ミッションは細心に、ファンづくりは大胆に
映画監督、黒澤明の仕事のモットーは『悪魔のように細心に、天使のように大胆に』だったと何かで読んだことがある。
そういえば、3月にNHKで黒澤明生誕100年『羅生門 デジタル完全版』が放送されたけど、半端なくすごかった。鮮烈な映像に引きずり込まれた。
羅生門以外の黒澤作品を観ても、『悪魔のように細心に、天使のように大胆に』が映像から伝わってくる。黒澤監督だからできたのではなく、これをやり続けたから、巨匠と呼ばれるようになったんだと思う。
一つのグレーがいつの間にかブラックになっていく
まずは「悪魔のように細心に」・・・文字通り、細かいところまで気を配ることだ。悪魔はだまそうとする存在だから、常に周りからチェックされている。だからこそ、本当にそうだと思わせるのが悪魔的な能力なんだろうね。
『赤ひげ』という作品には薬を入れる棚箱が出てくるが、小道具係が棚箱に何も入れておかなかったことに激怒したという。他にも撮影で映るはずがない封筒の中身までつくらせた。
基盤のデザインに注文をつけたスティーブ・ジョブズもそうだった。「誰も見ませんよ」というスタッフに「俺が見るんだ」と言ったという。
黒澤監督とスティーブ・ジョブズは相通じるものがある。細心ってそういうことなんだろうね。
「悪魔のように細心に」を経営に置き換えると、これくらいはという一つのグレーがいつの間にかブラックになっていくということだと思う。とくに「ミッションの実行は細心に」が必要になる。
大胆とは「手段フリー」、他がやっていないことをやる
もう一つの天使の「大胆」はどう理解したらいいのか。大胆とは「普通とは違う思い切ったやり方」ということになる。そのためには「既成概念を外して考えろ」ということだと思う。
黒澤監督の晩年の作品の『影武者』を観ると、馬や人の数、セットの規模に驚かされる。いまの作品では到底考えられないスケールの大きさだ。もちろんCGではなく、すべて本物だ。
言い換えれば、大胆とは「手段フリー」だ。幸せの象徴のような天使が、微笑みながら、大胆なことに取り組むからこそ、人を惹きつけるのだと思う。
「天使のように大胆に」を経営に置き換えると、ファンづくりは手垢のついた手段を捨てて、他がやっていないようなことを大胆にやる。そうでなければ熱烈なファンは生まれない。
『悪魔のように細心に、天使のように大胆に』、そして「ミッションは細心に、ファンづくりは大胆に」・・・これが「ブランドになる」シナリオだ。
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