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2022年12月31日のデヴィッド・リンチ  川柳108句

(以下の108句は、#大晦日108句チャレンジ としてTwitter上で2022年12月31日に詠んだものになります。当日に即詠したので、まあ、あれな出来ですが、ネタとして記しておきます)

北極の船の花辯に複素数

鳴き砂の意味でカラマーゾフと言う

永吉が逆引き辞書の耳を引く

ルービック・キューブに浮かぶ猪木の死

風雲の時実新子城の時

ミツカンを角川春樹像に塗る

映画史に残ったはずの換気扇

俵万智愛好会が焚く焚き火

言語学蜜柑にすべて含ませて

准将の家にポッキーぶちまける

時の門くぐればふたつ乾電池

催馬楽のあとに点眼する姉妹

塔のない獄門島で割る卵

人形の家に暗殺者の茶碗

ホーガンの大人計画終わりたり

とめどなく乳酸あふれ出る将棋

魚骨から草野仁を導いた

ブシロード陽当たりの良い処刑室

彰晃のオズに原形質がある

ほうき星ともからみ合う藤竜也

課題曲だれがほうれん草だった

はんこ屋の長州力が茹で上がる

ガンダムに雪のちらつく句を書いた

作戦を細かく記す古語辞典

スパコンの記憶のなかの牛乳屋

盲点が多い家鴨の洗濯屋

ランボーの砂漠に置いた砂時計

晴れた日の酢だこ占いよく外れ

天窓のドレスコードを転写する

少年の朝にトリケラトプス呼ぶ

遺跡からAKIRAが火酒を持ち逃げる

コンコルド広場に捨てたたい焼器

谷底の大統領を写生する

百年のはじめ人間特撮す

扉閉め扉のひらく霊柩車

小野寺家ひとりひとりに独裁者

蝿の王呼吸を肺でするはずの

撮影地から一輪車漕ぎはじめ

症例に水木しげるの髪を喰う

依代に会田誠をつかう朝

ナウシカのパロディーを観る大みそか

幸福の科学に近い紙やすり

おぼろげに老人が描く猫ひろし

錆びている押井守の芝刈機

病棟の外の去年を待ちながら

輪廻する巨大生物への醤油

東宝がただ顎だけに色づける

妹が毎晩走るけものみち

バカボンの祖父に麩菓子が似ていない

暗記した寝台車から生えるもの

左官らの無意識にまだペレが居る

支配者の糞ころがしに無言劇

無音室イーストウッド閉じ込めて

ハムを切る妄想中に星が降る

皇帝の遺した座椅子との戦記

バス停の方程式を解く志村

紀伊國屋書店で和了るひとの群れ

迷路からヨドバシカメラ仮面脱け

まみどりの夜を歩いて鯱すくい

びっちりと遺書に書かれたソーセージ

脊髄のなかに噺を聴きなさい

さすまたが長いピーター・フランクル

体積がかすかに南瓜輸送船

ビー玉をそば屋の端に握る冬

キャプテンの自転周期がみな同じ

縞馬に乗って如来がやって来る

年ごとの地球滅ぼす劇作家

京劇の西川のりお役を決め

あんパンの大工場を連写する

屏風型宇宙人との水仕事

燃えあがるトム・ハンクスの丸太小屋

海老屋らがアノマロカリスくい止める

ホーキング博士に鶴の暗示かけ

夢遊病だとも知らないロック歌手

膨張の宇宙の外にしるこ缶

ハワイ系レスラーたちの置手紙

手に釘を打つふぞろいの林檎たち

宇宙から還るのび太の社会鍋

幻覚の庭の近藤正臣化

エベレスト同好会を盗み聴く

柴犬の尻尾に付いてくるペリー

うつし世の北尾光司がジェンガ積む

オレゴンに埼玉県がふえてゆく

風花に巨大詩人の巨大な詩

聖人の念頭にあるフォント変え

かがやけり小惑星のたかの友梨

自我を持つエスパー伊東らの粘土

蝶の死に爆笑をする冬時間

スタローン賞にかがやく高崎市

BUCK-TICKの鯖を煮ている時間都市

ブルガリア人らのチェアー格闘技

掃除機がいまここにある宇宙論

メビウスの環にされている寅次郎

うさぎ跳び映像学をまなびつつ

寅年のコン・ティキ号をふり返る

アンミラを滅びの星に掘りあてる

言語学 山田太郎は肺である

短日にナンシー関の草書体

合気道すけとうだらを縫い合わせ

背をのばす台地の上にドラ乗って

死を想うふたこぶ駱駝あゆむとき

父の名にルビ振りやめる冬の部屋

パピルスの本を菓子屋と貸し合った

バンビへと白土三平罠しかけ

真紅なるあずさ2号の擬似記憶

球体の虎を裸眼で飼う仕事

冬の日のナウマン象を詠む芭蕉

最期まで紡錘形の年暮れる


(以上、108句。途中、「自分はなんでこんなことをやっているんだ」と思いつつ、たまに気に入ったのができると嬉しかったり。そんなことをやっていた大晦日でありました)

#川柳 #詩歌 #文芸 #創作 #詩 #大晦日108句チャレンジ

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