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夫の話

夫は現在、鋳造の仕事をしている。転職してからようやく1年経つところで、まだまだ見習い修行中のようである。前職は全く違う業種であったが、結婚して子どもが生まれたことでなるべく休みを安定して取れる残業の少ない職場に転職した。

今までとは畑違いの仕事ということと、職人気質の仕事内容であることに最初は戸惑い、よく落ち込んで帰ってきていた。色々辛いことや大変なことをなんとか乗り越え最近は仕事が楽しいようである。家族のために一生懸命頑張る姿には、尊敬と感謝と頼もしさを感じる。

そんな夫が先日、久々に弱音を吐いた。年明けということもあって体が鈍っていたのかもしれないが、鋳造がうまくいかなかったようだ。上司に厳しく指導されたようで、見えないところで泣きながら仕事していたようだ。もちろん上司の指導方は適切なもので、涙の理由は情けなさからくるものであるようだった。

わたしは、こういう仕事でうまくいかなかった話を妻である自分に話してくれることを少し嬉しく思った。家族として信頼してもらえているんだと。またそういうことを言える余裕が家庭内や夫婦間にきちんとあることを誇らしく思った。そして夫を堪らなく愛おしく感じた。


※こちらは2020.1.10に最終更新された未公開話となります。

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