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シン・鬼十則 ~それでも私は鬼が好き~

日経新聞がブルシットジョブの放逐を訴えかけたこの記事の見出し写真は電通本社ビルでした。

出典:日本経済新聞 2021年8月29日 13:00

犯罪の総合商社みたいに報道される電通の昔の社訓「鬼十則」。電通入社前から、卒業した今でも私はこれが大好きです。出会いは高校時代。バイト代わりの金稼ぎで応募しまくっていた懸賞の一つに「学生広告論文電通賞」があり、初めて電通を、そして鬼十則を知りました。

だらだらとモラトリアム的に日常を食いつぶしていた中高時代、鬼十則の衝撃たるや、頭をフルスイングの金属バットで殴られる思いがしたことを鮮明に覚えています。「こんな凄い気迫で生きてる人達がこの世の中にいるのか」と。

1)仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。

2)仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。

3)大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。

4)難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。

5)取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。

6)周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。

7)計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。

8)自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。

9)頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。

10)摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

電通鬼十則

高校時代の出会いから20余年、元来怠惰な私が生を活かすような生活を多少なりとも送れているのは、この鬼十則のお陰です。

ただ、電通自体は、鬼十則を捨てたその日から、名前は同じでも、似て異なる別の会社になってしまったのかも知れません。

これは思うに日本社会の縮図のようです。噴出する不正と不実、技術力や開発力の衰退、国力そのものがつるべ落としのように急降下してゆきます。多くの電通人達が電通を去りましたが、日本人もまた日本を捨てて海外移住が進んでいます。

鬼十則は20世紀を謳歌した電通の原動力でした。そして電通は高度成長期を含む日本の黄金期を演出した企業の一つです。Japan as No1のような繁栄をもう一度目指すわけではありません。ただ、このまま滅びるに任せるのも次世代に面目が立ちません。何より面白くありません。

絶滅危惧種である鬼十則信徒の私の目から、21世紀で国際競争に生き残るための「シン・鬼十則」のヒントを世の中の様々な事象、話題から探してゆきたいと思います。それをここに便所の落書きとも備忘録ともつかない記録をしてゆきます。

この社会が平和で暮らしやすく、楽しく、熱いものでありますように。

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