンサーが設置され、その情報が常に気象庁の災害情報センターのサーバーに蓄積されている。その情報はAIにより常に解析され、災害の発生場所、発生確率、避難指示、避難方法や避難ルートなどが、各自のスマートデバイスに送られるようになったからだ。

体が弱く避難手段がない高齢者などは、事前に登録しておけば、避難指示が出た段階で、自動運転のバスが迎えに行き避難所まで送り届けてくれるようになっている

避難所においても、被災者へ食料や水などの物資が滞りなく届くように、物流がシステム化されている。避難所毎の人数、年齢、男女比、必要物資の選択、物流方法などはオートマチックになっており、災害時の混乱が物資の供給に影響を与えないようになっている。

自然災害自体は減ってはいないが、災害前後のケアはDXにより格段と整備され、人命が失われることは極めて少なくなっている

気候変動への対応

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2015年9月、国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催され、「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」が加盟193ヵ国の全会一致で採択され、今年2030年はSDGsのゴールの年に当たる

SDGsは、持続可能な社会を構築するため、貧困や飢餓といった問題から、働きがいや経済成長、気候変動に至るまで、21世紀の世界が抱える課題を包括的に挙げた目標となっている

この中でも、気候変動への対応は大きな位置づけとなっており、気候変動により起こるとされている自然災害に対する強靭性や対応力をつけることを重要な目標としている

気候変動の大きな要因は温暖化であり、温暖化を引き起こす要因は大気中の二酸化炭素の量が増えたことだと言われていて、2015年の気候変動枠組条約締約国会議(COP21 パリ協定)では「世界的な平均気温上昇を産業革命前(1880年)に比べて2℃以下に抑えることを目標とし、1.5℃以下に抑制することを努力目標とする」ということが採択された

つまり気候変動への対応として、大気中の二酸化炭素を減らすことが最大の目標となり、二酸化炭素を出さない社会をつくろうという機運が高まった

カーボンニュートラル

二酸化炭素を出さない、温室効果ガスをゼロにするカーボンニュートラルを実現する上で最も重視されるのが、エネルギーのゼロエミッションだ

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そのためには、化石燃料を燃やす発電から、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどの二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーやアンモニア発電への移行が必要になる

とはいえ、太陽光や風力発電は、季節や天候に左右されるし、地熱や水力発電はつくる場所を選ぶ上に初期投資が大きい、バイオマス発電は発電コストが高いなど、再生可能エネルギーの導入はデメリットも多く現時点でも全体の25%程度にとどまっている(2019年度18%)

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しかし、発電出力の制御技術や畜電池の技術が向上したことにより、発電量の不安定な再生可能エネルギーを活用しやすい状況ができつつある。昼間に太陽光で作られた電気や風力発電で作られた電気は蓄電池に蓄えられるようになったため、以前ほど、発電量の不安定なことが問題にされなくなった

カーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギー、アンモニア発電、石炭・火力発電、原子力発電のエネルギーミックスをどう作るかが重要な焦点になっているが、大規模蓄電設備が各所にできつつあるため、再生可能エネルギーはますます普及していく可能性が高いとみられている

私たちの住む街(スマート社会をつくる)

私の住む街は、昔でいう大都市郊外である。東京都心から50キロくらいのところにあり、都心からのアクセスが比較的良い割には緑豊かな環境にある

2020年のCovid-19以降、非接触型の行動様式が当たり前になり、都心の本社で仕事をするという習慣がなくなり、それはCovid-19が収束した後も継続している。

その理由としては、一つは5Gなどの通信技術が向上し「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」が可能になったことで、同じ場所に介さなくてもコミュニケーションが取れるようになったことがある

もう一つは、働き方改革など、労働に対する考え方が変わったことがある。日本においては少子高齢化により労働人口が減少しており、労働者の働きやすい環境を整える必要があったということだ。

一方で企業サイドにとっては、労働人口が少なくなったのに、従来通りの生産性ではただただ縮小均衡するだけで、労働生産性を高めないことには経営が維持できない。労働の効率を上げる必要性に迫られた。

したがって、DXを駆使して、コミュニケーションコストを下げ移動時間を減らすことで、労働の生産性を高めることが必要欠くべからざることになったということがある

また、都心に広いオフィスを構える必要がなくなることで固定費が下げられるというメリットもある。

このような理由で、Covid-19が収束した今も、脱都心、不動産コストが安く、社員にとっては住環境の良い郊外に拠点を構える企業が増えている

この郊外の街は、通信技術、IoT技術、AI技術に満ち溢れている。EVを筆頭にした様々なスマートデバイスがそのゲートウェイとして使われている。緑豊かな環境と最新のテクノロジーが共存した街だ

貧困、飢餓、健康、教育、平等、エネルギー、経済成長、技術革新、気候変動、防災など、SDGsにうたわれているような持続可能な社会をつくるために、これらのテクノロジーやデバイスなしでは成しえない

このようなスマート社会をつくれたことで、ようやく日本は低成長の時代を終えることができた。

これからの世の中は、世界中がこのような街になっていくだろう。日本の技術やモノづくりが世界のスマート社会をリードしている

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アルファ・ファンクションの栗本です。ブランディングとIRを組み合わせた企業価値創造メソッドを提唱しています 知る人ぞ知る優良な会社の”意思”を多くの人に知ってもらうことで、企業価値は大きく変わります。 連絡先:kurimoto@alpha-function.jp