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「葬儀費用の最大150万円までが引き出せる!」相続手続きのポイントと金融機関対応


はじめに

夫が帰宅し、いつも通り夕飯の支度をしている中、自宅の脱衣所で突然この世を去りました。
たった1人残された私は悲しみと混乱の中で葬儀を執り行い、それから始まった様々な手続き。この経験を通じて学んだことを共有します。
相続手続きや金融機関とのやり取りについての情報をお届けし、同じような状況に直面している方々が少しでもスムーズに手続きを進められるよう、お役に立てれば幸いです。

この情報は「2024年5月現在」の情報です。

口座凍結のタイミングと注意点

まず、口座凍結について知っておくべきことがあります。口座が凍結されるのは、銀行が訃報を知ってからです。銀行は遺産を保護するために口座凍結を行いますが、これは義務ではありません。相続人が銀行に死亡届を提出したり、銀行が口座名義人の死亡を把握した時点で、被相続人(亡くなられた方)の預金引き出しができなくなります。

役所へ故人の死亡届を提出した段階では、口座は凍結されません。しかし、口座凍結前にお金を引き出すとトラブルの原因になる可能性があります。特にマイナスの遺産があった場合、単純承認とみなされ、他の相続人から不当利得返還請求をされる可能性がありますので注意が必要です。

とりあえずの現金が必要な場合の対策

「遺産分割前の払戻制度」を利用すれば、150万円まで引き出しが可能です。これは、遺産分割協議が完了する前に被相続人の預貯金の一部を払い戻せる制度です。葬儀費用や医療費の支払いに充てることができます。


計算式

単独で払戻しを受けられる金額(上限150万円)= 相続開始時の預金額 × 1/3 × 払戻しを求める相続人の法定相続分

例(よくあるパターン)

  • 被相続人:父親

  • 預貯金:1500万円

  • 法定相続人:2人(長男、長女)

長男が単独で払い戻しできる額は、1,500万円 × 1/3 × 1/2 = 250万円ですが、引き出せる上限額は150万円です。この制度を利用することで相続人の負担を軽減できます。


私の場合、、、
急いで現金が必要な事態はありませんでした。手持ちで十分足りました。
とりあえず必要なお金は、弔問者に提供するお菓子やお茶代程度でした。葬儀費用や病院代、お寺やお坊さんへのお布施の支払いはまだまだ先のことでした。
これらの費用は、葬儀の規模やスタイルによって異なります。また、家族の希望や地域の慣習によっても変わる場合があるので、参考程度に考えてください。

この制度のデメリット

遺産分割前の払戻しを受けた場合、その預貯金は相続財産の取得とみなされます。後日、被相続人の借入金や保証人の事実が判明した場合、相続放棄ができなくなることがあります。そのため、相続放棄も検討している場合は、この制度の利用は避けたほうが良いでしょう。

遺産分割協議の重要性

遺産分割協議を成立させれば、故人の凍結口座を解除し、お金を引き出せるようになります。なるべく早いうちに遺産分割協議を終わらせることをおすすめします。

金融機関の対応時間と手続きの流れ

相続手続きには金融機関によって差があります。ある金融機関では、集めた書類等を持って訪問したその日に口座へ振り込まれる場合もありますが、他の金融機関では後日、自宅へ書類が送られ、それを記入・提出した後に入金となることもあります。

また、必要書類に不備があった場合は再提出や修正が必要となり、手続き完了までの期間が長くなる可能性があります。相続手続きには原則として期限はありませんが、早めに行ったほうが良いでしょう。

終わりに

相続手続きは複雑で大変な作業ですが、正しい情報を持っていればスムーズに進めることができます。私の経験が少しでも皆さんの助けになればと思い、この情報を共有しました。今後も相続に関連する情報を発信していく予定です。必要に応じて専門家の助けを借りながら、無理なく手続きを進めてください。

この制度の詳しい情報はこちら
ご存知ですか?遺産分割前の相続預金の払戻し制度(647KB)PDF」をご確認ください。

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