見出し画像

しょぼいトップのもとには、しょぼいブランドしか育たない

以前、講演で「しょぼいトップのもとには、しょぼいブランドしか育たない」と語り、一部からひんしゅくをかったことがあります。「しょぼい」という表現は適切ではないかもしれませんが、いまでも考えは変わりません。

しょぼいとは見てくれや容姿のことではありません。考え方やモノの見方のことです。例えば「現状に甘んじて変化を嫌う姿勢」「自分さえ良ければという考え」「うまくいかない理由を他の条件のせいにする態度」などです。

中小企業の経営には、多かれ少なかれ、経営者の思想やモノの考え方が色濃く反映されます。それは悪いことではありません。大事なのは個人的で終わらせるのではなく、会社の在るべき姿としてまとめ上げることです。

ブランディングを勘違いしている経営者は薄っぺら

ブランドには、在り方(表現はさまざまですが)が必ずあります。シンプルにいえば「誰を、何を通じて、どのように幸せにするのか」が明確です。個人も同様です。この在り方が曖昧な経営者が多いのです。

自分自身の在り方も不明確なのに、着るものに凝り、一流品を身に付け、話題の店に行くことがブランディングと勘違いをしている経営者が少なくありません。わかる人(ほとんどだけど)が見れば、やっぱり薄っぺらです。

在り方があるかどうかの見極めのひとつは「しないこと」の有無です。独特の切り口で時代を見極めることで定評がある評論家の川本三郎さんは、著書のなかで「しないことを増やすことで身を律する」と書いています。

しないことを増やすことで身を律する

川本さんのしないことがおもしろいのです。「新作映画の星取表みたいな仕事は受けない」「行きつけの店紹介や書斎拝見といった取材は断る」「批評の対象はあくまでも自分が好きになった映画や本にする」さらに続きます。

「否定よりも肯定を批評の基本とする」「男の美学、独断と偏見、生きざま、癒し、そういう言葉は使わない」「僕を主語にした文章は書かない」「軽々しく横文字は使わない」「出版記念や受賞記念パーティはしない」。

経営はトレードオフの連続、経営者は常に意思決定を迫られます。さらに経営者の目は二つしかありませんが、社員が100人いれば200の目があります。だからこそ「しないことを増やす」・・・これが大事だと思うのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?