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シン・鬼十則 ~Be a Player, 選手たれ~

電通新人時代、「蓮村選手はどうすればいいと思う?」とよく問われました。〇〇選手と後輩を呼ぶ先輩や上司がいました。私たちは、ビジネスというルールのゲームをプレーするプロ選手だったのだと思います。

「この会社にいても成長できない」「ほかの会社で通用しなくなるんじゃないか」。そんな不安を抱く若手社員が少なくない実態がリクルートの調査でわかった。企業は残業を減らし、パワーハラスメントにも気をつけ始めて職場環境は改善してきたが、半面、厳しく鍛えられる機会があまりないと感じているのだ。企業は若手の育成方法を時代の変化に合わせて工夫する必要に迫られている。

日本経済新聞 2022年5月2日 5:00

プロ野球選手に、プロサッカー選手に、プロバスケットボール選手に…。種目はなんでも良いのですが、その種目でWBCなりFIFAなりNBAなり世界の頂点を目指そうという夢と覚悟を持って門戸を叩いた才気溢れるルーキー達。そんな彼等/彼女等が日本中で失望していることを伝える日経新聞の記事です。

私は小学低学年のころより剣道を嗜みました。小学生時代は試合に負けるとそれはもう悔しくて、悔しくて。道場の館長に頼みこんで、身体がでかかったこともあり、大学生の練習に混ぜてもらいました。
当然ボコボコにされて、大変な目にあうのですが、地元の小さな地区大会とはいえメダルに手が届いた時はとても嬉しかったものです。

10年も続けると彼我の才能差にも気が付くもので、足を洗いました。ただ才能の有無に気付けたのも、それなりにやり込んだからだと思います。それほどやり込める環境が、あらゆる種目の選手には必要です。

私たちは、LaborやWorkerではなく、Playerなのです。

必要とあれば徹夜で素振りだってします。試合前には絶食し減量することもあるでしょう。「天才ですから」と宣うために、人に隠れて猛特訓だってします。ボールはともだち、こわくありません。

そして、今、私たちは令和を生きています。昭和スポコン漫画のような根性論と猛特訓はかえって身体を壊し、選手生命を奪うことを知っています。

私たちは、プロビジネスプレーヤーとして徹底的に健康に気を遣い、心身のコンディションに気を配り、チームメートの体調すら把握する。そんな濃厚な信頼関係を築き上げてこのゲームに挑むべきなのだと思います。
いえ、そうでないと最早このビジネスのワールドカップで生き残ってゆくことはできません。

叱らない、残業させない、やらせる仕事は球拾いのようなブルシットジョブばかり。将来を嘱望されるルーキーたち、とりわけ優秀な奴らがそんなチームを早々に見切っていなくなるのは自明ではないでしょうか。

そして、ゲームのルールに常に気を配り、一部の隙もあってはならないはずです。時代遅れのパラダイムでルール違反をしようものなら一発レッドカード、退場です。頭は常に全回転、世界のルールの一歩先を行き、勝ちを獲る。私たちのゲームとはそのようなものだったはずです。

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