アトミック・ドロップ（ただしさなんてラ・ラ・ラ）　　川柳47句

旅にはて逆紫の字をひろう

句意にないカードゲーマー腕ふとり

内ゲバのつづき盆栽修理界

天皇のちゃぶ台に敷く星条旗

煮カツ丼世界に細い天皇家

バルタンがはさむまえから貞操具

魚眼の詞かいてアルゼンチンタンゴ

海賊にあらざるだけのボールペン

炊いたんをビッグフットの意に歌う

マンホールあけつつ第二芸術家

空海のつぶやく東村山市

あぶらげにくるしむひとのラピュタの忌

識閾の土管を録ればアムロ・レイ

ナビスコの恐怖映画をいれかえる

あほうどり境界例に天守閣

季ちがいの柿食う客が抱くコアラ

取的のしゃくしそのもの騙し売る

さいはてのカンガルー部に午後永し

びんせんに魔王と書いて公団地

珍犬のひとつにつけるパラシュート

くらげなす総書記長が現象し

亀の目にバンドＴシャツ燃えさかる

撥水のワニブックスに聖五月

土偶捨てウゴウゴルーガさらに捨て

海老天のすきまにプラモ狂四郎

梅肉がくさらなかったいるかショー

マー坊が消えて地上に発射台

みことばに駱駝絶滅する都心

灰いろの餅をにくんでいるマリヤ

荒地派の木人拳に聖五月

パリに貼るひょうたん島のきざみ海苔

圓楽を海底基地に打鍵する

手長猿母の誕生日をしらず

はつなつのどこからみてもソーセージ

みつ豆にチャコの防衛物語

つつがなくラスプーチンを略称す

浄化後のチャーシューメンを仔貘嗅ぐ

ランタンの意味きまらざる象映画

所記としてうずらたまごの多い家

正造のエントロピーがたぶん雑

卒塔婆ぬき五月の雪をみていたり

釣銭をてわたすまでのソビエト史

畸人ふえ小野妹子の離人する

極妻にときおり消えるサイボーグ

遺書にないめんまを持ってくる時間

欽一を句会内部にビルと呼ぶ

手妻師が裸で壁をなぞるとき

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