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U25チケットの記録(木ノ下歌舞伎)

*2023/7/17 加筆・修正

木ノ下歌舞伎とは

主宰の木ノ下裕一を中心とし、様々なアプローチで歌舞伎演目の上演を実施する団体。

観劇記録①:木ノ下歌舞伎 桜姫東文章

会場:あうるすぽっと
日時:2023年2月12日(日)13:00
U25 ¥3,500
座席:H列1桁台

歌舞伎の演目をしっかり観るのも、木下歌舞伎を観るのも、岡田利規さんの演出作品を観るのも今回が初めて。

話がわからなかったらどうしようとか、眠くなったらどうしようとか観劇前は少し不安だったけれど、結果大満足だった。

YouTubeに阿佐ヶ谷スパイダースの原作のあらすじがあったので、それを見ておいたのも功を奏したかも。

岡田さんの演出はかなり思い切ったものだったけれど、すごく好みだった。
あえて物語に没入させない感じ、ブレヒトの異化効果ってこういうことを言うんだろうなと思った。

ミュージカルが好きで長年観ているけれど、正直物語は大したことないけれど、楽曲の力で乗り切るみたいな作品が一定数あると思っている。
一方で、今回の演出は「現代の視点からするとちょっと厳しいよな」というところもあえてメタ的に見せる感じが、舞台と客席の視線を合わせてくれる感じがして好感が持てた。

今回の演出の特徴として、
・出演者が出番以外のときも舞台上にいて自由に過ごしている
・感情をあまり入れない平坦な台詞回し
・今後の物語の流れを先にモニターに映し出す
等が挙げられると思う。

これら全てが舞台の緊迫感をいい意味でなくしていて、劇場という密室空間の雰囲気に飲まれることなく、観客が物語の筋を追える環境になっている感じがした。
私はビビリなので、劇中に大きな音があったりすると、そこに気を取られてしまうので、むしろ今回のような演出の方が物語としっかり向き合えた気がした。
(単調な感じで眠くなるという意見もネットで見たけれど、そういう意見ももちろんあるだろうなとも思った。)


ちなみに今回のチケットはカンフェティのモバパスという電子チケットを選択。
いつもだと大体手数料が330円(システム利用料220円+発券手数料110円)くらいかかるところが、今回は55円で済んで、お得だなと思った。
(紙チケットに特にこだわりはない人間)

キャストに関しては、成河さんと石橋静河さんはこれまでにも拝見したことがあり、他の方はおそらく今回が初めまして。

成河さんは、今回は演出で平坦な台詞回しをしていたことで、余計に口跡の良さを実感。
あと、身体能力の高さがやっぱり半端じゃない。残月に首を絞めれた時の倒れ方ひとつ取っても、それが感じられて、すごいなとしみじみと感動した。(感想するようなシーンじゃないけれど)

石橋静河さんは、近松心中物語で見たときは、作品自体があまりピンとこなくて、お芝居の印象があまり残っていないのだけれど、今回はすごくよかった。
(ちなみに映像だと「大豆田とわ子と三人の元夫」のイメージがすごく強い。)
当たり前だけれど、歌舞伎だと男性が演じるところをこのプロダクションでは女性が演じることで、よりリアリズムの色が増して、桜姫の男性に振り回される被害者的側面?が強く感じられたのでは?と思った。(歌舞伎版を見たことがないけれど。)


近松心中物語の記録はこちら

ある意味、今回の主役は安部萌さんなのかな。ガムか何かを噛みながら、客席をじっと見るめている姿が印象的だった。
歌舞伎におけるというか、当時における男尊女卑の世界を現代の視点から見つめる重要な役割を果たしていたように思う。

観劇記録②:木ノ下歌舞伎 糸井版 摂州合邦辻

会場:KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
日時:2023年5月27日(土)12:30
U25 ¥3,500
座席:E列10番台

今回のチケットも前回の桜姫同様、電子チケットが選択できた。
(ちなみに前回はモバパス、今回はGETTISと異なる電子チケットサービスだった)
U25は購入時に座席選択をできないことが多いけれど、今回はできたので嬉しかった。

当たり前だけれど、桜姫の演出は岡田利規さん、今回の摂州合邦辻の演出は糸井幸之介さん(FUKAIPRODUCE羽衣)なので、同じ木下歌舞伎の作品だと言っても、まるでテイストが違うなと感じた。

物語の随所に回想シーンが挟まれ、そのシーンになると、これまで大人役をやっていた俳優が急に子どもを演じるのが、演劇的な作り方でいいなと思った。


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