げんじつ浜に流れ着く　　川柳51句

スジャータに音楽溶ける死語の都市

雪夫人絵図の国際プロレス化

チャッカマン以外の物を物と呼ぶ

アーティスト同士こぶ飴再生す

支店でのベン・ジョンソンの通りゃんせ

尾崎から哀悼用のペトリ皿

巨大鯛げんじつ浜に流れ着く

千年後千年灸が減る部室

戒名でわかったメリル・ストリープ

擬古文の星にまうすぐ四月馬鹿

劇場の支配つづける用のくじ

美保純がトナカイ捨てる夜も春

禁止語によって千回忌をするな

シャラポワの田植道場無人なり

錆こそぐこれほど人を憎んでも

ぺんてるで病中日記書き終える

つくだ煮に魔法学校模倣され

父と子が阿部完市の板を割る

ハンムラビ法典をより板書する

釘曲げて精神科医が建てる家

妻とゆく過去の世界のしらみとり

サッカーののち永遠のしじみ汁

鍋焼きがモルモン教徒らとつづく

テルミンと岩を越えればつぎの岩

鋸の反則勝ちを反省し

自省録以上のマンドリン求め

隕石がパンダの前に落ちていた

紫のコップで資金清浄化

ながい日にジョガーパンツを数え終え

大都市の誘拐中に糸電話

大塚のコンプレックスだが味噌煮

フランケンシュタイナーでの講義録

駅を出て他称もされる潜水夫

焼そばを霊長類がはこぶ西

ランドセル俳人の持つくさりがま

文字でなく宗谷岬と書き連ね

ブーの塚パスタ職人涙せり

薔薇溶けて地球うなぎの星と成り

猿人が飛び込むジャスコ神話中

句中句によくあらわれる三上寛

音頭書く妻の手術の終わるころ

野パセリが妻の手術後ゆで上がる

野良犬を放てば妻の手術室

遺跡掘るいちめん妻の手術台

輪投げする妻の手術をする季節

手ぬぐいに４＋４を手縫いする

漫画誌が燃えつきた野にきんぽうげ

インターン制度を記す谷譲次

西瓜糖きのうわたしをおとすあな

墓碑銘のポッキー業に触れた箇所

武士よりもさなぎを飼っている文太

#川柳 #詩歌 #文芸 #創作 #詩 #妻の手術