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読書メモ:「中学校社会科公民的分野と高等学校「公民科」の関連性についての考察」

島本優朗「中学校社会科公民的分野と高等学校「公民科」の関連性についての考察ー「公共」における経済学習の一試案ー」『歴史地理教育』2022年3月増刊号(937号)、106~111ページ。

目次

1.「公共」の特徴について
2.中学校社会科公民的分野での経済学習
3.「政治・経済」との関連
4.高校「倫理」との関連
5.「公共」でどのような経済学習が可能か
まとめ

本稿の概要

 本稿は、中高各段階における公民分野の比較検討を通じて、「公共」でどのような学習が可能か、学習指導要領と具体的な授業の両面から考えることを目的としている。
 新しい学習指導要領になって、中学の社会科と高校の公民科で共通の「見方・考え方」が設定されている。それは「課題を追求したり解決したりする活動において、社会的事象などの意味や意義、特色や相互の関連を考察したり、社会に見られる課題を把握して、その解決に向けて構想する際の『視点や方法(考え方)』」であり、これについて、著者の島本は橋本康弘の2つの類型(①現代社会を捉える視点、②社会課題の解決の在り方について、選択・判断するための基準)を紹介する。
 続いて、島本は「起業」を例にして、中学と高校の段階で「学習内容に共通性があるものの、細部では発展的な学習が企図されており、段階を踏んだ積み上げが意識されている」ことを指摘する。
 高校の「政治・経済」では、「公共」の学びを専門的に深化させ、視座を拡大するという発展的な学習が目指されていることを島本は指摘する。また「どこまで商品化していいか」という事例をだして、「倫理」において「社会の在り方と自己の生き方までを射程とするところまで特徴がある」と述べている。
 島本は最後に、「公共」では「現実社会の諸課題」を取り上げ、人間と社会の在り方についての見方・考え方を活用する課題解決型学習・探究学習が重視されていることを指摘して、コロナ禍の経済問題を題材とする授業案を提示している。

感想など

・学習指導要領を読み込まないとなーと思った(いまさら)。
・「公共」だけじゃなくて、それに関連する「政治・経済」や「倫理」、そして他校種(中学校とか小学校とか)の指導要領にも目を通しておくといいのだ。
・「見方・考え方」というものはよくわからないなぁ…と思って敬遠していたのだが、紹介されていた①現代社会を捉える視点、②社会課題の解決の在り方について、選択・判断するための基準という2つの類型を読んで、ふむ…と思った。
・全体的にあまりピンとこない論考だったなぁ。


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