読んだ本の感想もどき / 湊かなえ「リバース」

前置き(お久しぶりです)


いつぶりの更新やねんというツッコミは置いておいて。
つい先日、湊かなえ先生の「リバース」という作品を読みました。キッカケは本当に些細なことで、「何か本読みたいな。そうだ、どうせなら湊かなえ先生のを読もう」と思ってGoogleでおすすめを検索して、目に留まったのがこれだったからです。

最近はちょっとしたことをメモする癖をつけようとしていて、読み終わったあとに読み始めた日と読み終わった日を記し、そして、ついでのように感想をしたためた。でも、結構長くなったしなんとなくメモに燻らせておくのはもったいない感じがしたので、せっかくだからとここに載せます。
本当はツイッターの他サービス(ふせったーとか)に載せようかなとも思ったんですが、場所を迷ってるうちにここを思い出したので。前回と比べてテンションが全然違う気もしますが、まあ、内容が内容なのでいいかなと。
そして、何やらミステリー小説に関するコンテストが開催されていたので、なんとなく参加してみます。これも何かの縁かなあと思ったので。

当然のようにネタバレ注意なので、以下は本書を既読の方のみご覧ください。
ラストに思わぬ衝撃を受けたし、きっと読んだことのある方ばかりなのだろうけれども、未読の方にはぜひ事前知識なしで没頭してほしいので。

あと、一応手直しはしてあるけれども、以下の感想はあくまで個人的に打っていたものであるということも念頭に置いておいてほしいなという気持ちもあります。
特に大きな理由はないです。ただの予防線みたいなところある。


本題(感想)

 最初はダラダラしながら読んでいたけど、第四章あたりから読み進める手がとまらなくなった。関西訛りの人間がでてきたあたりでずっと愛媛との関連を疑っていたけれど、思えば二股だの何だのも深瀬の「動機」に関する伏線のひとつなのかな、と今さら気がつく。
 途中から美穂子を疑い続けていたので、いきなり木田先生の名前が出てきてちょっと驚いた。あ、そこ? みたいな。
 第三章を読み終わったところで少し時間が空いたせいもあるのだろうけど、第五章に出てきた美穂子は記憶よりも可愛らしいというか、それまでより等身大の女の子なふうに見えた。もしかするとこれも広沢フィルターなのかもしれないと都合のいい解釈をする。

 ラストのどんでん返しには思わず声が出たし、解説での「選択」についてはハッキリした答えが出せそうにない。
 深瀬に「動機がある」という点には解説を読むまで気づかなかったけれど、確かに広沢と美穂子の関係を知ってしまった以上、深瀬が広沢を殺す理由なんて後からなんとでもでっちあげられるな、と思った。
 個人的には、仮に深瀬が打ち明けたとしても美穂子は許してくれるんじゃないかと思うし、反面、心のどこかで「どうか許してほしい」と思ってしまっている自分もいる。この点に関しては自分自身に少し思い当たる節があるので(もちろん人の生死に関わることではないけれど)、確かに広沢という「鏡」を通して自分のエゴが出ているな、と思った。
 両親については……正直、うまく言葉にできない。ただ、最後までしっかり疑って、考え尽くしたうえで、やっぱり、許してほしいな、と思う。

 正直なところ、広沢が曲がりくねった道に慣れている、という描写が出たあたりで彼の死に深瀬が関わっている可能性を疑っていたところはあった。深瀬が送ったメールを確認しようとして落ちたんじゃないか、とか。
 なのに、美穂子との「イイ感じ」なエピソードのおかげで少しその疑いが和らいでいた節はある。疑っていたはずなのに、最後のどんでん返しで思わず顔を被ってしまったので、きっと深瀬と美穂子のやり取りが和やかに終わったのも意図したところなんだろうなあ。と思った。

 自分はどちらかというと深瀬や古川の側の人間なので、広沢の「自分が空っぽだと感じることがある」という悩みや、「古川や深瀬はそうではない、中身がいっぱい詰まっている」という意見には共感できるようなそうでもないような不思議な感覚。
 ただ、広沢という人間はひたすらに「救い」であるな、という印象がある。こんな人に出会ってみたかった。
 故人だから美化されているところはあるのかもしれないけれど(若くして亡くなっているのだから尚更)、広沢は本当に透明で、澄み切った人なのだろうな。

 基本的に自分は聖人君子よりも人間臭いキャラクターのほうが好きなのだけど、村井と谷原(特に谷原)は人間臭すぎるというか「うわ、いる、こういうやつ」という印象が強くて、好き嫌いまでいかなかった。ただ、こういう「いそう」なキャラを描くのに参考にしよう……とは思った。
 前に読んだインタビューか何かで、湊かなえはまず登場人物全員の履歴書をつくり、そうするとみんなが勝手に動いて物語ができていく、とおっしゃっていた記憶があるのだけど、きっとその「履歴書」というしっかりした土台があるからこそ、実在しそうな厚みのあるキャラが描けるのだろうな……となっている。勉強になります。
 事故以降ひと口もお酒を飲んでいない浅見、正直すごく好き。本当に真面目で芯のある人なんだな、と思えた。

 湊かなえ作品で一番のオススメ! と書かれていたから本作を衝動買いしたけれど、途中から「どうせ美穂子が犯人なんだろう」と疑いながら読んでいたので、それほど……と思っていた。でも、最後のどんでん返しを見た今ならたしかにその意見に頷けてしまう。可能なら何の事前知識もないまま、たくさんの人に読んでほしい。

 この本について話せる人がほしくて、誰かとこの驚きを共有したくて、近しい人にゴリ押し三割くらいで勧めてしまった。
 肌に合うかどうかも、ラストまで読んでもらえるかもわからないけれども、どんな話ができるか今から楽しみ。

最後に(またね)

こうやって見ると思ったより長い感想をしたためていて笑いました。かいつまんだことばかりだけど、まあ、それくらいがいいのかなあ。と思います。また何か思い出したことがあったら追記しに来るかもしれない。
次にどんな記事を更新するのかはわからないけれど、また思い出したときに更新できるくらいのゆるい場所でありたいな、と思います。

ではまた!

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