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シン・鬼十則

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絶滅危惧種、鬼十則信徒の随筆
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シン・鬼十則 ~それでも私は鬼が好き~

日経新聞がブルシットジョブの放逐を訴えかけたこの記事の見出し写真は電通本社ビルでした。 犯罪の総合商社みたいに報道される電通の昔の社訓「鬼十則」。電通入社前から、卒業した今でも私はこれが大好きです。出会いは高校時代。バイト代わりの金稼ぎで応募しまくっていた懸賞の一つに「学生広告論文電通賞」があり、初めて電通を、そして鬼十則を知りました。 だらだらとモラトリアム的に日常を食いつぶしていた中高時代、鬼十則の衝撃たるや、頭をフルスイングの金属バットで殴られる思いがしたことを鮮明

シン・鬼十則 〜上司がなんでお前より偉いのかわかってんのか?〜

若い頃、昼下がり、デスクで仕事をしていたら先輩に言われた。 『仕事しろよお前。机に座ってて仕事ができるわけねぇだろ。 お前がやってるそれは仕事じゃねぇ、作業だ。勘違いすんなよ。』 先輩のキャンペーンの予算とスケジュールと見積作ってんだけどなぁ…なんて口が裂けても言えるわけもなく。 『…押忍!』 先輩曰く『作業は夜やんだよ。仕事相手が寝てからだ。仕事が出来る時は仕事しろ』と。 そしてお待ちかねの夜… 『おし!飲み行くぞ!』 思えば自分の飲み代を自分で払ったことなんて無かっ

シン・鬼十則 ~ワーカーホリック? HAHA, またまたご冗談を~

鬼十則と掛けて24時間戦えますか?と解く。その心はどっちもmade in Dentsu. もっとも、「24時間戦えますか?」が流行語大賞に輝くバブル全盛期を駆け抜けた先輩諸兄、そんなに仕事が好きだったのだろうか?新人の頃にお仕えした部長は、しかし、昼下がりには大体毎日所在不明、行方不明だった。 電通人のその実がワーカーホリックでなければなんなのか?と問われれば、私はこう思う。 『アドレナリンジャンキー』でした、と。 競合コンペで他店を圧倒する爽快感。自らの夢想構想が現

シン・鬼十則 ~お前の本業はなんだ? お前は一体何屋なんだ?~

 2000年代、入社間もない頃、日経社という歴史ある広告代理店の偉い方とお話しをさせて頂く機会を貰いました。 (自分)「この4月から電通に入りました!広告代理店の営業マンとしての作法・振る舞いにつき、ご指導ください!」(フレッシュ) (偉い人)「君、違うよ。それは全然違う。全く解っていない。間違っている。君の入った会社は、広告代理店なんかじゃない。」(滔々と) (自分)「??…と、仰っしゃりますと?」(困惑) (偉い人)「君は、君たちは、電通という産業なんだ。広告会社

シン・鬼十則 ~翔泳社Biz/Zineでの連載が始まりました~

イノベーションのジレンマの邦訳本で有名な翔泳社さんが運営するビジネスパーソン向けのWEBメディア「Biz/Zine」にて『シン・鬼十則』をテーマとした連載が始まりました。 noteのシン・鬼十則連載をご高覧頂いていました皆様におかれては、是非こちらのご購読いただければ幸いです。無料です。 第1回目は私の寄稿にて、鬼十則の歴史を振り返りつつ、その原点、本質を再発見しようと試みています。 宜しくお願い足します。

シン・鬼十則 〜リスク・決定・責任が一致するフィールドで戦え、でないと君は卑屈未練になる〜

栄華を極めた歴史的巨大企業が衰退する話は枚挙に暇がありません。その理由として叫ばれるのは蛸壺縦割組織構造だとか、重層複層決裁構造だとか、減点主義、隠蔽・粉飾体質等々、幾らでも出てきます。しかし、そんな体制、体質、制度の話は二の次三の次、枝葉末節であって本質ではないかも知れません。 人類が形成した最大規模の近代組織で最も派手に破綻したのは15の社会主義共和国によって構成されたソビエト連邦でしょうか。幼少期に買い与えられた地球儀にはソビエト連邦があり、随分大きいなぁ、と思ってい

シン・鬼十則 ~自分の仕事に取り組め、担当意識はおのれを小さくする~

猫も杓子もオープンイノベーションが叫ばれる昨今、これを否定する向きはもはや皆無と言って良いかも知れません。個別スタートアップとの協業に始まり、様々なインキュベーションオフィスやアクセラレータープログラム、コーポレートベンチャーキャピタルが日本の未来にBetします。私もここ10年くらいの間、オープンイノベーション村の末席を汚してきました。 当時、FINOLABという日本初・最大級のFinTech特化型オープンイノベーション拠点を立ち上げ運営しました。その経験から、オープンイノ

