安孫子素雄の悟達（すべてがFになる） 川柳38句
無音なり安孫子素雄の午の鐘
きくらげで古代魚ショーの席を取る
宙ゆがみ没落世界での風呂屋
夕暮れてパリス・ヒルトン調査隊
北方も奥崎も居る菓子の国
蟹座詠むホワイトハウス文藝部
廃棄したひし美ゆり子の鉄火丼
アルフィーが重曹わけていて余る
どぶろくを冥王星ををで指せば
タバスコの中にいくつか在る無限
地上絵でなかったほうを兄にする
魏のひとが梶原一騎展に泣く
義母のままほうれん荘を出て行った
浣腸をＪＦＫの春に詠む
友達の友達といまからし錬る
おとがいと駱駝のグミを買いに行く
静止画に静止つづける螺子がある
地下室の手記になるとを借りたこと
落柿舎を探偵団が踏み抜いた
コロンボがふえる月経管理帳
噴火の日無声映画の題変わる
美文なり木村健悟ゆ芝刈機
複数のミニーマウスへ機動隊
玉砕と麒麟に名づけ雨つづく
おばはんの会の全員サンビスト
地球儀をかなり省略して割った
訛伝での青コーナーのシド・ヴィシャス
有限をバニラアイスと思う宇良
地獄編鯖缶の蓋あきつづけ
意味性をもとめてコルトレーンの忌
三階の死と雀卓の萩尾望都
箸を消しエスパー伊東家の夕餉
表徴の帝国中のウナギイヌ
男居てモーゼの足袋を観せにくる
偽傾奇者がパン屋を取り囲む
幾たびも世界の終わるパンク囲碁
新将棋みなふところにゲル隠し
時計屋のような一つの比喩狂う
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