ヨナ

光のない22分は、またわたしを闇へと吸い込んでいき、ついには吐き出してくれなくなった。広大な海の中でぽつんと浮かび、岸も見えない孤独の中でどうにかやってのけているような、そんな具合。こんなふうにわたしが浮いて揺れている今も誰かが探してくれているのか、はたまたこの数日間誰の頭の中にものぼらなかったのか、そんなことは知る由もない。少なくとも人間は日々分類されることを望み、自分が今日も正しく人間であることに安堵を覚える生き物である。こんなことを考えている今、恐らくわたしも人間というものに分類されているのであり、遠い記憶のあの日、自ら海に飛び込む人間を飲み込んだ大魚なんかではなかったようだ。

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