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30年勤めた会社を辞めます、そして…2

会社を退職できることになったのは、2018年4月初頭のことでした。2017年の秋頃から会社には退職の意志を伝えていたのですが、担当業務を引き継ぐ後任候補が突発的な病に罹り、見通しが立つまで保留にせざるを得なかったのです。やっと4月に引き継げることが決定したものの、業務的に何もかもをそこで強制的に終えてすぐに退職手続きに入るというわけにはいきませんでした。であれば、ここまで退職がひっぱられてきたのだからいっそのこと勤続30周年を迎える12月を最終出社、退職を有休消化後の2019年3月に向けて調整していこう、ということになりました。
すると4月から12月まで、夏休みをまたいでいくわけですからけっこう時間がある! おお、来年は何しよう、何がしたい? 何ができる? と妄想する時間がたっぷりあるということになります。すぐさま楽しい気分になりました。
そしてその日から思いついたその都度、ほぼ日手帳に書き込んでいくことにしました。
こんなリストです。

1 ヨーロッパを旅したい
2 フランスの田舎でおいしいものを探したい
3 スペインの田舎でおいしいものを探したい
4 イタリア全土を旅したい
5 シチリアの料理を学びたい
6 マルタで英語学校に入りたい
7 南ドイツで1ヵ月ほど暮らしたい
8 パリで買い物したい
9 ベルリンに行きたい
10 英国博物館に行きたい
11 クローゼットの中の整理をしたい
12 ピアノを弾きたい
13 一人カラオケしたい
14 一人フリカラしたい
15 本を読みたい、積んである本を全部
16 お金の勉強をしたい
17 早寝早起き習慣をつけたい
18 株式投資をやってみたい
19 ベランダのウッドデッキを塗り替えたい
20 植木鉢の整理をしたい
21 ベランダで日向ぼっこをしながらお茶したい
22 玄関脇の納戸を整理したい
23 下駄箱の整理をしたい
24 食品庫の整理をしたい
25 お菓子道具の整理をしたい
26 寝室の壁を塗り直したい
27 料理写真の撮り方を勉強したい
28 撮影用ボードを作りたい
29 ランニング習慣をつけたい
30 都内の博物館・美術館を全部回りたい
31 歌舞伎の幕見を体験してみたい
32 歌舞伎に詳しくなりたい
33 クラシック音楽コンサートに行きたい
34 料理イベントをしかけたい
35 料理教室に通いたい
36 WEBマガジンを作ってみたい
37 ブログを始めてみたい
etc.

ーー小さいことから大きなこと、お金がかかることそうでもないこと、時間と労力がかかることそうでもないこと…などなどが無限に出てきそうな勢いでした。
細かいことを挙げたらもっとかも。

でもこれらのことって、定年を迎える人ならみんな考える妄想ですよね、きっと。珍しい望みでもなんでもない、アっと驚かれるようなことに挑戦するわけではない、私ったら結構平凡なことしか考えてないんだ……ということがわかっただけでした。
すると唐突にもう一人の私が耳元で囁きます。
そんなんで本当に会社を辞めてもいいの? このまま定年までいたら、もっと貯金できるし、旅行ぐらい行こうと思えばいつでも行けるんだよ? 本当に? と。

でも、いくら囁かれてもまったく動じなかった。天秤にかける気にもならなかった。
そのくらい会社が嫌でした。それだけは動かしようのない事実でした。







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