白鯨(スターバックスに虹) 川柳100句
1.鞭毛の支度
巻き込みのミス骨格が世にあふれ
小豆音地獄短歌のはじまらず
点棒の兜合わせを算出し
整数の世界を模して紫蘇育つ
世界終え長州力が持つ機械
監督が全員暗記するレシピ
柳沢慎吾にわたす酵母菌
メメクラゲ人のすべてを夕陽染め
ピノコ記が単なる簿記であるように
栗栖産婦人科に産む朝の牛
手捏ねしてヤハウェの棋風変わるなか
砂山に現在形がなかった日
裃が私立高校愛虫部
ふかひれと同時に尽きるロキソニン
頭巾色スパゲッティーを失って
鉢割れの意味で高等弁護され
デバッグと落盤事故が遠い街
雨のなか時のなかにも闇の蟬
超妻がうつぼかずらを切る手つき
揚げ油かたまるロング・グッドバイ
スキャットに正方形の大楽譜
キリストの農具をいっそ片付けた
雨の朝サイケデリック幼稚園
逆エデンにてばらされる砂時計
砂箱にまた加害妄想をせず
空堀にチキン博士の打つくさび
壜のなか右翼作家の蒸しタオル
夏彦が等圧線を引く店屋
サイレント映画放水せず終わる
放尿記夏の大三角視えず
渚にてミスド店長視力なし
演者らの超自我こめてししおどし
雨つづく怪奇リンボーダンス終え
2.蠕動の茶会
偽総理サルガッソーを投げて来る
意味として夏に数える飛鳥鍋
二人ずつ筑紫哲也に大豪雨
夜這いして沈んだ国の帰納法
改版の辞書を用いる愛虫記
アイルトン・セナが傾く漫画描き
死海埋め博士がなにも愛さない
大鵬へ永遠に聴かせる逆のジャズ
三つあるチーズが贋の三国志
ビニ本を遠近法のなか捨てる
手記終えて壊れ続ける水時計
ナルニアのエレベーターに腋香る
作中の緑のたぬきへの斜線
妹のウランが換えているぽん酢
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