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「そうなった時のシナリオ」と「そうならなかった時のシナリオ」

ブランディングのプロジェクトで必ず課題になることは、社内のチームワークです。チームとは「チームとは、ある目的のために協力して行動し、成果を出す人たちのこと」ですが、これが機能しないのです。チーム崩壊です。

「目的が不明確、協力体制がない、行動しない、成果を出すことに無関心」・・・こんな人たちが集まったチームが多いのです。悪意があるわけではないのですが、社風がそうなってしまっているのです。これは厄介です。

何とかしようと考え、行動する人もいます。当然、前述の人たちとの間に不信感が生まれます。話し合いでは不信感は払拭できません。そもそも話し合いにならないほどこじれているケースが多いのです。

プロジェクトでは、関わる人たちとひとつのことに取り組んでもらいます。例えば、コンセプトや社風づくりなどです。これを作り上げる過程で、自分ごとに置き換えてもらえるようにします。簡単ではありませんが・・・。

「他人ごと症候群」がはびこっていませんか?

例えば、あなたの会社であることをやろうと決めたとします。しかし、経営者や経営幹部、あるいは一部の人だけががんばっただけでは、上手くいきません。関わる人たちのベクトルがひとつになってこそ成果に結びつきます。

しかし、他人ごとのように考え、行動する社員が少なからずいます。社員だけではなく、経営幹部や経営者にも、この「他人ごと症候群」がはびこっています。要は会社で決めたことが、「自分ごと」になっていないのです。

今風の言葉でいえば、自分には関係ないからスルーする。でも、大事な方針や決定事項が簡単にスルーされてはたまりません。他人ごとでなく、自分ごとに感じて行動してもらわなければ、社内のベクトルは永遠に合いません。

どんなに素晴らしい方針や計画も成果に結び付くのは実行度です。多くの経営者の悩みは、社員がミッションや方針を理解し、自分自身の行動を通じてそれを実現できるようにする「自分ごと化」がなかなか進まないことです。

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自分ごとにならない理由①・・・「脅威感の欠如」

ミッションや方針を一方的に押し付け、唱和や確認を繰り返してもうまくいきません。社員に「自分ごと」として感じてもらわなければ、それは単なる絵に描いた餅で終わります。主体的に動くことなど到底不可能です。

なぜ「自分ごと」にならないのでしょうか?いろいろな理由があると思いますが、嘆いているだけでは問題の解決になりません。「自分ごと」にならない理由を整理してみましょう。代表選手は次の二つではないでしょうか。

ひとつは「やらなくても評価や給与にはとくに関係ないから」という考え方です。やらなければ大変なことになるという脅威感が欠如しているのです。会社は潰れないもの、給料は間違いなく出るものという錯覚です。

これを取り除くには「このままでは会社は大変なことになる」という最悪のシナリオを見せる必要があります。目的は怖がらせることではなく、「そうならないようにするにはどうしたらいいのか」を感じてもらうことです。

例えば、健康な人にとっては、病気は他人ごとです。ただし「いまの不摂生を続けていると必ず病気になる」、このことを事実に基づき、数字や事例で示すと、「ならないようにするには」という「自分ごと」に変わります。

自分ごとにならない理由②・・・「期待感の欠如」

自分ごとにならない二つめの理由は「やっても自分には特別なメリットがない」という考え方です。つまり期待が見えない状態です。メリットや期待で動くのは打算的と思うかもしれませんが、これって人の心理です。

期待感の欠如はどうしたら解消できるのでしょうか?売上を倍にする、給与も倍にする、お休みはいまよりも3割増やす・・・経営者ならばこんな約束をしたくなると思いますが、できないことを約束しても意味がありません。

やはり実現したシナリオを明確に見せることです。大きなシナリオである必要はなく、小さなことの積み重ねでいいのです。ミッションや方針を実行することにより、いまよりもはっきりとよくなるという期待感が大事です。

これが積み重なることにより、曖昧だった期待感がより明確になり、他人ごとだったミッションや方針が「自分ごと」に変わります。人は小さな成果がやがて大きな成果に変わるという実感を求めています。

「自分ごと」に変える二つのシナリオを説明しましたが、どちらも大事です。最悪なシナリオの提示はしたくないという経営者が少なくありませんが、期待感のシナリオとセットで提示することに大きな意味があります。


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