シン・鬼十則 ~ルールは自ら創るべきで、与えられるべきでない~

嘘か本当か、『悪法もまた法なり』と宣って毒杯をあおった昔の偉い人の逸話があります。この言葉には色々な思いを馳せてしまいます。 ごはんを食べないと人は死ぬ。林檎は木から落ちる。エントロピーは増大する。ブルシットジョブにまみれると衰退する。この手の話はルールではありません。法則です。 法則ではなく、みんなが守るもべきものと取り決められた約束がルールです。その定義からしてルールと呼ばれるものは全て人工物です。誰かが誰かの都合で創ったものです。そして割とちょこちょこ改定されます。

シン・鬼十則 ~プリンシプルを放すな、殺されても放すな~

プリンシプルとは原理原則、つまり本質のことです。プリンシプルが根底にあり、様々なルールや組織、KGI/KPI、マニュアルがデザインされてゆきます。プリンシプルなき組織、KPI、ルール、マニュアルは害悪です。 日本企業の多くがSDGsを謳い社会の公器こそ自らのプリンシプルであると自負します。しかしその実、社内ルールや仕組みの多くはその企業の、そしてそこで働く社員一人一人の社会への付加価値の最大化を目的にしているのか一抹の不安があります。 野中郁次郎先生のいう「オーバー」という

シン・鬼十則 ~カルチャーフィットもダイバシティも諦めない~

組織には国籍、性別、出身、宗教、人種等、様々な人財がいる状態、「ダイバシティ」が重要であるといいます。異論はありません。考え方も、コミュニティの中に色々な考え方の人がいた方がイノベーションも生まれやすいでしょう。 しかし、組織のカルチャーというか、構成員の目線までバラバラで統一されていない状態にあるとしたら、それは組織として集い、纏まっている意味があるのか疑問です。 この記事にある通り、多くの企業が採用面接でカルチャーフィットを重要視します。同じ目線・価値観で、その時々に

シン・鬼十則 ~会社は使い倒すべきで使われるべきでない~

組織に運命共同体の仲間として迎えられるメンバーシップ型雇用と違い、必要なジョブに有効なスキルを買われ雇われるジョブ型雇用。日本でもジョブ型雇用が広がるのとあわせ、表裏一体のように蔓延しつつあるのが「静かな退職(Quiet Quitting)」だと日々感じます。 「そもそもジョブディスクリプションに書かれていない活動を期待・強要するのがどうかしている」vs「いや、同じ組織の一員なのだから最低限の構成員としての役割はある」等の議論が空転する様が目に浮かびます。 電通人や鬼十則

シン・鬼十則 ~Be a Player, 選手たれ~

電通新人時代、「蓮村選手はどうすればいいと思う?」とよく問われました。〇〇選手と後輩を呼ぶ先輩や上司がいました。私たちは、ビジネスというルールのゲームをプレーするプロ選手だったのだと思います。 プロ野球選手に、プロサッカー選手に、プロバスケットボール選手に…。種目はなんでも良いのですが、その種目でWBCなりFIFAなりNBAなり世界の頂点を目指そうという夢と覚悟を持って門戸を叩いた才気溢れるルーキー達。そんな彼等/彼女等が日本中で失望していることを伝える日経新聞の記事です。

シン・鬼十則 ~人も企業も国家も放っておけば成人病~

私は身長が190㎝以上あります。体重も0.1トンあります。齢もアラフォーです。このまま行けば成人病まっしぐらです。現代日本国も先の敗戦の再興からアラエイトといったところです。電通は戦前からあり御年120歳以上です。もしかしたら成人病にならない方がオカシイのかも知れません。 人でいうなら「高脂血症」「高血圧症」「糖尿病」「脂肪肝・肝硬変」「腎不全」などでしょうか。歳を経るごとに代謝が衰えます。食生活等の生活習慣を刷新し、汗をかき、脂肪を削ぎ落し、何歳になっても青春を謳歌し成長

シン・鬼十則 〜糞くだらない仕事は抹殺せねばならない〜

ブルシットジョブ、糞くだらない仕事が世の中に溢れ返っています。もし分別あるいい大人のあなたが「この作業、意味あるのかな…?」と感じたら、十中八九、その仕事は社会に価値を生み出さず、世の中に貢献していません。 特に社内資料をひたすら作り続けるパワポ・エクセル・ワード地獄に墜ちたり何も決まらない社内会議の監獄にに囚われているとしたら赤信号です。 その拷問はあなたのキャリアや精神を蝕むだけでなく、本来あなたという存在が社会にもたらすはずだったかけがえのない価値すら無かったものと